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( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ


106 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:24:10.92 ID:UP/7/GIq0

( ^ω^)「料理ぃ?」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ」

 思わずブーンは聞き返してしまった。
 休日である。
 リビングのソファに寝そべり、来たる月曜日に対抗するための英気を養うべくのんびりやっていた
ブーンの下に、突然現われたお隣さんことツンが発した第一声は、

 ξ゚⊿゚)ξ『私の手料理を振舞ってあげるわ』

 無論アポなどない。なんたってツンはブーン家の合鍵も所持する幼馴染。気心しれた仲ゆえの芸当である。
 それでもツンの来訪と料理とは、全く突然のことで、ブーンはしばし、スーパーの買い物袋を提げるツンと
目を合わせたまま硬直した。

 ξ゚⊿゚)ξ「じゃ、キッチン借りるから」
 川 ゚ -゚)「邪魔するぞ」

 (;^ω^)「えっ!? や、あ・・・っ!? ぁああのッ! ツン様、本日はクー様もご一緒で!?」

 ('A`)「色々遅れとってんぞ、ブーン」
 
 ブーンのあまりの不甲斐ないツッコミに、対面のソファで雑誌を広げていたドクオも呆れ顔である。

 ξ゚⊿゚)ξ「なによブーン。あんたまさか私の手料理が食えないってわけ?」

 既にお手製エプロンを装備したツンがドリルテールをなびかせ顔を上げる。つい先程訪問してきたばかりだというのに、
台所には調理器具一式と食材が所狭しと並べられていた。いつの間に。あのブロンドの輝きはやる気さえも反映しているというのか。



108 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:26:16.41 ID:UP/7/GIq0

 川 ゚ -゚)「フッ・・・我が家口伝の奥義『抜気葦刺士葦』を用いれば、この程度造作もない・・・」

 ( ^ω^)「そこに否やはないけど、少しは説明がほしい――
待ったそこの包丁ちょい待った、まな板の肉、髪の毛ごと切ろうとしてるお」

 勢いよく振り向いた反動だろう、ドリルテールが見事に肉の上を横たわっている。クーは時折変なことを口走るのでスルーだ。
 ツンは何度か髪の乗った肉とブーンとで視線を行き来させると、

 ξ゚⊿゚)ξ「――髪を適量入れるとコクが出る・・・!」

 (;^ω^)「いやいや出ないから!! なんだお、その妙に凄みきかせた声! 髪の毛あえて入れるヤミ料理なんざお断りだっつの!」

 ξ゚⊿゚)ξ「特にブロンドが望ましいらしいわ!」

 (;^ω^)「よ、洋モノッ!? ていうか髪縛るなりなんなりしたほうが――」

 川 ゚ -゚)「フフフ・・・それさえも許容し食してこそ、真の漢というものだぞブーン・・・っ!」

 Σ('A`)「真の漢っ?!」

 Σ( ^ω^)「ちょ、一匹食いついちゃったぞ!?  どうすんのこの子、ねぇどうすんの!?」

 ('A`)「し、真の漢になればボクにも彼女できるかなぁブーン?」

 (;^ω^)「少なくとも今のお前見て付き合ってもいいかなって言う奴は99%いねーお! 単にキモいわ!」

 つまり1人はいるわけだな、そうか、そうか・・・と幸せそうな顔で弛緩するドクオである。もはや手遅れ・・・。
 はぁ、とため息をついたブーンは、そのままキッチンへと視線を移す。オープンキッチンなので、ソファからでも二人の様子はよく見えた。



109 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:27:44.16 ID:UP/7/GIq0

  クーを傍らに立たせ、真剣な眼差しで手元を動かしているツン。時折クーと三言二言、言葉をかわす程度。
とても集中している。
 何気なくキッチンに向かったブーンだが、その手際がのよさが意外だった。
 なんというか、手が淀みなく動いているのである。たどたどしい感じやもどかしさもない。熟練の主婦を
思わせる手並みだった。漏れ聞こえてくるクーとの会話もアドバイスといったものでなく、雑談であるらしい。

