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/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです


407 :/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです 1/12[]:2009/09/21(月) 01:01:48.13 ID:f84tDZA70

荒巻スカルチノフ62歳。
妻である荒巻カーチャンと二人暮し。
息子のホライゾンは都会で派遣の仕事をしており、忙しいらしくめったに帰ってこない。
愛する妻と二人で日々農作業に勤しみ、作物を育てる喜びと、そして何より


時折遊びに来る孫の顔を眺めることだけが生きがいだった。
しかし、どこにでもいる農家の老人の家に、悲劇が訪れた。




『孫は預かった。年金よこしやがれクソ爺。』


/ 。゜ 3「よろしい。ならば戦争じゃ。」



/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです。



408 :/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです 2/12[]:2009/09/21(月) 01:02:31.24 ID:f84tDZA70

場所は地元の人間以外は名前も知らないような山、ぽっかりとそこだけ切り取ったような採石場。
普段は人など滅多に来ることが無く、年に数度、ダンプが石や土砂を取りにくる寂しい場所だった。
しかし現在、そこは火が焚かれ、周りにアルコール類の空瓶が転がる宴会場と化していた。


(’e’) 「じじいってマジで来んの?wwwww辿り着く前に死ぬんじゃねwwwww」

(-@∀@)「そうなったら俺ら殺人犯?wwwwwwぱねぇwwwwwww」

( ^Д^)「もしそんなことなったらこのガキどうすんだよwwwww意味ねーじゃんwwwww」

( ;∀;)「じいちゃん…。助けて。じいちゃん…。」


彼らは暇を持て余していた。
仲睦まじい老人と孫を見て、孫が誘拐されたら老人はどれだけ取り乱すか、
ただ、それを見たいという理由だけで子供を誘拐したいわゆる愉快犯だった。


( ^Д^)「そろそろ時間だぜwwwwwwwじじい早く来いよなwwwww」

(-@∀@)「おじいちゃん!僕たちにもお小遣いちょうだい!ってなwwwwww」

(’e’)「…あれ?何か聞こえね?」



409 :/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです 3/12[]:2009/09/21(月) 01:03:13.02 ID:f84tDZA70

微かに、音が聞こえる。
キュラキュラと響くその音は、戦争映画で時折聞こえる音だった。


( ^Д^)「…何の音だ?」

(’e’) 「…わからない。けど何か聞いたことある気がする。」


無限軌道の音は徐々に大きくなり、やがて坂を上ってくる巨大な機械が視界に入る。

その機械は、田舎で目にするそれより、はるかに巨大だった。
前面には稲を刈るための機構。
中ごろには籾貯蔵タンクと脱穀部。
上部には籾を排出するオーガを備えたそれは、確かにグレンタイプのコンバインだった。


/ ,' 3「孫に害なす愚か者どもが……。」

( ;∀;)「じいちゃーーーん!」

/ ,' 3「わしの孫を泣かせた代価…」

/ 。゜ 3「貴様らの魂を収穫して支払ってくれよう!!」


狂気に染まる老人は、3人の魂を刈取り、収穫すべく機械を駆った。



410 :/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです 3/12[]:2009/09/21(月) 01:03:59.89 ID:f84tDZA70

( ^Д^)「石投げろ!所詮農作業用の機械だ!思いっきり投げて壊しちまえ!!」

3人は地面から石を拾い、コンバイン目掛けて投擲する。
通常のコンバインならば外装及び運転席のガラスは十分に破壊できるだろう。
しかし、乗っている老人と同様に、機械もまた狂気の塊であった。


/ 。゜ 3「装甲はチタン!クローラーには特殊ゴムを利用しておる!!
     わしのコンバインを破壊したけりゃRPGでも持ってこい!!」


投擲された石は硬い音を響かせるだけで、機械の侵攻に何も影響を与えることはなかった。
迫り来るコンバインの上部のオーガ駆動し、男達に排出口を向けた瞬間


(-@∀@)「がっ!ぐb…!!」


圧倒的な速度で飛来した黄金色の波に、一人の男が飲み込まれた。



412 :/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです 5/12[]:2009/09/21(月) 01:04:45.25 ID:f84tDZA70

