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('A`)まんどくせようです


29 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:27:36.60 ID:o22wh9Tl0

カーテンを閉め切った部屋の中で、仰向けになってタバコを吸っていた。
煙と音楽が部屋に充満している。白くもやのかかった部屋は、僕の意識みたいだ。

ポータブルプレイヤーをコンポにつなぎ、シャッフル再生で音楽を流してみた。
曲は、日本三大鬱ロックバンドのものだったり、リストカット癖のある歌姫のものだったりする。
そんな音楽ばかり聴いてるから暗いんだと、友人からもたびたび注意されていた。

ぶよぶよとしたゼリーのような空気の中に、ぶよぶよとした不確定な僕が居る。
タバコの灰がTシャツに落ちた。
缶コーヒーの空き缶を灰皿代わりにしながら、我ながら不健康だ、とか、一応思ったりもする。

心地よい気だるさの中、僕はなんとなく死にたかった。


('A`)まんどくせようです



30 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:28:23.32 ID:o22wh9Tl0

('A`)「このまま生きていて、意味なんてあるのかな。」

('A`)「いつ死んでも一緒じゃんねー、ねー。」

('A`)「!!」

そのとき、僕に天啓が舞い降りたんだ。

('A`)「そうだ、今死のう!」

鬱田ドクオ。19歳。
1浪した末受かった大学への入学を控えた僕は、自殺を思い立った。
これといって特別なきっかけもないのだけど、積み重ねられていく自分の中の負の要素に耐えられず、
「これから」に微塵の期待も抱けない自分に絶望してしまった。
目標も無い、何が楽しいわけでもない、どうせ大学でもぼっちだろう。ああ、なんてめんどうくさいんだ。


モラトリアムの間に済ませておくべき問いを、僕はまだ消化できていなかった。それだけなんだ。
「自分の生きる意味」とか、そんな感じのもの。
周りのみんなも考えないわけじゃないこと。ただ、いつか見つかるさ、と頭の隅に取り置きしている。もしくは、しっかりと見つけている。
僕にはそれができなかった。両手のひらで抱えたまま、どうすることも出来ずにうろたえつづけていた。



31 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:29:32.28 ID:o22wh9Tl0

「自分の居場所は自分で作るもの」
青春物のエロゲの教師が言っていた。
生きる意味だってそうだろう。自分の生きる意味は、自分で作り出して、自分で見つけなければいけない。

でも、僕が死のうが生きようが世界にとっては大差ないんだ。
僕という存在は、僕と出会った不特定多数のXさんの生活に、稀に組み込まれるだけ。
僕自身には主体性のない、他の人のおまけみたいなものだから。
僕が居なくても、Xさんの生活は、僕抜きで回っていく。
死んでも3日も経てば元通りと、森山さん家の息子さんも歌っていた。
なら、いいじゃないか。別に。死んでも。めんどうだし。

方法はずっと考えていた。完全自殺マニュアルとか読みながら。
でも、首を吊るのは怖い。硫化水素もなんだか億劫。
そんな時、素敵スポットが頭をよぎった。電車で一時間程度の場所に、火サスにでも出てきそうな崖があったのだ。
船越もなぎさも居ないが、一人火サスごっこをして死ぬのも悪くない気がする。さびしいけど。



32 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:30:34.02 ID:o22wh9Tl0

///

一月前に、友人が死んでいたことを知った。

(,,゚Д゚)「代打塀内は無いだろwwwwwwww」

彼は死ぬ2日前に僕の家に来て、いつもどおり馬鹿な話をして、ゲームをして、笑って、帰っていった。

(,,^Д^)「大沼wwwwwwwww」

僕も彼も抱えているものがあるということは、お互いに分かっていたように思う。
なんとはない憂鬱をかかえている奴は、同じような憂鬱をかかえている奴を感じ取れるのだ。

(,,゚Д゚)「なあ」

('A`)「ん」

(,,゚Д゚)「ありがとうな」

('A`)「……おう」



36 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:31:57.55 ID:o22wh9Tl0

だからって、僕に何ができるわけでも、ないんだけど。

彼は何も語らなかったし、僕は何も聞かなかった。
彼の悩みだとか、死因だとか、詳しいことは何も知らない。
ひょっとしたら、自殺なんかじゃなくて、事故だったのかもしれない。

僕には何も、彼のことが分からなかった。
知らなかった、と言ったほうがいいのかもしれない。

(,,゚Д゚)「また近い内に遊ぼうな」

(,,^Д^)「適当に頑張ってこうぜ」

彼の仏前でたいた線香の匂いが、鼻腔から取れない。

///



37 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:33:02.57 ID:o22wh9Tl0

('A`)「おーおー、よい眺めじゃのう。」

思い立ったが吉日。
死を考え出してからおよそ2時間、僕は岩場に打ち付ける波を眺めていた。
おだやかに打ち付ける波に心安らぐ。これこそ日本人の原風景ではないだろうか。さつま白波のCMとか、東映のオープニングとか、そんな感じの。

('A`)「んん。」

('A`)「このポケットから股間に絶え間なく伝わる振動、間違いなくバイブ。性的な意味で。」

実は、ここに来る前に、若者に大人気(笑)な某SNSに「今から死んできます」という日記を残してきた。
それ以来、道中の電車、タクシー、どこにおいても僕の携帯電話は鳴りっぱなしなのだ。
たまにしか連絡を取っていなかった友人たちから、死ぬな死ぬなといった感じのメール、電話がどさどさ来ている。