 ( ^ω^)(驚きだお・・・ツンはこんなにも家庭的な子だったのかお・・・)

 ツンはなんとなく、料理などは下手そうだと思い込んでいたブーンである。

 ( ^ω^)+(ツンは小さい頃からなんでもソツなくこなす万能タイプだったけど・・・まさか料理までなんて。
相変わらず大したもんだお)

 ダイニング・テーブルに腰掛けながら、ツンのすごさを改めて実感するブーンである。

 ( ^ω^)「・・・ところでツン?」

 ξ゚⊿゚)ξ「なにー?」

 視線は手元に向けたまま答えるツン。

 ( ^ω^)「何だって突然手作り料理なんだお?」

 ξ゚⊿゚)ξ「え?」

 イモの皮切りの手を止め、意外そうな顔で見返してくるツン。幸いにもその髪が切断された様子はない。
 ツンは大きな瞳を2回ほど瞬かせると、

 ξ゚⊿゚)ξ「・・・あれ? あんたもしかして本気で聞いてる?」



110 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:28:56.78 ID:UP/7/GIq0

 ( ^ω^)「ん? ・・・あれ?」

 その声は至って真面目なものに聞こえた。思わずブーンは記憶を思い返すが、このような予定を
事前に約束した覚えはやはりない。

 ( ^ω^)「ごめんお、ちょっと思い出せなくて・・・もしかしてツンに料理作ってもらう約束とかしてたかお?」

 (#'A`)「女子から手料理を押し頂くことが誰しもに与えられた平等な権利だと思うなよッッ!!」

 (;^ω^)「うるせーな!!」

 川 ゚ -゚)「ほらブーン。君が少し前に学校で・・・」

 と、クーが語るには・・・・・・・・・・・・。


 - 数日前・放課後 -

 ('A`)『ところでさブーン、最近俺、飯マズ嫁って言葉を聞いたんだが』

 ( ^ω^)『ほう』

 ('A`)『なんでも料理を作ると本人が意図せずとも失敗、もしくは非常にまずいものが出来上がってしまう既婚女性のことらしい』

 ( ^ω^)『そりゃなにかと苦労が多そうなことだお・・・それで?』

 ('A`)『隣のB組のデレちゃん ζ(゚ー゚* オハヨー がな・・・どうも料理・・・苦手らしいんだ』

 ( ^ω^)『・・・なんとなく読めてきたお・・・それで?』



111 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:30:26.53 ID:UP/7/GIq0

 ('A`)『俺はっ! 君が飯マズ嫁だろうと! 苦にはならない、なぜなら俺は!
    俺は!! 世界の誰よりも君が好きだからッッ!!』

 ( ^ω^)『どーせ、わたし気にしてるのに! ドクオ君ひどいよ最低! ってなじってほしいんだお? 死ねお』

 (*'A`)『ば・・・っ! おま、それじゃ俺がただのドMな変態みてぇじゃねーか!』

 (;^ω^)『え、なんでちょびっと嬉しそうなの? ガチ? あ、ごめん少し離れてくんない?』

 (*'A`)『あの明るい優しいデレちゃんが実はS! いいぞ・・・いいぞノッてきたぞ・・・これは今晩使える!!』

 ( ^ω^)『さーて、そろそろ帰ろっかなー』

 ξ゚⊿゚)ξ『・・・ふうん』

 ( ^ω^)『お? ツンいつからそこに・・・どうかしたかお?』

 ξ゚⊿゚)ξ『――男は、料理下手な子が好きなのね?』

 -------

 ( ^ω^)「・・・・・・・」

 川 ゚ -゚)「以上」

 Σ( ^ω^)「以上!?」

 川 ゚ -゚)「? そうだが?」

 情報量が決定的に足りていない。



112 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:31:06.81 ID:UP/7/GIq0

 (;^ω^)「やっ・・・その流れでいくと、えぁ・・・? え、ツンってドクオのこと――」

 ξ#゚⊿゚)ξ「はァ? アンタばかぁ゛?」

 (;^ω^)「マジギレ! すいません!? え、あれぇ?」
   _,
 川 ゚ -゚)「今ので分からないとはな・・・君に気遣いとか察する心を期待していたとは言わないが、ブーン・・・、
私は君のことを少々買い被っていたようだ」