( ^Д^)「なっ!アサピー!!大丈夫か!返事をしろ!!」

/ 。゜ 3「秒速5リットルで超速排出された籾の味はどうじゃ?」


後方に、籾の山ができていた。
あの中にはアサピーがいる。しかし、籾の山はピクリとも動かない。
アサピーは無事なのだろうか、まとまらない思考、畳み掛けるように老人の声は続く。


/ 。゜ 3「貴様らがどうなるかこれから教えてやろう。」

/ 。゜ 3「ばあさんや!アレ用意してくれ!!」

J( 'ー`)し「はいはい。じーさんはせっかちだねぇ。」


機械のエンジンと、老人の怒声の中、確かに老婆の声が聞こえた。
視界の端に老婆が現れ、機械の前に何かを置いて去っていった。
人型の何かがコンバインの前にある。マネキンだ。
理解の範疇から外れた事態は、エンジン音のみが響く奇妙な空間を生んだ。



413 :/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです 6/12[]:2009/09/21(月) 01:05:41.61 ID:f84tDZA70

奇妙な空間に声が響く。
静かだが、明確な意志を持つその声は、不思議とよく響いた。


/ 。゜ 3「コンバインは、刈取り、脱穀部まで刈取ったモノを搬送し、脱穀を行う。」


マネキンにコンバインが近づいていく。
刈取部が重なった刹那、マネキンは前方に倒れ機械に取り込まれていった。


/ 。゜ 3「まず足首を刈り、自由を奪う。そして機械に取り込む。」


機械に取り込まれたマネキンは、刈取り部を通ると奇妙な体制で後部に搬送される。


/ 。゜ 3「脱穀したい部位、この場合は頭を固定したまま、脱穀部に搬送する」


マネキンが本体に吸い込まれた瞬間、激しい破砕音が響く。


/ 。゜ 3「脱穀。肉体という殻を壊し、魂だけ収穫してくれよう!!」


老人が最後の説明を終えるころ、恐怖が男の体を支配していた。
足が竦む。腰に力が入らない。逃げ出したい。この場から、この世界から逃げ出したい。
好奇心猫をも殺す。遠い昔に習った言葉を、男は唐突に思い出していた。



414 :/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです 7/12[]:2009/09/21(月) 01:06:28.00 ID:f84tDZA70

男は、恐怖が飽和したのか冷静さを取り戻していた。
確かに、巨大な機械で脅威ではある。
しかし、背後はどうだ。巨大さ故に死角になっているのではなかろうか。
背後には刈取り部は存在しない。また、あの籾も襲ってこないだろう。
二手に別れ、背後を取り、あわよくば運転席を制圧する。
思いついた妙案を、仲間に小声で伝え、老人の注意を引き始めた。


( ^Д^)「じじい!よく聞け!テメーの孫はまだ俺の手の中にいるんだぜ!!
      そこんとこよく考えて発言しやがれ!!」

( ;∀;)「じいちゃん……。」

/ 。゜ 3「…ああ、そうだな。」

/ 。゜ 3「ばあさんや!アレの準備しといてくれ!!」

J( 'ー`)し「はいはい。いつでも大丈夫よ。」


老人の目はこちらに向いている。仲間は、静かに老人の視界から消える。
もう少しだ。もう少しの時間あのじじいの注意を引き付ければ、仲間が背後を取る。



415 :/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです 8/12[]:2009/09/21(月) 01:07:20.14 ID:f84tDZA70

