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('A`)無題ξ゚⊿゚)ξ


443 :1/8[]:2009/09/21(月) 03:21:41.25 ID:5c9hSiWc0

VIP藩城下町のある一画に貧しい人達の住む長屋が建ち並んでいる場所がある。
その長屋の路地で足早に帰路につく男がいた。

すでに日が落ちて町は暗闇に包まれ、月が冷たい光をこうこうと照らす。
このところ暖かい気候が続いていたが今晩は急に冷え込んで冬に逆戻りしたようだった。
路地の両脇に立ち並ぶ長屋からはうっすらと灯りが漏れ、時たまひっそりとした話し声が聞こえる。

そんなどこか物悲しげな道を白い息を吐きながら一人歩いていく。
しばらくして自分の住居を見つけ、戸口の前で立ち止まった。

('A`)「ツン、今帰った。 開けておくれ」

ごとごとと障子戸が音を立てた後、中から若い娘が顔を覗かせる。

ξ゚⊿゚)ξ「お帰りなさい、兄上。 今日のお勤めは遅かったわね」

('A`)「ああ、ちょっと色々あってな」

そう言って中へ入る。
すると部屋に誰かいるのに気づいた。



444 :2/8[]:2009/09/21(月) 03:24:57.14 ID:5c9hSiWc0

( ^ω^)「おかえりだお、ドクオ」

部屋に座っていた男は土間で立つドクオを見て言った。
その男の年の頃は二十前半、太った体つきでその丸い顔は柔和そうな性格に見える。
左手側には武士の証である大小が置かれていた。
身なりからかなりの身分の高い武士である事が伺えるが、
このようなうらぶれた長屋には似つかわしくない存在だった。

('A`)「ブーン……殿、おひさしぶりです。
   ようお越しくださった」

ドクオは軽く会釈をして部屋に上がりブーンの正面へ座る。

(;^ω^)「ドクオ、そんなかしこまった言い方やめて欲しいお。
       なんかこそばゆいお」

(;'A`)「しかし今私は一介の浪人、ブーン殿とは身分が違います」

(;^ω^)「勘弁してくれお。ドクオとの仲は今も変わらないお」

(;'A`)「……」



445 :3/8[]:2009/09/21(月) 03:29:08.85 ID:5c9hSiWc0

台所で夕飯を用意しながらその様子を見ていたツンは見かねて口を出す。

ξ゚⊿゚)ξ「ブーンもそう言っていることだし、兄上も昔通りでいいのよ。
     兄上が帰ってくるまでお夕飯待ってもらったの。
     久しぶりに3人で食べましょう」

そう言うと膳を持ってやってきた。

ξ゚⊿゚)ξ「粗末なものですがどうぞめしあがれ」

( ^ω^)「ご馳走になりますお。 お腹ぺっこぺこだお」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーンがいつも食べているようなものは出せないけど
     肉ぶとんのブーンにはむしろコレくらいが丁度良いわね」

