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('A`)の日常に変化があったようです


430 :('A`)の日常に変化があったようです[]:2009/10/13(火) 11:41:41.25 ID:ThfNs7xMO

早朝の教室が好きだ。
しんと澄みきった空気に満たされた、誰もいない空間。
静かでがらんどうの教室を見渡すと、全然知らない土地に来たような、
不思議な気分になる。
毎朝本を読みながらゆっくりするのが、おもしろくもおかしくもない
退屈な学校生活における、俺の唯一の癒しだ。


けれどクラス替えをしてから、邪魔者が現れた。

川 ゚ -゚)「おはよう」

('A`)「……はよ」

川 ゚ -゚)「元気がないな」

('A`)「……うん」

どんなに早く登校しても、最近はいつも素直クールが先にいる。
1年のときはクラスが違ったから、俺よりも早い奴がいたなんて知らなかった。



432 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/13(火) 11:44:58.19 ID:ThfNs7xMO

川 ゚ -゚)「いい天気だな」
('A`)「……うん」

川 ゚ -゚)「私は春が一番好きだ」

('A`)「……そう」

川 ゚ -゚)「今日は何の本を読むんだ?」

('A`)「……怪盗二十一面相」

正直素直はあんまり好きじゃない。
綺麗な顔をしてるのに常に無表情で、何だか冷たい感じがする。
何より、物怖じしない率直な物言いが苦手だ。

素直を避けようにも、早起きは習慣になってしまっているし、
他に時間を潰せそうな場所はない。
癒しであったはずの時間は、ひどく居心地の悪いものになってしまっていた。



433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/13(火) 11:45:55.55 ID:ThfNs7xMO

キーンコーンカーンコーン

川 ゚ -゚)「毒男」

('A`)「なに」

川 ゚ -゚)「ノート見せてくれないか?うっかり居眠りしてしまった」

('A`)「……俺も寝てたから」

川 ゚ -゚)「そうか」

素直は相変わらずの無表情で小さく頷いた。

素直は人気者だ。俺が断ったって誰か他の奴に見せてもらえるだろう。


というか、なんで俺のところに来るんだよ。

川 ゚ -゚)「すまない。迷惑だったか」

('A`)「あ、いや……」

思わず疑問を口に出してしまったらしい。
いくら苦手な相手でも、頼ってきてくれた奴にこんな言い草はないだろう。
我ながら嫌な奴だと思う。

けれど素直は特に傷ついた風もなく、平淡な声でそう言っただけだった。



434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/13(火) 11:48:56.77 ID:ThfNs7xMO

('A`)(迷惑じゃないって、ちゃんと言うべきだったよな)

( ´_ゝ`)「おい」

('A`)(後で言いに……無理だ)

(# ´_ゝ`)「おいったら」

自分から話しかけに行ったら、嫌でも目立ってしまう。
そうなると面倒だ。面倒臭いのは、嫌だ。

(# ´_ゝ`)「聞けよコルァ!」 ガタン!

(´<_`; )「落ち着け兄者」

('A`;)「うわっ!」 ビクッ

クラスメイトの流石兄弟だった。何度も話しかけられていたらしい。

('A`)「ゴ、ゴメン」

( ´_ゝ`)「いや、カッとなった俺も悪かった」

('A`)「う、うん」

(* ´_ゝ`)「…………」

何かを言いかけてやめた流石兄の頬がみるみる赤くなる。
固まって動かなくなった兄を呆れたように一瞥し、今度は弟が口を開いた。



435 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/13(火) 11:50:11.89 ID:ThfNs7xMO

(´<_` )「毒男が素直さんと仲良いから、気になって仕方ないらしい」

(* ´_ゝ`)「…………」

('A`)「別に仲よくねーよ」

(* ´_ゝ`)「嘘つけ!すす素直さんが誰かに話しかけてるの、初めて見たぞ!」

('A`;)「……シラネーヨ」

(´<_` )「落ち着けって兄者」

(* ´_ゝ`)「…………」

凄い勢いで話し出したと思うとまた黙りこむ。耳まで真っ赤だ。
そんな流石兄のあまりに真剣な様子に気圧されたのか。
うっかり、口を滑らせてしまった。

('A`)「……朝、早くに教室に来たら、いるから」

(; ´_ゝ`)「!?」

(´<_` )「そうなのか、ありがとう」

これでまた邪魔者が増えた。
明日の朝が憂鬱だ。
けれど、ありがとうという言葉が妙にむず痒くて、今はそれどころ
じゃなかった。



437 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/13(火) 11:55:23.02 ID:ThfNs7xMO

