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('A`)が狼男を追うようです


731 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 13:47:07.66 ID:Yf1nP+dTO

俺には両親がいない。
俺が小さい頃事故でとっとと逝っちまった。
そのことに関しちゃもう何の感慨も起きやしない。


だから俺は高校卒業まで親の温もりというものを知らなかった。
今思えばなんて悲しい生涯を送っているのだろう。


でも俺は運が良かった。
俺が大学生の頃奇跡的に彼女ができた。
ドクオらしくない? それはどこのドクオの話だ。


彼女の両親は俺に両親がいないことを知ると、俺をまるで本当の息子のように扱ってくれた。
嬉しかった。 ただ単純に嬉しかったんだ。




733 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 13:49:33.29 ID:Yf1nP+dTO

彼女との交際も1年がたとうとしていたある日だった。


(*゜ー゜) 「そういえばさ、ドックンもうすぐ誕生日じゃない?」


夏の日差しもまだまだがんばる9月上旬。
うだるような暑さに耐えかね、クーラーの効いた彼女の部屋に避難していた時の会話だ。

('A`) 「よく覚えてたな。 話したことあったっけ?」

(*゜ー゜) 「今年の中秋の名月の日、でしょ? 前に話してたじゃない」

('A`) 「そうだっけ? 覚えてねーや」



もう、と頬を膨らました彼女はとてもかわいらしく、俺とは不釣り合いだな、と自嘲的に笑った。


そういえば付き合い始めたきっかけはなんだったっけ。
こんな大事なことを忘れたなんて言ったらさすがの彼女も怒髪天を衝くだろう。
必死に思い出そうとするがやはり思いだせない。 もういいか、と半ば諦めかけたとき。



734 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 13:52:26.71 ID:Yf1nP+dTO

(*゜ー゜) 「あれからもう1年経つんだね…」

('A`) 「お、おう。 そうだな」


これはまずい。 ここから 「あれ」 に関しての話題が始まるだろう。
それは非常にまずい。 なぜなら俺はそれを思い出せないからだ。
思い出すために俺は必死にマインドハックを試みていた。


(*゜ー゜) 「ちょっと、聞いてる?」

('A`) 「ひゃい!?」

しまった、舌噛んだ。 いてえ。

(*゜ー゜) 「もう… どうせまた考え事してたんでしょ。 人の話ぐらいちゃんと聞いてよね」

('A`) 「すまんこ。 で、何の話だっけ?」

(*゜ー゜) 「うん。 9月14日なんだけどね…」

俺の一世一代のギャグはスルーされた。
というか 「あれ」 の話はもう終わったらしい。
今は俺の誕生日の話になっている。 チクショウもやもやするじゃねーか。


(*゜ー゜) 「ドックンのサプライズパーティをしようと思うの!」



735 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 13:54:57.61 ID:Yf1nP+dTO

('A`) 「……」


俺はサプライズの意味を考えていた。
俺が考えるサプライズと彼女の考えるサプライズは少々違うらしい。


('A`) 「あー。 お前サプライズの意味知ってるか?」

(*゜ー゜) 「? びっくり、でしょ?」

('A`) 「ここで俺に計画言っちゃったら俺サプライズしなくね?」

(*゜ー゜) 「だめだよ。 ちゃんとサプライズしてよね」

('A`) 「なんという…」

(*゜ー゜) 「返事は?」

('A`) 「サー、イエス、サー。 わたくし全力でサプライズいたします」

(*゜ー゜) 「よかった。 じゃあ9月14日の夜来てね。 待ってるから」


と、こんな風に日程を決めた後、いつも通りの会話をした後俺は家路についた。



738 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 13:57:47.25 ID:Yf1nP+dTO

('A`) 「誕生日か…」


思えば誕生日を祝ってもらった記憶がなかった。
両親は小さい頃に死んだし、引き取り先の叔母には厄介者扱いをされていた。
大学に入ってからも友達はほとんどいなかったし。


('A`) 「やべ、泣きそう。 特に友達いないのとこ」


ふと部屋の隅を見る。
そこには殺風景な部屋には似つかわしくない婚約指輪が鎮座していた。
せこせこバイトして貯めた金で購入したものだ。


('A`) 「自分の誕生日にプロポーズってのもなんだかアレだけど…」


すでに就職の内定は出ている。 子供はまだ無理だが2人ぐらいならなんとかやっていけるであろう給料も出る。
あとは彼女がOKするかどうかだ。 もし断られてしまったら…


('A`) 「やべ、こんなん考えてたら決意が鈍る。 寝よ寝よ」


しかしその夜は寝つきが悪かった。



739 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 14:00:12.54 ID:Yf1nP+dTO

いよいよ9月14日が到来した。 空も快晴だ。 今夜は満月がきれいだろう。
あれからも彼女に事あるごとにサプライズサプライズと言われてきた。
本当にサプライズするのは彼女だ。


俺は深呼吸をしながら彼女にメールを送った。


('A`) 「何時ぐらいにいけばいい?」

返事はすぐに返ってきた。

(*゜ー゜) 「うーん、7時ぐらいで」


絵文字も何もないそっけないメール。
慣れているからだ、と自分を無理やり納得させて美容院の予約を午後5時にとった。
ギリギリかな、と思ったが彼女の家にそのまま行きたかったから仕方がない。