 ('A`)「はぁ・・・さすがだぜブーン、さすが」

 (;`ω´)「ドクオてめえ!! て、なんでこんな集中砲火食らってんお?! いい加減ひどいわ! 
ふん、どうせブーンは馬鹿ですお! これで満足かお!?」

 川 ゚ -゚)「え、なにが?」

 Σ(;´ω`)「なにが!?」

 ξ゚⊿゚)ξ「ちょっとブーン、うるさいわよ!」

 しおしおとうなだれてソファへと沈むブーン。哀愁漂よわせ横たわるその背中は、まさに負け犬か。
 その様子を、クーは横目でちらりと見やっていた。
 あの様子ならしばらくこっちへは来ないだろう、そう思った上で、声を潜める。

 川 ゚ -゚)「・・・で、ツン。按配はどうだ?」

 ξ゚⊿゚)ξ+ 「ええ、いい感じよ!」

 嬉々とした笑顔で、ツンが振り返った。
 何気に包丁を持ったままだ。無表情に一歩後退するクー。



113 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:32:09.95 ID:UP/7/GIq0

 ξ゚⊿゚)ξ+「見てこの歪なジャガイモ! 皮剥いてない人参! 味噌入ってんだか入ってないんだか
わからないぐらい透明なダシ! もう最高、我ながら最高の出来よ! まさに究極のシーソーゲームじゃない?!」

 川 ゚ -゚)(はしゃいでるなあ)

 と、胸中で呟いてから、ツンの手元へ視線を動かす。
 シーソーゲームかどうかは知らないが、言われた通り見れば、それはなるほど、先程ツンが見せた
鮮やかな手並みの結果とは思えぬほど無残な調理風景が広がっていた。

 ξ゚⊿゚)ξ「どうどう?」

 川 ゚ -゚)「・・・うん。まず間違いなく、これはまずい料理になるだろうな」

 ξ*゚⊿゚)ξ「でしょ、でしょー!? なんたってうっかりが秘訣なのよ。あの後少し調べたんだけどね、塩と砂糖よ、塩と砂糖!?
ありえないんだけどね、これを間違えることがドジッ子の基本らしいわよ? このまま行けば私も名実ともにドジッ子って寸法よ!」

 不恰好に切り刻まれた食材、薄すぎる味付け、茹でを通りこしひたすらぐらぐらと煮詰められる野菜達・・・。
 塩と砂糖を間違える必要もない。これはもう、どう足掻こうと『まずい料理』が出来上がることは間違いないであろう。

 川 ゚ -゚)「・・・ふむ」

 クーは少し肩を落とした。

 川 ゚ -゚)「・・・・・・」

 ξ゚⊿゚)ξ「♪」

 ツンは作業の手を休めない。その声は非常に上機嫌で、今に鼻歌も始めそうなほどだ。
 それを見やるクーは、いささか苦しげに眉根を寄せていた。
 クーはよく知っているのだ。この日のため、ツンが日夜料理を『不自然でない程度にまずく作る』練習をしていたことを。