('A`) ガラッ

案の定、教室にはすでに素直と流石兄弟がいた。
寝袋が転がっているところを見ると、どうやら泊まり込んだらしい。

川 ゚ -゚)「おはよう」

(* ´_ゝ`)「おおおはよう」

(´<_` )「毒男はいつもこんなに早いのか」

川 ゚ -゚)「そうだ。先週お前が読んでた本、よかったよ」

(* ´_ゝ`)「奇遇だな、俺もその本好きなんだ」

(´<_` )「読んだことないだろ、兄者」

('A`)「……」 イラッ

何なんだ、これ。

川 ゚ -゚)「どうかしたか?」

俺は静かにひとりでいたいだけなのに。
今までずっと、そうしてきたのに。
どうして俺みたいなのに構うんだろう。
やめてくれ。面倒臭いのは御免だ。

( ´_ゝ`)「具合でも悪いのか?」



438 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/13(火) 11:56:49.42 ID:ThfNs7xMO

気づいたら踵を返して走り出していた。
誰もいない廊下に、騒がしい足音が響いている。

きっともう、素直クールも流石兄弟も話しかけてこないだろう。
これで何もかも普段通りだ。

それでいい、それでいいはずなのに。
気持ちは全然清々しくなかった。
ずしりと何か、胸にのし掛かるものがあった。

行くあてもないのでとりあえず正門を出る。
近くの公園にでも行こうと走るのをやめた瞬間、

川 ゚ -゚)「そいや」

背中に衝撃が走った。

(; ´_ゝ`)そ 「!?」

(´<_`; )「あっ……」
女子とは思えないものすごい力で素直に組伏せられながら、
ようやく飛び蹴りをくらったのだと理解する。

(* ´_ゝ`)(パンツ見えたパンツ見えたパンツ) ブシュッ

(´<_`; )「何故に兄者が鼻血を!?」

('A`;)「…………」

川 ゚ -゚)「教室、戻るぞ」



439 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/13(火) 11:58:47.81 ID:ThfNs7xMO

(´<_` )「俺は兄者を保健室に連れて行く」

(* ´_ゝ`)(パンツ見えたパンツ見えたパンツ) ドクドク

ついさっき走り抜けた道を、今度はゆっくり、素直と二人で戻る。
逃げようにもがっちり右腕をつかまれてしまっているし、
もうそんな体力も残っていなかった。

素直は黙って歩を刻む。さらさらと揺れる髪、透けるように白い肌。
朝の光を受けた素直は人間じゃないみたいに綺麗だ。

川 ゚ -゚)「お前、泣きそうな顔してた」

('A`)「…………」

川 ゚ -゚)「私が嫌いなら、もう近づかないから、」

('A`)「違う」

素直は足を止めて、俺に向き直る。
長い長い睫毛が縁取る大きな瞳が、まっすぐに俺を映す。

('A`)「……自分が嫌になった」

川 ゚ -゚)「どうして」

('A`)「わからん」

川 ゚ -゚)「それは困ったな」



442 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/13(火) 12:03:28.86 ID:ThfNs7xMO

素直が人に囲まれているのは美人だからだけじゃない。
ちゃんと人と向き合おうとしているからだ。
流石兄だって、好きな人に少しでも近づこうと努力している。
流石弟はいつもそんな兄をフォローしている。

面倒臭いと理由をつけては逃げることばかりに必死になっている
自分に、気づいてしまった。
苦手でも鬱陶しいんでもなくて、羨ましかったんだと、
ようやくわかった。

('A`)「……イロイロトゴメン」

川 ゚ -゚)「何のことだ?」

素直はぱちぱちと不思議そうに瞬きした。
それから止まっていた足をまた動かしながら、素直はやっぱり
感情の読み取りにくい声音で、「お前は」と呟く。

川 ゚ -゚)「本をたくさん読んでて、物知りだ」

('A`)「…………」

川 ゚ -゚)「物静かで、落ち着いてる」

('A`)「…………」

川 ゚ -゚)「もっと、自分に自信を持つべきだ」

('A`)「…………」



446 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/13(火) 12:07:01.44 ID:ThfNs7xMO

川 ゚ -゚)「私は好きだぞ、お前のこと」

('A`*)「…………」

やっぱりこいつは苦手だ。
川 ゚ -゚) ガラッ

(´<_` )「遅かったな二人とも」

川 ゚ -゚)「色々あってな」

(# ´_ゝ`)「毒男まさかすす素直さんに破廉恥な」 ブシュッ

(´<_` )「兄者、少し黙れ」

('A`)「……ごめん」

(´<_` )「気にするな。俺も突然走りたくなることはある」

川 ゚ -゚)「あるな」

(* ´_ゝ`)「奇遇だな、俺もあるんだ」 ダラダラ

(´<_` )「お前はもう喋るな」

('A`)「………………」

('∀`) 「ありがとう」

それから俺は、学校へ行くのが楽しみになった。



[ 2009/10/13 20:29 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
青い春…
[ 2009/10/13 20:45 ] [ 編集 ]

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