('A`)「やべぇ、俺って実は人気者なんじゃね?前世からの繋がりを感じるリアルなソウルフレンド(笑)」



38 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:34:03.64 ID:o22wh9Tl0

大して重要じゃない友人からの連絡は、適当に受け流した。めんどうだから。
「はいはい死にません今から帰ります」と言っとけば、大抵それ以上は食い下がらない。何が「約束」だ。うすっぺらい。
はいお前が今あっさり安心したから一人死にますー、残念でしたー、お前のせいですー。

付き合いの長い友人からの連絡は、応答するかどうか迷った。食い下がられると面倒だからだ。
でも、これまで僕という存在を人生の一部に組み込んでくれていた、数少ない友人たちだ。
仁義ってもんがあるだろうと、僕は電話に出てみた。

「ドクオ!?」

('A`)「ちょりっす」

「何してるんだお!バカなことやめろお!」

('A`)「おー、いやはや申し訳ない。てかバカって言った方がバカなんだぜ?」



39 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:35:03.16 ID:o22wh9Tl0

「いや何言ってんだお!帰って来いお!」

('A`)「すまん、ちょっと無理だ」

「無理とか意味わからんお!お前まで死んだら、僕はどうしたらいいんだお!?」

('A`)「あー……うん、悪い」

「僕のライブ見に来てくれるって言ったお!約束したお!」

('A`)「あー、すまん。上から聞いとく。」

「ふ、ふざけんなお!そ、それにしぃちゃんはどうするつもりだお!」

('A`)「もう別れたって言ったじゃないのブーンちゃん。人の古傷えぐるもんじゃないわよ。」

「いい加減にするお!僕はお前n」

ガチャ切りという奴をかましてやった
取り乱す相手と話している余裕はないのだ。ごめんよ。少しだけ胸が痛む。
お前のことは好きだったぞ。恋人以外では、一番素を見せていたかもしれん。

でも、これ以上生きるのは、なんか無理なんだ。



41 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:36:35.57 ID:o22wh9Tl0

///

何ヶ月か前、僕は恋人を、しぃを殺そうとしていた。
正確には、その後自分も死ぬつもりだったんだけれど。

精神の弱い子だった彼女は、本当に世界に疲れきっていて。
どうしようもないぐらいに疲弊していて、見るに堪えなかったから。

('A`)「よーしよし、こっちに来なさい。」

(*;-;)「」

('A`)「そんな顔しないでいいって。大丈夫。大丈夫だから。」

(*;-;)「そ、それ、じゃ」

('A`)「それじゃ」

「死のうか」



44 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:37:38.58 ID:o22wh9Tl0

彼女の首にゆっくりと手をかけた。
彼女が目をつぶる。
僕はキスをした。
手に力をこめる。
ゆっくり、ゆっくり。
ぐぐっ、って擬音が、よく似合うような。
そんな力の具合で。
彼女の喉から苦しそうな音。

音。音。音。
見えない 感じない 体温 声 あなたの生 性

かすれた声。

「やめて」



しぃには、その三日後に、僕から別れを告げた。

///



45 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:39:35.39 ID:o22wh9Tl0

('A`)「あーあーあー。」

('A`)「あん時一緒に死んどけばさびしくなかったか!」

('A`)「何がやめてだクソビッチ!」

('A`)「……まんどくせ。」

死ぬ直前だと言うのに、微妙な記憶を掘り起こしてしまった。

一応一緒に死のうとした間柄ということで、移動中、しぃには電話で最期の挨拶をしておいた。
引き止められたけど、僕の境遇、考え方を分かってくれていたから、最後には
「そっか」
と、そっけなく理解を示してくれた。失敗したら連絡してね、とも。これはやさしさだろうか。

誰より深く僕を生活に食い込ませてくれた君。君の中でなら僕は自己を持てた。
けど、そんな関係長く続くわけもなかった。
彼女はこれから幸せに生きていけるんだろうか。たぶん、無理だろうな。
まあ、いいか。僕は死ぬ。幸せを祈ってあげることしかできない。

どうしようもないことって、あるもんだ。



47 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:40:44.29 ID:o22wh9Tl0

(*'A`)「きゃー!」

(´'A`)「やめなさい!そんなことをしてもツン子さんは帰ってこない!」

('A`#)「うるせぇ!もうオレには何もねえんだよ!こいつを道連れにして、それでしまいだ!」

(´'A`)「何を言うんだ!娘さん……つーちゃんを置いていくつも」


('A`)「あー、飽きた。」

('A`)「さて。」

('A`)「いよいよか。」

崖から突き出している木にひっかからないように位置取りをする。
下はなるべく見ないように。でもなんか岩壁がすごくごつごつしてる。落下した先は岩場だし。
超痛そう。うわ。嫌になってきた。でもしょうがないな。死ぬのは辛いもんだ、うん。



49 :('A`)まんどくせようです[]:2009/09/25(金) 22:42:26.71 ID:o22wh9Tl0

身を乗り出して、空を眺めて、その後ではるか遠い地面を見つめた。
いろいろ、思い出した。
僕の中の、曖昧な大切なものが見えた。

('A`)「おーし」

しょうがないんだ。

('A`)「みんな、すまんな」

しょうがなかった。
誰が悪いわけでもない。

('A`)「いっせーの」

('A`)「で、いくからな!」

それぞれに理由があって、どうしようもないことがあった。
それに挑むなんて、めんどうくさいじゃないか。



最期の掛け声は「ごめんな、さいっ」で。

走馬灯なんて見えなかった。




[ 2009/09/26 16:35 ] 総合短編 | TB(0) | CM(2)

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
('A`)マンドクセと言いながら生きてるうちが華かもわからんね
[ 2009/09/26 17:33 ] [ 編集 ]

(ヽ´ω`)ドックン…
[ 2009/09/27 22:06 ] [ 編集 ]

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