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クーは伝えたいようです


80 :クーは伝えたいようです:2008/08/06(水) 21:52:07.38 ID:dzgbWXscO

(;A;)「うぅっ……うっ……」

私の横で、友人のドクオが茹だるような暑さの中で両膝をついて大粒の涙を流している。
私はそんな彼に話し掛ける事も無く、ゆっくりと辺りを見渡した。
ここらは大きなビルの立ち並ぶ街が一望出来る小高い丘。
昔からここで、私とドクオは景色を眺めたものだ。

川 ゚ -゚)「ドクオ」

私はドクオの名を呼ぶ。

(;A;)「うぅぅ……うぅっ……」

ドクオは聞こえていないのか、何も答えずに、依然泣き続ける。
そんな奴では無かっただろう。お前は。
私は思いながらも口には出さなかった。
今はそっとしておこう。そう思いドクオの線の細い背中を眺めた。

(;A;)「なんで……」

ドクオは肩を震わせながら掠れた声で言った。
ドクオのそんな声は私は初めて聞いた。というよりも、泣き顔を見たのは初めてだった。

川 ゚ -゚)「お前はドクオだろう……」

私はそんな背中を眺めながら呟くように言った。
私の知っているドクオはそんな情けなく肩を震わせてむせび泣くような男では無かったはずだ。



82 :クーは伝えたいようです:2008/08/06(水) 21:52:58.26 ID:dzgbWXscO

ドクオはいつも冷静で、何事にも動じないような何か昔の男のような威厳があった。
冗談などは滅多に言わず、私は彼を「凍った心の持ち主だ」と言った。
ドクオは「そんな事無い」と言って後頭部をしかめっつらで掻いた。
だけど、ドクオは本当に心が凍っているのでは無いかと思うほど冷たくて、それでいて少し頑固だった。
もう、それは固い、きっと何で叩いても割れない鉱物のようだった。

(;A;)「うぁぁぁ……」

そんなドクオが何故ここまで泣くのだ。
私は不思議でしょうがなかった。君の固く凍った心はどうしてそんな風になってしまったんだ。

川 ゚ -゚)「ドクオ! もう泣くな!」

私はそんなドクオを見ていられずに、叫んだ。
ドクオは聞こえていないのか、依然鳴咽を漏らして泣いていたが、しばらくすると立ち上がり膝についた土を払った。

( A )「……」

ドクオは今どのような表情をしているのかは後ろ姿からはわからない。
だが、やはりいつもの威厳ある様子には見えず、背中がいつもより小さく見えた。

( A )「……」

ドクオ。涙は乾いたのか。もう大丈夫なのか。もういつものドクオなのか
私は何も語らないドクオに問い掛けた。
だが、やはりドクオは何も答えなかった。
そして、ドクオは立ったまた握っていた右手を広げた。
そこには私の良く知るものがあった。



83 :クーは伝えたいようです:2008/08/06(水) 21:53:47.26 ID:dzgbWXscO

( A )「クー」

ドクオが私を呼ぶ。
私が返事をしようと口を開いた時。ドクオは私に何も言わせまいとするように続けた。

( A )「俺は幸せもんだよなぁ……」

ドクオは力無く、呟くように言った。
私は何も言わずにドクオの隣に立った。
ドクオの右手には水色のビー玉が、太陽の光を浴びて光っていた。

川 ゚ -゚)「ドクオ……」

幸せ者は私だよ。私はドクオの横顔を見つめながら言った。
ドクオは私を見ずに、ただ右手の平にある水色のビー玉を見つめていた。

そのビー玉はドクオが最初で最後にくれたプレゼントだったな。
小さい頃、それは今より十年以上前の小学校低学年の頃だ。
その日は私の誕生日だった。そして、幼なじみのドクオに誕生日プレゼントをせがんだんだ。
最初君は適当に私の話しを流して聞いていたけど、私のしつこいお願いに観念して渋々ながらくれたのが、そこら辺に落ちていたその水色のビー玉だった。

私は嬉しくて、それを自宅の宝箱にしまって、毎日それを埃が被らないように磨いていた。
本当に嬉しかった。いつも冷たく私を扱っていたドクオがくれた初めてのプレゼントだったから。

(;A;)「ずっと持ってたんだな……クー……」

川 ゚ -゚)「また泣くのか、君は」

いつからそんなに泣き虫になったんだ。私は問い掛けるが、やはりドクオは何も答えなかった。



86 :クーは伝えたいようです:2008/08/06(水) 21:54:46.18 ID:dzgbWXscO

(;A;)「いつも、冷たくしてたのに……」

そう言ってドクオは流れる涙を拭いて、鼻を啜った。
しかし、それも意味無くまた涙と鼻水が流れ出した。

川 ゚ -゚)「わかってたよ……」

わかってたんだ。ドクオが冷たくする理由を。
だからこそ、私はドクオを愛せたんだ。だから、私はドクオのそばにいつもいたんだ。

(;A;)「なのに……クーは……!」

ドクオは怖かったんだろう?
人に心を開いて、人を信用して、人を愛して、それで裏切られるのが。
怖かったから、誰にも冷たくしていたんだろう?

(;A;)「……俺、クーが好きだったんだ……」

ダメだ。

(;A;)「いつも、俺のそばにいてくれるクーが……」

ダメだ。そんな事を言わないでくれ。

川 ; -;)「私も……私も……ドクオの事が……」

ダメなんだ。君はもう、泣いていちゃいけない。
君は涙を拭って進まなきゃいけない。
大丈夫だから。きっと大丈夫だから。



87 :クーは伝えたいようです:2008/08/06(水) 21:55:56.80 ID:dzgbWXscO

なんで、伝えたいのに。

川 ; -;)「ドクオ……!」

なんで、伝えたいのに、伝えられないんだろう。
大丈夫だよって。もう君には君を愛してくれる人がいるって。
きっと裏切られても支えてくれる人がいるって。伝えたい。

(;A;)「俺、もう無理だよ……」

川 ; -;)「無理なんかじゃない! 無理なんかじゃないから! もうやめてくれ!」

私に執着しないでくれ。
君には君の心の底をわかってくれる人が出来るから。
だから、もう泣かないでくれ。

川 ; -;)「……ドクオ」

私はそっとドクオの肩を抱いた。
いや、抱いたフリをしているだけだけど、君に届いてほしい。私の温もりが。
私の気持ちが届いてほしい。頼むから。

お願いします。ドクオを見捨てないでください。
私の気持ちを届けてくれないなら、どうか見捨てないでください。

お願いします。









89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/06(水) 21:56:50.11 ID:dzgbWXscO

お題
涙は乾いた
凍った心
水色のビー玉

終わりです。
まあ、伝えたい事は伝えれる時にとっとと伝えろよっていう、ありがちな事ですね。

ありがとうございました。



[ 2008/08/11 10:07 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!クーにゃーんにゃーん
死んだ人を想い続けてもいいじゃない、人間だもの。
[ 2009/09/15 19:54 ] [ 編集 ]

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