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無題


113 :1/10[]:2009/09/16(水) 02:01:49.86 ID:A2zm9c1P0

('A`)「ん、朝か……」

ドクオは顔に差し込んだ朝日と鳥達の鳴き声で目が覚めた。
う~ん、と伸びをして部屋を見回す。
そこには散らかったつまみと、酒瓶を抱えて寝ている同居人2人がいた。
昨日飲みながら演技について議論し合い、そのまま寝てしまったようだ。

ドクオはガラス戸を開けっ放しにしてベランダへ出た。
ベランダにはドクオ専用の灰皿がある。
ライターでタバコに火をつけ、吸う。
部屋からごそごそと物音がするので振り返ると、ショボンが口を大きく開けてあくびをしていた。

(´=ω=`)「ふぁ~、ドクオおはよう」

('A`)「起こしちまったか、わりぃ」

(´・ω・`)「いいよいいよ。でもタバコ吸う時は戸閉めて吸ってね」

ドクオはへいへいと言って戸を閉める。
部屋の空気を入れ替えようと思ったんだがな、とガラス戸越しに聞こえてきた。



114 :2/10[]:2009/09/16(水) 02:04:13.93 ID:A2zm9c1P0

(´・ω・`)「ブーンも起きなよ」

( ´ω`)「おっおっおっ」

(´・ω・`)「起きなって、このカミカミキング」

ベランダからドクオの失笑が漏れた。
ブーンは起き上がって反論する。

(#^ω^)「ちょっ、だからあれは演技だお!!
朴訥さをひゃうげん(表現)したんだお!!」

(´・ω・`)「そうね。ひゃうげんしたんだね」

ドクオは腹を抱えて笑っている。

( ´ω`)「もう、役者として立ち直れないお……」

ブーンは酒瓶を抱いて小さく丸まってしまった。
それを尻目にショボンはテキパキと部屋を片付けていく。
ドクオは外の景色を眺めながら同居生活を始めたときの事を思い返していた。



115 :3/10[]:2009/09/16(水) 02:07:17.70 ID:A2zm9c1P0


1年前ドクオは撮影所で下働きをしていた。
撮影所といってもたいしたものではなく、廃業になった工場を改造してそこを撮影所にした簡素なつくりだった。
多少修復したといっても各所にさびやほころびが見られ、建物の古さがうかがえる。
そんな撮影所であったがドクオはここが好きだった。
映像の舞台裏を見ることは楽しかった。
まるで誰も知らない秘密を自分だけが知っているかのような喜びを得られた。



116 :4/10[]:2009/09/16(水) 02:09:34.59 ID:A2zm9c1P0

ある日ドクオは子供向け番組の収録の雑用をしていた。
"覆面ライダー トンファーブラック"というタイトルで、組織に改造された人間が覆面ライダーになって悪の宇宙人と戦うといったものだ。
ドクオには二番煎じでひどい内容の番組に感じられた。

(#´∀`) 「カーーーット!! カットカット!!
ブーン、何回言えばわかるモナ。もっとまがまがしく!!」

悪役の格好をした男がしょんぼりしながら答えた。

( ´ω`)「おっおっおっ。監督、ブーンには無理だお」

覆面を被った男が落ち込んでる悪役の肩をポンと叩く。

(´・ω・`)「ラスボスがそのくらいで弱音を吐かないの。さぁ気を取り直していこう!」

覆面男の掛け声とともに皆、それぞれの配置につく。

( ´∀`) 「それじゃいくモナ~。
ん~ッ、アクション!!!    モナ」



118 :5/10[]:2009/09/16(水) 02:15:12.98 ID:A2zm9c1P0

ドクオはあまりに多い撮り直しに飽き飽きしていた。
このシーンだけでもすでに10回は撮り直している。
ドクオはその何回か後、また撮り直しと聞いてつい口に出して言ってしまった。

('A`)「へたくそ・・・」

その声は確実にこの場にいた皆に聞こえていた。
皆の動きが止まる。

監督は台本を地面に叩きつけて怒鳴った。

(#´∀`) 「誰だ!! なめてるモナか!! 今言った奴、出て行け!!」

ドクオは自分の失言にはっとした。

(;'A`)「すっ、すいません・・・」

ドクオは周りの視線から逃げるように撮影所を出て行った。

外はもうすっかり暗くなっていた。
ドクオは足元に落ちていた空き缶を思いっきり蹴る。
空き缶は2、3回勢い良くはねて壁にぶつかりしばらくコロコロと転がったあとに止まった。
ドクオはやり場の無い怒りを持て余していた。