カットの途中にうざい美容師にあたってしまったが笑ってスルーした。
うざい割にはちゃんとカットしてくれた。 あしんめとりーとかいうらしい。
普段はつけないワックスもつけてもらった。 なんだか自分じゃないみたいだ。 スイーツ(笑)

この日のために繁華街で服も買ったし。 気分は正にリア充だ。

意気揚々とした俺は時間を見計らって彼女の家に向かった。
もちろん指輪も忘れずに。



740 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 14:02:36.42 ID:Yf1nP+dTO

ドアを開けた瞬間俺はサプライズした。
全く彼女も人が悪い。

いつもは白い彼女の家の壁紙が生物的な赤で染められている。
彼女の両親がクラッカーを持ったまま絶命している。
彼女が月をかたどったペンダントを握りしめたまま目を見開き絶命している。

俺はそんな状況を見て心の中で箇条書きにするしかできなかった。


(A ) 「あ…ああ…」


なぜ?ナゼ?naze?ナゼ?


(A ) 「うわああああああああああああ!!」




742 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 14:04:54.50 ID:Yf1nP+dTO

気づけば俺は家の中を捜索していた。

死体は――おれの大事な家族の死体は――まだ温かかった。 ――生きているかのごとく。
本当についさっきの出来事だろう。
もしかしたら数秒の差かもしれない。

ならまだこの家にいるはず――
俺はまともに機能しない頭で冷静にもそんなことを考えていた。

そしてそれは正しかった。

彼女の部屋。 部屋から月が見えると自慢していた部屋の窓。
そこに奴はいた。

2階だが、奴はそこから飛び降りるつもりらしい。
奴がこっちを振り向いた。
顔は月の逆光でよく見えなかったが、目の光だけは読み取ることができた。

――野獣。 人の皮を被った、野獣。
そんな眼をしていた。




744 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 14:07:06.53 ID:Yf1nP+dTO

(A ) 「殺してやる… 絶対に殺してやるぞ! お前がどこまで逃げても! 地獄に落ちても!

    どこまでも追いかけて殺してやる! 絶対にだ!」


獣は目の光に少しばかりの哀れみを宿らせ――落ちていった。
俺は即座に窓のところに行き、そこから下を見た。

満月の月明かりのおかげで明るかった。
しかし、獣の姿を見ることは叶わなかった。




745 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 14:09:43.47 ID:Yf1nP+dTO

そのあと俺は警察に連行された。
大方俺を疑ってたんだろう。 言い逃れはできない。 そう考えていた。
しかし俺はあっさり釈放された。 3人の死亡推定時刻に俺は美容院に行っていた。

つまり、あの獣は2時間近くも俺のことを待っていたのだ。
何のために? そんな答えはもちろん出なかった。

それからこの事件はワイドショーを騒がせた。
俺のところにも大勢の記者が集まってきたりした。

しかし1か月がたち、さらに2か月がたつとどこのテレビ局でもこの話題を口にするところは無くなった。

しかし俺は忘れたりはしない。
むしろ日が経つごとにつれて憎悪が増大してくる。
――必ず、殺してやる。



746 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 14:12:13.29 ID:Yf1nP+dTO

('A`) 「!」


不意になった携帯に俺の意識は強制的にこちらに戻された。


('A`) 「いけねえ。 今は仕事中だった」


どうにも満月を見ると5年経った今もあの日を思い出してしまう。
俺は早く取れとばかりにやかましく鳴る携帯を通話状態にする。


('A`) 「もしもし」

「早く戻って来いよ! そんな仕事にいつまでかかってんだよ!」

('A`) 「悪い。 今終わらす」

そういうと俺は俺の足もとにいる四肢を撃ち抜かれ動けない男の眉間を狙って引き金を引いた。

('A`) 「終わった。 今から帰る」

「おおそうか。 …で、奴だったのか?」

('A`) 「違うな。 2、3人殺しただけのしょぼい小悪党だ」

「ふーん。 今回もハズレ、かい」



748 :愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中:2008/06/22(日) 14:15:11.65 ID:Yf1nP+dTO

('A`) 「そうだな。 もうちょっとマシな情報持ってきやがれ」

「そう怒るなって。 とりあえず戻って来い。 新情報が入ってるぞ」

('A`) 「わかった。 じゃあな」


俺は今、殺し屋をやっている。
もちろん奴を殺すためだ。
奴は裏の世界じゃ知らないものがいないほど有名なやつだったらしい。

満月の夜にだけ人を殺す、通称 「狼男」。
狼男とはいっても性別すらもわからないらしい。
名高い情報屋も狼男を探すのは不可能といっていた。

だが俺は探してみせる。
奴に復讐するために。

なんとか俺に協力してくれるへんぴな情報屋も見つけることができた。
とりあえず情報屋の所に戻るために木枯らしが吹く中俺は歩き始めた。


('A`)が狼男を追うようです

~終わり~



[ 2008/06/22 21:14 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
続きが気になっちゃう感じ
[ 2009/08/30 13:40 ] [ 編集 ]

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