114 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:33:06.00 ID:UP/7/GIq0

 川 ゚ -゚)「・・・なぁ、ツンよ」

 ξ゚⊿゚)ξ「うんー?」

 川 ゚ -゚)「なにも無理してマズく作らずとも、よいのではないか?」

 ξ゚⊿゚)ξ「だッ!?」

 ばっとツーンが振り返る。手に包丁。クーは無表情のまま、若干上体を反らせる。

 ξ;゚⊿゚)ξ「だめよぉそれじゃあ!」
 
 川 ゚ -゚)「どうして」

 ξ;゚⊿゚)ξ「普通に作ったら、ただ料理ができる子みたくなっちゃうの!」

 思ったとおりの答えに、クーは思わずため息をついた。

 川 ゚ -゚)「なぜそこまでまずいことに拘る・・・? ブーンならばきっと、美味しい料理でも十分喜んでくれると思うが」

 ξ゚⊿゚)ξ「だめ。それじゃ、だめ」

 いやいやと首を振るツン。まな板の上の肉に視線を落とし、それをわざと不恰好になるよう包丁を入れていく。
 トン、トン、トン。
 リズミカルであるにも関わらず、肉は大小様々なパーツになる。

 ξ゚⊿゚)ξ「・・・休みに手料理作りにきた、って・・・それじゃ」



115 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[sage]:2009/10/11(日) 10:34:12.35 ID:UP/7/GIq0

 ぐらぐらと湯が沸騰する音が聞こえる。
 包丁の音は止んでいた。ツンの横顔は、テールに隠れて見えない。
 クーは、ソファの上で死んでいるブーンの背に足を置き、ご満悦そうなドクオを見ているようなフリをしながら
言葉を待っていると、やがてか細い、ひどく小さい声が聞こえた。

 ξ ⊿ )ξ「それじゃまるで・・・アレ・・・みたいだし・・・」

 クーは今度は、聞こえないようにそっとため息をついた。それは根本的に的外れな考えだと、クーは確信さえしていた。
 ブーンは気付かなかった。台所の惨状に。
 ツンの手さばきの良さゆえに、炊事経験のないブーンがそれに気付こうはずもない。だが、それはきっと些細なことだ。
 なぜならブーンの視線はただ、料理をするツンの姿にのみ注がれていたのだから。

 川 ゚ -゚)(・・・いや、無粋なことは言うまい)

 そう思い、クーは自身を諫めた。
 やきもきもするし、もう少し別な方法があるのでは、と思うことも多い。多いが、これはこれで、どういうわけか
上手くいくことも多いのだ。自分自身、そういう方面に明るいわけでもない。
 それになにより――。

 川 ゚ -゚)「・・・すまないな、変なことを言って」

 ξ゚⊿゚)ξ「ふん。もう忘れたわ」

 これまた、クーには確信があるのだ。
 きっと上手くいくんじゃない? 普段いつも身近でいるからこそ感じる、そんな確信が。



116 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:34:58.47 ID:UP/7/GIq0

 川 ゚ -゚)「むしろ、いかにもこの二人らしいではないか」

 ξ゚⊿゚)ξ「え、なに?」

 川 ゚ -゚)「さて、なんだろうな。秘密だ」

 ξ*゚⊿゚)ξ「・・・なによそれー」 

 可笑しそうに笑うツンを見て、クーも笑った。
 これでいいのだ、きっと。そう思い口を閉ざした。
 隣からは、再びリズミカルな音が聞こえてくる。その音はなぜか心地よい。
 ソファに目を向ける。ドクオに踏まれるブーンの姿に思わず笑いそうになる。
 うんうん、と意味もなく口元を綻ばせたクーは、さてどうなるかな、と不安半分、楽しみ半分の心でつぶやいた。
 流れる時間はとても穏やかで、心地よく――

 ――そして事ここに至るまで、ある欠点に気付かなかったのは、クー痛恨のミスだった。
 
 ξ゚⊿゚)ξ「――あれ? フランベ?」

 ツンの一言に、クーの温まっていた心は一気に氷点下まで落ちた。
 そう、失念していたのだ。ツンのあまりの覚えのよさに。数日で下手とはいえ、見事な手さばきを
見せるようにさえなった、ツンの料理の腕前ゆえに。
 彼女が料理を練習しだしたのは、『数日前』。どれだけ巧妙に下手にできようと、手さばきがすごかろうと。
 ツンは名実ともに、料理の素人なのである。