(;^ω^)「ちょwwww肉ぶとんってwwwww」

('∀`)「ぷっ…、違いないな」

ドクオは今までかしこまっていた格好を崩して笑った。
その様子を見たブーンはすこしほっとしたようだった。

(;^ω^)「ドクオまでひどいお。
       でも昔通りのドクオに戻って良かったお」

各々箸を取り目の前の夕飯を口に運ぶ。
食事はとても質素なものだったが久しぶりのブーンとの再会にとても楽しい夕餉となった。



446 :4/8[]:2009/09/21(月) 03:34:32.00 ID:5c9hSiWc0

夕飯後ドクオはブーンに尋ねた。

('A`)「ところでブーンは今日何の用件でわざわざここまで訪ねて来たんだ?」

( ^ω^)「うん、父上たちが決めた約束を果たそうと思ってね」

ドクオとツンはその言葉を聞くと俯いてしまった。
重い雰囲気が辺りを包む。

('A`)「ブーン、新居戸家がこんなことになってしまった今となっては……」

( ^ω^)「関係ないお、ブーンの父上も承知して下さったお」

ブーンはツンの方へ向き直り姿勢を正して言う。

( ^ω^)「新居戸ツン殿、約束通りお迎えに参りましたお。
       この内藤ブーンの家へ嫁に来てくれるおね」

ドクオはツンの顔を見る。
頬をうっすらと朱に染め、目は潤みをたたえて、その長いまつげも涙に濡れていた。
いつもとは違う大人びた妹に少し驚かされた。

幸福なんだろう、今の暮らしでこれ以上の幸福があるのだろうか。
やはりツンの為にも断るべきではない…。
ドクオはそう感じた。



447 :5/8[]:2009/09/21(月) 03:37:49.83 ID:5c9hSiWc0

('A`)「ブーン、ありがとう。
   新居戸家が落ちぶれた後もそのように言ってくれる事、ありがたく思う。
   ツンもブーンの下なら喜んで嫁にいくさ。」

ツンをよろしく頼む そう言おうとした時、ツンが口を開いた。

ξ゚⊿゚)ξ「ブーン、今も婚約を守ろうとしてくれて私とても嬉しいわ。
     でもこちらにも色々と準備があるし、3日時間をくれないかしら?」

( ^ω^)「わかってる、今すぐなんて言わないお。
       3日後に迎えに来るお」

そう言うとブーンは長屋を立ち去った。

ブーンを見送っていた兄妹はしばらく外で立ち尽くす。
外は身を切るような寒さだったが今日の出来事に二人の胸は熱くなっていた。

('A`)「さ、ツン。もう中に入ろう。風邪を引いてしまうぞ」

ξ ⊿ )ξ「はい、兄上」

ツンは呟くように返事をすると半ば上の空で部屋に戻っていった。
そして夜が更けドクオが床についてもツンは一人座って物思いにふけっていた。



449 :6/8[]:2009/09/21(月) 03:47:00.92 ID:5c9hSiWc0


――――――――――――3日後

('A`)「もう一度聞くが本当にいいのか? ツン」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ、もう決めたの」

(;'A`)「しかしブーンの気持ちは? お前だって一緒になりたいんじゃないのか?」

ξ゚⊿゚)ξ「いいの。
     御取り潰しになった家の娘と一緒になるとブーンは世間からいい目で見られないし、
     きっとブーンの出世の妨げとなるわ。
     私、あの人はいつか大きな事を成し遂げるって信じてるの。
     だからそれを邪魔するなんて嫌なの」

('A`)「……もう何も言うまい。
   俺がいたらないばっかりにお前には苦労をかける」

ξ゚⊿゚)ξ「気にしないで、私は幸せよ。ブーンはこんな私でも好きでいてくれた。
     それが分かっただけで私には十分なの」

そう言うとツンは大きく伸びをする。
早朝の澄んだ空気を胸一杯に吸いこんだ。

ξ゚⊿゚)ξ「今日はいい天気。絶好の旅日和ね」



450 :7/8[]:2009/09/21(月) 03:48:22.33 ID:5c9hSiWc0

二人は旅の服装に身を包んでいた。
ドクオはツンを見つめる、ツンはそれに答えてこくりとうなずいた。

('A`)「さぁ、目指すは江戸だ。長旅だが頑張れよ」






歩き出した二人、その後姿はだんだんと小さくなっていった。







451 :8/8[]:2009/09/21(月) 03:49:27.69 ID:5c9hSiWc0

(;^ω^)「どうして……」

何もなくなっている部屋を見てブーンは愕然とした。

(;^ω^)「ツン、どうしてこんなことを……」

力なく両膝をつく。

( ;ω;)「どうして一緒になれないのかお?
      ツン、ブーンを置いていかないでくれお。
      ツンがいない世の中なんてブーンは生きていても仕方が無いんだお」



うずくまったブーンの背中がはげしく震える。
押し殺した慟哭が主のいない部屋に空しく響いていた。



[ 2009/09/21 16:03 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
相手の意志を無視した思いやりは相手を傷つけるだけ
[ 2009/09/21 20:24 ] [ 編集 ]

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