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(*゚ー゚)あの日、のようです


509 :(*゚ー゚)あの日、のようです[]:2009/09/09(水) 22:23:54.59 ID:iCoF+RCS0

(*゚ー゚)

今年も「あの日」、バスに乗る。
誰もいない、廃駅へ行くために。

――中学生一年の夏、私はある人と出会った。
昔に廃駅となってしまった場所で、傷だらけのあの人と。

(;,,゚Д゚)「っ……女か」

(*゚ー゚)「……ええと、あなたは?」

あの人は開放軍の工作員で西のラウンジに所属している、と苦しそうに言った。
VIPの独裁政治を潰すためだ、と語るあの人はどこか悲しげだった。

中学生二年の夏、「あの日」。
私はまた、誰もいない廃駅へ向かった。
そこで何をする事もなく、座って過ごした。

まるで、あの人を待つのかように。

(*゚ー゚)「……あっ、どうも」

(,,゚Д゚)「……おう」

そして、あの人はまた来た。
その日はとても楽しくて、幸せなひと時だった。



511 :(*゚ー゚)あの日、のようです[]:2009/09/09(水) 22:26:49.47 ID:iCoF+RCS0

中学生三年の夏、「あの日」。
私は近づいてくる受験の為にしなけらればならない、受験勉強を放り出した。
あの廃駅へ向かう為に。

――陸軍、西のラウンジで大勝利。反逆者ら全員処刑

誰もいない部屋で、テレビからあの人がいる解放軍の劣勢が伝えられていた。



(* - )

彼はそこにはいなかった。
不思議と、悲しみはなかった。
ただ、虚しさだけが私を満たしていた……



512 :(*゚ー゚)あの日、のようです[]:2009/09/09(水) 22:29:52.33 ID:iCoF+RCS0

(,,゚Д゚)

妙な奴と出会った。
もう四年も前になるだろうか。
VIP軍の奴らから逃れた山奥で、そいつがいた。

葬式みてえな真っ黒の学生服を着ていて。
俺のような奴を警戒せずに、優しそうな目で。
血まみれの毎日を過ごしていた、俺にとってはそれがおかしかった。


翌年の夏、俺が解放軍に参加する事が無意味に思えてきた。
あの日から丁度一年経ったという事に気づき、何となくあの場所へ向かった。

(*゚ー゚)「……あっ、どうも」

(,,゚Д゚)「……おう」

あいつはまたそこにいた。
まるで、ずっと待っていたのかように。
暇な奴だ、と思った。
でも、あいつと過ごした一日は、俺の頭から「解放」という言葉を消してくれた。



514 :(*゚ー゚)あの日、のようです[]:2009/09/09(水) 22:32:46.39 ID:iCoF+RCS0

俺は解放軍を抜ける事にした。
これ以上、無意味だと思う事をする必要はない。そう思ったのだ。
もちろん後悔はしなかった。
しなかったのだが、VIP軍と解放軍両方を敵に回すのはまずかった。

「追え! 追え! あいつは手と足を怪我しているぞ!」

(;,,゚Д゚)「チッ、こりゃ使いもんにならなさそうだな……」

足をやられ。手もやられ。
義足と義手をつけながら、俺は生き延びた。
ただ、逃げて生きるだけで精一杯だった。

――気がつくと一年が経ち、「あの日」から二週間も過ぎていた。



517 :(*゚ー゚)あの日、のようです[]:2009/09/09(水) 22:35:49.54 ID:iCoF+RCS0

(*゚ー゚)

その翌年、私は高校生になった。
「あの日」が来ても、私はあの場所へ行かなかった。
もう、あの人は来ないんだ、と思った。

私が勝手に期待していただけなんだ。
もう、解放軍の人と会うなんて、馬鹿な事はやめよう。
大人にならなきゃ。

そう思った。
でも、でも……

(* ー )「…………」

何処へも行かずに、何もせずに過ごすその一日は。
今年も眩しくて心地よいはずの日差しが、突き刺さるように痛かった。



519 :(*゚ー゚)あの日、のようです[]:2009/09/09(水) 22:37:56.42 ID:iCoF+RCS0

(,,゚Д゚)

