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( ∵) カッコイイビコーズのようです


215 :( ∵) カッコイイビコーズのようです[]:2009/10/21(水) 23:02:28.99 ID:YIBn9H2W0

先鋭的なフォルムをした機体が、空を行く。

頭部があり、肢体のあるそれは人型機動兵器、いわゆるロボットだ。
青々とした空に赤い身体が舞い上がり、上がって“行く”。

背部に備えたブースタを噴かし、弾丸の如く風を切り裂き、
遥か上空へと昇って行ったロボットは、長くしなやかな腕を伸ばす。
そこから延びる銃口は、巨大な長方形といった風体の陸上戦艦を捉えていた。

無骨な、どうみても大口径のエネルギーライフルのスコープには、
今、陸上戦艦の上部装甲に囲まれた排熱光が映っている。

( ∵) 「ターゲットインサイト……ロックオン」

パイロットは、操縦桿についたトリガーへと人差し指を被せると、口元を歪めた。

( ∀)

それは、笑みを形作った。

獲物を前にした肉食獣のような、獰猛な笑み。



218 :( ∵) カッコイイビコーズのようです[]:2009/10/21(水) 23:05:25.96 ID:YIBn9H2W0

このトリガーを引けば、強力な出力を誇る光線が射出され、
直径300mにも渡る距離を一直線に貫き、焼き払われる。

装甲に阻まれてこそいるが、陸上戦艦の排熱光をコイツで叩けば、
熱の逃げ場を失わせた艦体は内部で爆発を起こすことになる。
そうなれば、いかに強固な装甲を誇る陸上戦艦であろうと無事ではすまない。

良くて航行不能。

悪ければ粉微塵だ。

( ∵) 「ファイア」

トリガーを、カチ、と一度引いた。

力はいらない。ほんの少し指を倒せば、機体の指は反応してくれる。
銃口に収束した光が一瞬たわみ、発射されていく。

濁流の押し寄せるような音が、一気に陸上戦艦へと降り注いで行き、
巨大な赤い光の柱が排熱口を目掛けて飛んでいった。
大気を震わせ、空間を歪ませた一撃は、見事に陸上戦艦を貫いた。

赤光が着弾点に収縮されていき、最高点にまで達すると、
周囲へと怒涛の勢いを以ってほとばしった。



221 :( ∵) カッコイイビコーズのようです[]:2009/10/21(水) 23:06:32.47 ID:YIBn9H2W0

爆炎が空へと、赤き人型機動兵器の元へと立ち昇っていき、火柱が上がった。

足元まで迫った炎を、パイロット、ビコーズは冷ややかな目で見つめた。

( ∵) 「………」

こうすべきであったのだ。

こうなるべきであったのだ。

こうでなくてはならなかったのだ。

胸の内に次から次へと己を納得させる言葉が浮かび上がっていき、消えて行く。

黙々と橙の火炎に呑まれた陸上戦艦を視界に収め、
ビコーズはその場を後にしようと操縦桿を振るい、
フットペダルを深く踏み込んでブースターを稼働させる。

炎が噴射され、北を向いた赤き機体は前進する。

( ∵) 「……ッ!?」

その直後、アラート音が機内に響きわたり、ビコーズは咄嗟に機体を急転換させる。
身を内側へと捻り込んだロボットは、無理やり制動を掛けてブレーキを掛け、停止。



223 :( ∵) カッコイイビコーズのようです[]:2009/10/21(水) 23:07:19.48 ID:YIBn9H2W0

すると、ビコーズの目前に広がるモニターには青く太い光条が伸びていた。

外部スピーカーから轟音が響き、空気の振動がビリビリと肌に伝わってくるようだ。


機体の反応速度が遅ければやられていた。

アラート音よりも僅かに早くやってきていた銃撃に肝を冷やすが、
それとは裏腹に、どこか血を煮えたぎらせて興奮する自分が、確かにいる。

自分の本能が感じる恐怖と好奇心が入り混ざっているのを確認し、ビコーズは再び笑みを浮かべた。

( ∀) 「ハハッ」

先程と同じ、獰猛な笑みだ。

いや、狂っているようにも見える、危険な笑み。

( ∀) 「ハハハハッ!!」

哄笑を上げる彼に、通信を送る者達がいた。

(;^ω^) 「やっぱり、こうなったのかおビコーズさん!!」

(;'A`) 「クソが、最悪だな、アンタ」



224 :( ∵) カッコイイビコーズのようです[]:2009/10/21(水) 23:08:19.03 ID:YIBn9H2W0

( ∵) 「ブーンに……ドクオ、か。一足、遅れたようだな、お前ら。
    ニューソクとオオカミとパーソクを繋ぐ平和の象徴“VIP”も、案外脆かったよ。退屈だ。
    お前らの拠り所なんて、そんなものだ。平和を定義づけることなんて、平和であることなんて、出来ない。
    俺達が立っている場所なんて、誰かが死ぬ気で揺らせばぐらつき、崩壊するような不安定なものだ。
    誰がそんなものを守り切れるというんだ? 俺達がそんな不確かなものを守る為に日々死を恐れて戦い続けるしか無いのか?
    拠って立つ場所なんて、立場なんてものは、そんなものだ。そんなものでしか無い。
    俺達の国は、敗北したことによりそんなことも忘れてしまった」

('A`) 「アンタの持論なんて聞いている暇は無い。選べ。投降するか、死ぬか」

背後からブースターの炎をたなびかせて、黒いロボットがビコーズ機体を遮り、
振り返れば、白い機体が銃を向けてきている。

どれも、ビコーズのものと同じ姿かたちをした機体だ。

( ^ω^) 「ビコーズさん、これ以上、味方を傷つけるのはやめて下さい。
        僕も仲間を、教官を傷つけたくはありませんお」

ブーンの言葉を聞いたビコーズは、クク、と忍び笑いを漏らした。

( ∵) 「言ったはずだ」

ドクオとブーンは、ゴクリと生唾を飲み下し、トリガーに掛けた指を微かに強張らせる。

( ∀) 「退屈だとな」

面白そうな玩具を前にした子供のような、
しかし、どこか破滅的な笑みを浮かべたビコーズは、
己を絶望させた国へと銃を向け、己を満たす為にかつての仲間達へと突っ込んで行った。


[ 2009/10/22 22:02 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
壊れたビコーズな気も
[ 2009/10/22 22:43 ] [ 編集 ]

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