117 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:35:39.43 ID:UP/7/GIq0

 川;゚ -゚)「ツン落ち着け! 落ち着くんだ!」

 ( ^ω^)「!?」

 クーの叫び声に、ブーンは思わず跳ね起きた。
 そして跳ね起きた瞬間、異変に気付いた。ティコン、ティコンとやかましいアラート。そして目に飛び込んできた光景。
 鍋から火の手が上がっていた。

 (;^ω^)「うぉおおおおおおおおおおおおい!?」

 思わず叫ぶブーン、しかしあまりに衝撃的な光景に、その場に釘付けになってしまう。

 (;^ω^)「なん・・・っ!? ちょ、えぇ?! なんじゃこりゃぁあ!! ツン、大丈夫かお!」

 ξ;゚⊿゚)ξ「ぶっ、ブーン! ブーン!」
 
 ツンは半狂乱で、クーに肩を引かれ炎から遠ざけられている。
 それでも火の手上がる台所から離れないのは、自分の責任だという罪悪感からだろうか。

 (;^ω^)「ツン! ツン!」

 ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン、あたし! 消さないとコレ! 違うの、ここまでやるつもりじゃなかったの!
       あたし作ろうとしたら――!」

 (;^ω^)「おおおおおちつけお、ツン! 危ないからコッチに――!」

 ξ;゚⊿゚)ξ「ただ、豚汁作ろうとしただけなのよ!!」

 (#^ω^)「ンなんで豚汁つくろうとして炎上するんだお!! 普通天ぷらとかじゃないのそーいうのって!?
どこをどうしたらそうなるっつの!! 思わずツッコんじまったわちくしょい!!」



118 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:36:40.00 ID:UP/7/GIq0

 (;'A`)「あばばばばばばば、あっばばばばば」

 (;^ω^)「あのドクオまでテンパっちゃってるお!! なんとかしろこれ!!」

 川;゚ -゚)「そんなことはどうでもいい!! 早く消火だ消火!!」

 (;^ω^)「おぉう! 消火剤!! そうだお、確か物置にミニのが――」

 そう言い走りかけたブーンが、固まった。
 台所にいるツンが、何か青いものを両手で持ち、それを振りかぶっていた。上に、でなく、腰ためにするように。
 クーはこちらに顔を向け、そのことに気付いてない。ブーンは叫んだ、力の限り。
 なぜなら、ツンの手に握られていたのは青い、プラスチックのバケツ――

 ξ;゚⊿゚)ξ「消火ァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 (;^ω^)「水はらめええええええええええええええええええええ!!!」

 無我夢中で走ったブーンは一足飛びでテーブルを乗り越え、ツンめがけ飛び込んだ。
 バケツを振り切った直後のツンの胴体に、全力でタックル。
 ブーンには、驚きに目を見開くツン、そしてその瞳に映る火まで見て取れる。すべてがスローモーションとなった世界で、
そのままゆっくりと重力に引かれ倒れこみ――瞬間。
 ジュッ、と一瞬嫌な音の後に、立ち上がる火が数倍に膨れ上がったのが、背に感じる熱でわかった。
 そして降り注いでくる、火の雨さえも。
 ブーンは強く、強くツンを抱き締め。突然、呆然と目を見開いていたツンが、キッと眉根を寄せた瞬間。

 ξ#゚⊿゚)ξ「ふんッッ!!」

 そして、ブーンは見た。
 自分の両脇をツンのドリルテールが、まるで本物のドリルを思わせる回転をしながら通り過ぎた光景を。
 そして火の雨の前に躍り出たドリルテールが、まるで蛇のように目にも止まらぬ速さでのたくり、全ての火を叩き落とした光景を――!