( ^Д^)「てめーからもじじいに頼むんだな。『じいちゃん!この人達にもお小遣い上げてよ!』ってなwwwww」

( ;∀;)「うわぁああああ!!じいちゃん!助けて!!じいちゃん!!!」


ガキの頬にナイフを近づける。
これでいい。仲間がもう爺のふざけた機械の背後に来ている。
そうだ。もう少しだ。軽くガキに傷をつけてもっと注意を引いてみるべきか。



416 :/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです 9/12[]:2009/09/21(月) 01:08:02.17 ID:f84tDZA70

ふとガキの方を見た瞬間、キュラキュラとつい数十分前に聞こえた音が響いた。
顔を上げると、コンバインは逆を向いており、オーガの排出口は仲間を捕らえていた。


/ 。゜ 3「無限軌道を舐めるな若造。その場で急速旋回なんぞお手の物じゃ。」


黄金色の奔流に仲間が飲み込まれた。その後、クソッタレな機械は逆を向き、こちらを向いた。
あとは、もう、俺でもわかる。あのバケモノみたいな機械に生命を収穫されちまう。
嫌だ。何かないか。何か手は。

…あった。ガキだ。あの気狂い爺が溺愛しているガキだ。

( ^Д^)「じじい!まだわかってねーのか!!
      ガキはまだ俺の手の中に…」

/ 。゜ 3「ほう。お前の手の中にわしの孫がいる、と?」

( ^Д^)「ああ、そうだとも、これが見えねーのかよ老いぼれが!!」


( +∀+)…


( ^Д^)「…は?案山子?」



427 :/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです 10/12[さるった…]:2009/09/21(月) 01:21:44.12 ID:f84tDZA70

J( 'ー`)し「モララーちゃん、怖かったかい?もう大丈夫だからね。」

( ;∀;)「ばーちゃん!怖かったよぉ!!」

コンバインの横に、泣きじゃくるガキとババアがいた。


/ 。゜ 3「ばーさんはの、人前に出ることを好かん。
     それが高じて気配を消すことを可能としておる。」

/ 。゜ 3「さぁ、若人よ。お前の魂刈取らせてもらおうかのう…。」


ゆっくりと無限軌道の音が近づいてくる。
さらに近づいてくる。足元近くで鋭い金属同士が、足首を落とそうと刃を軋らせる音が聞こえてくる。
脱穀部では、首から先が機械に取り込まれているマネキンが揺れている。


俺は意識を手放した。農家ってすごい。心の底からそう思った。



429 :/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです 11/12[]:2009/09/21(月) 01:22:57.72 ID:f84tDZA70

目が覚めた時、まず自分が生きていたことに驚いた。
辺りを見回すと、仲間も気を失ってはいるが、命に別状はないようだった。
3人で昨日のことを語り合い、二度とこの地域に来ない旨を誓い合った。



帰り道、二度と会いたく無い、人物とすれ違った。


( ・∀・)「やっぱじいちゃんってすげーや!」

/ ,' 3「モララーも、大きくなったらこれくらいすぐできるぞい!!」


顔を隠すように、下を向いて足早に過ぎ去ろうとする。
じじいはこちらに気づいていない。このまま、ここを去ろう。
何もかも忘れて、退屈だけど楽しい日常を取り戻すんだ。


/ ,' 3「モララーや。ちょっとばーさんを呼んできてくれるかの。」

( ・∀・)「うん!行ってくるね!」



431 :/ ,' 3は農機具を武器に戦うようです 12/12[]:2009/09/21(月) 01:23:59.87 ID:f84tDZA70

ガキが俺たちの横を走りぬける。
一瞬、体が強張ったが、何よりも、早くこの場を離れねば。


/ 。゜ 3「若造、次にもし貴様らに会ったなら、その時は問答無用で刈取るぞい。」


二度と、この土地には近寄れない。
農家ってすごい、ではない、怖い。



この日から、俺たちは恐怖を克服するために農業を始めることにした。


おしまい



[ 2009/09/21 16:01 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

展開も後味もいいなwww
[ 2009/09/26 11:04 ] [ 編集 ]

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