119 :6/10[]:2009/09/16(水) 02:17:21.03 ID:A2zm9c1P0

(#'A`)「なんなんだよ、ったく。 へたくそなのは本当じゃねぇか」

下を向いてそう呟く。

不意にお~い、と背後から呼ぶ声がした。

( ^ω^)「ちょっと待つお~。じゃすとあも~めん~」

(´・ω・`)「ブーン、その英語はないよ」

振り返るとさっきへたくそ呼ばわりした男二人がこっちに走ってきている。
ドクオはちょっと身構えた。

(;'A`)「な、なんだよ! やろってのか?」

(´・ω・`)「ウホッ! いいのかい?」

(;^ω^)「……ショボンはちょっと黙ってるお」



120 :7/10[]:2009/09/16(水) 02:19:48.27 ID:A2zm9c1P0

二人が言うには今日の演技の何処が駄目だったのか意見を聞きたいとのことだった。
ドクオにはちょっと信じられなかった。
自分達を馬鹿にした当の本人に意見を聞くなんて考えられなかった。

( ^ω^)「少しでも上手くなりたいんだお!」

(´・ω・`)「うん、いい作品にしたいんだ。 頼むよ」

なんだか自分があまりにも情けなくて逆に清々しくなる。

(*'∀`)「ははは、すげぇよあんたら。 さっきは俺が悪かった許してくれ」

きょとんとする二人を尻目にドクオは歩きはじめた。

('∀`)「俺ん家すぐそこなんだ。 いい酒がある、一杯やりながら話さないか」

その後 夜通し話し込んだ三人は意気投合し、撮影所から近いのもあってたびたびドクオのアパートで酒を飲み明かすようになった。
そしていつの間にか3人の同居生活が始まったのだった。



121 :8/10[]:2009/09/16(水) 02:21:59.73 ID:A2zm9c1P0

ドクオは灰皿にタバコの灰を落としながら同居生活をしてから一年経つことに気が付いた。

('A`)「1年なんてあっという間だな……」

片づけを終えたショボンがベランダに顔だけ出して聞いてきた。

|・ω・`)「ドクオ、今日はどうするんだい?」

('A`)「これから撮影所にいくよ。モナーさんに例のやつを見せようと思って」

|・ω・`)「おっ、ついに台本出来たんだね」

|^ω^)「ブーンに見せてくれお」

いつの間にかブーンもショボンと同じようにして聞いてきた。
ドクオは駄目だ駄目だと首を振る。
モナーさんが先だ、とタバコの火をもみ消して言った。

('A`)「ちょっと早いが昼は撮影所で食べないか」

|^ω^)ノ 「OKだお。 今日は牛丼の日だお~!」

|・ω・´)b 「把握!」

|ミ サッ
|ミ サッ



122 :9/10[]:2009/09/16(水) 02:24:58.09 ID:A2zm9c1P0

三人がアパートを出るといきなり子供達に水鉄砲を浴びせかけられた。

( ,,゚Д゚)「ピザ星人め! トンファービームを食らえゴルァ!」

(;^ω^)「ぐぁ~、やられたお~」

水をかけられたブーンは仰々しく倒れる。

( ,,゚Д゚)「トンファーブラック、悪者は俺がやっつけてやったぞゴルァ!!」

男の子は得意そうにショボンを見上げて言った。
ショボンは少し苦笑して男の子の頭を撫でた。

(´・ω・`)「ありがとね。 でも水鉄砲は人に向けて撃っちゃ駄目だよ。
君と僕との約束だ」

男の子は少し残念そうだったが、約束すると返事をした。
側にいた女の子が、倒れているブーンを覗き込んで話しかけた。

(*゚ー゚)「ねぇねぇ、あれやってよ」

( ^ω^)「ぼ、ぼぼくは、お、おおおにぎりが、すっ、好きなんだな・・・」

(*^ー^)「ふふふふふ」



123 :10/10[]:2009/09/16(水) 02:27:57.29 ID:A2zm9c1P0

3人は子供達にバイバイと手を振ると撮影所に向かった。

('A`)「番組が終わったのに根強い人気だな、トンファーブラック」

(´・ω・`)「ありがたいことだねぇ。
ブーンの"裸のハラショー"も上手くいってるみたいじゃないか」

( ^ω^)「おかげさまで」

('A`)「……後は俺だけだな」

ドクオは手に持っている台本を見つめる。

(´・ω・`)「大丈夫、気にいってくれるさ」

( ^ω^)「採用されたら今日は祝い酒だお!!」

ドクオは二人に笑顔を返した。


不意に追い風が3人を通り抜けていった。

風の吹いていく方向に撮影所がある。

太陽の日を浴びたそれは眩しく見えた。


[ 2009/09/18 22:39 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
おにぎり食べたくなってきた
[ 2009/09/19 15:19 ] [ 編集 ]

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