121 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:38:00.76 ID:UP/7/GIq0

 (;^ω^)「・・・んなアホな」

 記憶を思い起こしたブーンは、ぞうきん片手に思わずそう呟いた。

 ξ゚⊿゚)ξ「は? なんか言った?」

 隣で床に散らばった食材を片付けていたツンが、それに答えた。

 (;^ω^)「いや、ちょっと自分の見た現実を受け止められなくて・・・」

 ξ゚⊿゚)ξ「はァ・・・?」

 ――火はその後、消火器を片手に現われたドクオによって、無事消し止められた。
 換気扇どころか天井までも舐めるほど大きかった火は、もう跡形もない。さすがに壁やその辺りのこげ跡は
くっきり残っているが、ツンと一緒に頭を下げれば両親も笑って許してくれるだろう。
 ツンはどういうわけか、ブーンの両親のお気に入りなわけで。
 アラートは鳴り止み、辺りは静か。
 クーもドクオもこの場にはいない。それぞれの後片付けに当たっている。
 ブーンがぞうきんを絞る音と、時折ツンが立てる足音だけが聞こえていた。

 ( ^ω^)「・・・なんであの火の雨の中、ブーンは背中に火傷一つ負ってないんだお?」

 ツンといえば、そんなこと? と肩をすくめた。

 ξ゚⊿゚)ξ「それはこの私を抱いていたおかげね。火が自ら逸れたのよ、私に当たるのが畏れ多くて・・・」

 (;^ω^)「えぇー・・・」

 と声を上げたブーンを、物理的に刺さりそうな睨みでもって黙らせるツン。
 ふん、と鼻息も荒く再び後片付けへと戻ろうとするツン・・・が、その途中でぴたと動きが止まり、



122 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:39:27.46 ID:UP/7/GIq0

 ξ゚⊿゚)ξ「い、言っとくけど。抱くとか聞いて変な想像すんじゃないわよ? あれはそのアレ・・・言葉のあやだから」


 ( ^ω^)「え、なに?」

 ξ#゚⊿゚)ξ「なんでもないわよ!」

 (;^ω^)「いでぇ!!」

 ツンの鋭い蹴りがパーンと尻に命中した。フン、とまた振り向き後片付けを始める。
 尻をさすりながら、ブーンはその後姿を眺めていた。
 ブーンにはなぜ突然ツンが怒り出したのかわからない。
 わからない、が、その怒る背中はいつもより優しく見えた。自分をぞうきんを絞り、床をふく作業に戻る。
 ふと気になったことがあって、そのまま手を休めず背後のツンにしゃべりかけた。

 ( ^ω^)「・・・ツン」

 ξ゚⊿゚)ξ「なによ・・・」

 ( ^ω^)「怪我、ないかお?」

 ξ゚⊿゚)ξ「・・・なんでよ」

 ( ^ω^)「その・・・」

 一瞬、間を置いて、

 ( ^ω^)「火傷は、跡になりやすいお。小さいものでももし怪我してるなら、早めに手当てしないとだめだお」

 ξ゚⊿゚)ξ「・・・・・・」



123 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 10:40:26.46 ID:UP/7/GIq0

 答えは、しばらくしてから返ってきた。

 ξ゚⊿゚)ξ「・・・んなもん、あるわけないでしょ。あのとき私にタックルしてきたの、誰よ。全く」

 その答えに、思わずブーンは吹き出した。

 ( ^ω^)「それもそうだお」

 ξ゚⊿゚)ξ「・・・ふん」

 例え火の雨が降り注いでいようと、それがツンにかかることはなかった。
 そうならないようブーンは、ツン目掛け飛び込んだのだ。
 怪我があっては困る、火傷は跡になりやすいから・・・そんなことを考える前に、体が動いていたのだ。
 自分がしたことさえ忘れていたことに、ブーンは苦笑した。

 ( ^ω^)(相当慌ててたんだおね・・・)

 ふう、と一息つき、上体を起こす。
 両足で膝まづくような姿勢で、他に汚れているところがないか、ブーンが周りを見回していたとき。
 不意に背中に、何かが当たる感触がした。柔らかくて軽い、何かが。

 ( ^ω^)「・・・・・・」

 ξ゚⊿゚)ξ「・・・・・・」

 ブーンは肩越しに後ろを振り返り、再び前へ視線を戻す。

 (;^ω^)「・・・ツン?」

 ツンが僅かに身じろぐ。



128 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 11:11:00.08 ID:UP/7/GIq0

 俗にいう背中合わせになった状態では、ツンの表情はブーンからは窺い知れなかった。

 ξ⊿ )ξ「・・・その」

 ξ ⊿ )ξ「料理つくりにきたのに、こんなことなっちゃって。なんか」

 ξ ⊿ )ξ「やっぱ謝らないとかな、とか。少しは思いまして」

 もう一度ブーンは肩越しに後ろを振り向いた。
 その頭は若干、うなだれているようにも見える。

 ( ^ω^)
 
 髪の毛から覗かせる耳が真っ赤なのを見、ブーンはもう一度、前を向いた。

 ( ^ω^)「・・・・・・」

 ( ^ω^)「・・・また今度」

 ツンの背中がぴくりと動いたのを、ブーンは感じた。
 
 ( ^ω^)「また今度、家に来て、料理作ってくれると」

 ( ^ω^)「ブーンは嬉しい・・・ですお?」

 その時、ブーンの背中にかかっていた重みが不意になくなった、と思った途端、

 ξ#゚⊿゚)ξ「あっそう! ま、私の料理なんですもんねいくらだって食べたいと思うのは人の常だわ、
 いいわよ、また来てやるわよ! けどね、言っとくけどね!? そっきのは仕方なくよ社会的に謝っただけだから!!
 親しき仲にも礼儀ありっていうから!  勘違いすんじゃないわよいいわね? いいわねっ!?」



130 :( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ[]:2009/10/11(日) 11:12:05.69 ID:UP/7/GIq0

 と、立ち上がったツンはそれを一息で言い切った。ブーンの眼前を指差し、肩で息をしながら。 
 そんなツンの姿を見て、

 (*^ω^)ー3
 
 ブーンはほっと安心した。
 さっきのツンは違和感ありまくりだ。こういうほうがツンらしい、と。
 ブーンは思わず笑ってしまう。

 (*^ω^)(よかったお、ツン元気になったみたいだお)

 ξ#゚⊿゚)ξ「な・に・わ・らっ・て・ん・の・よ?」

 (;^ω^)「いだだだだ!! はいわかりました、わかりましたァ!!」
 
 ξ゚⊿゚)ξ「ふん! とっとと後片付け済ませなさいよ!」

 ドリルテールをなびかせ肩で風を切り歩いていくツンを、ブーンは頬を撫でながら見送る。
 その顔はどこか、満足げでさえあったのである。

 - 廊下 -

 ('A`)「・・・で、俺らはいつまでここにいりゃいいの?」
 川 ゚ -゚)「その内だろう。耐え切れなくなったツンがそろそろ逃げてくるだろうから」
 ('A`)「はいはい、ごちそうさまごちそうさま」

 ガチャッ。
 ξ゚⊿゚)ξ「・・・なにしてんのよあんた達。こんなとこで」
 ('A`) 川 ゚ -゚)「別に?」







131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/10/11(日) 11:16:16.57 ID:UP/7/GIq0

終わりです。途中さるってすいませんでした、初投下に免じて許してやってください・・・
支援ありがとうございました!

( ^ω^) 手料理のようです ξ゚⊿゚)ξ
>>106 >>108 >>109 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>115
>>116 >>117 >>118 >>121 >>122 >>123 >>128 >>130
お題
降り注ぐ火の雨


[ 2009/10/11 22:07 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
わざとメシマズなケースもあったな、入院保険目当てで
また、味見していても味覚がおかしかったり
[ 2009/10/12 09:40 ] [ 編集 ]

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