翌年、「あの日」が来て、俺はやっとあの場所へ行けた。

そこには誰もいなかった。あいつもいなかった。
やはり、去年に行かなかったのがまずかったのだろうか。
それとも、あいつはもうこんな事には興味が――

――そこまで考え、夜まで待って、俺が「あの日」に異常なまでに拘っていたという事に。
俺は、初めて気がついた。

///

(*゚ー゚)

どうしても落ち着かなくて、日差しがとても痛くて。
次の日、バスに飛び乗って、あの廃駅へ向かった。


誰もいない廃駅が、去年よりも、もっと虚しくて、そして痛かった。



522 :(*゚ー゚)あの日、のようです[]:2009/09/09(水) 22:41:48.58 ID:iCoF+RCS0

(,,゚Д゚)

俺な、実は解放軍を抜けたんだ。
VIPの独裁政治を潰す! って言っておいてな……
もう意味がないんだ、って思ったのさ。

で、抜けた後はかなり厳しい毎日を過ごしたんだぜ。
解放軍からはもちろん、俺はちょっと有名になっていてな、賞金稼ぎやらもいたさ。
VIP軍からまでも追いかけられたんだ。

何度か死にそうな目にあったか、もう数えきれない。
見てくれよ、この機械仕掛けの左手と右足を。
後悔はしてねえさ、むしろ抜けてすっきりしたんだよ。お前のおかげだ。
これからは、もうこんな馬鹿な事をしないで、少しまっとうに頑張ってみる事にしたんだよ。

でもな、でも……



524 :(*゚ー゚)あの日、のようです[]:2009/09/09(水) 22:44:45.31 ID:iCoF+RCS0

(*゚ー゚)

もう三年経っちゃったね。
本当に、いろんなことがあったよ。
実は私ね、前から希望していた高校に受かったんだ。
今年から高校生なんだよ。

中学生の時の私には友達がいなかったの。
あなたが、唯一の友達だったの。

「頑張れ」って言ってくれたでしょ。
そのおかげなんだよ、黒かった制服も、今はもう白いセーラー服なんだよ。
友達もたくさん出来たんだ。
高校生活は大変だけど、あなたが言ってくれた言葉で、頑張っているんだよ。

でもね、でも……



527 :(*゚ー゚)あの日、のようです[]:2009/09/09(水) 22:46:44.07 ID:iCoF+RCS0


(゚Д゚,,)                               (*゚ー゚)



――今、お前と、会いたい。    ――今、あなたと、会いたい。



529 :(*゚ー゚)あの日、のようです[]:2009/09/09(水) 22:50:14.34 ID:iCoF+RCS0

今年も「あの日」、バスに乗る。
誰もいない、廃駅へ行くために。

(*゚ー゚)

ふと、あの人と初めて出会った時を思い出していた。

あれから四年が過ぎた。
もう高校生二年だ。
高校生活にも慣れたし、友達もさらに増えて楽しくなった。
でも、心はぽっかりと穴が空いている。



531 :(*゚ー゚)あの日、のようです[]:2009/09/09(水) 22:53:13.66 ID:iCoF+RCS0

古ぼけた、VIPと書かれている板を見つめる。
あそこの板に背をかけて、一緒に座ったんだよね。
短かったけど、いろいろ話したんだよね。

あのころの思い出が、鮮明に次々とよみがえってくる。
でも、あの人はいない。

もう慣れたはずなのに、どうしても虚しくなるし、寂しくなってしまう。

(*;ー;)「……うう、泣かないって決めたのに」

いつの間にか、涙がこぼれていた。
視界が霞む。
私は目をごしごしと擦った。

「……手はそのままだ。じっとしてろ」

その時、鉄と鉄がぶつかる音と共に、誰かの声が聞こえてきた。
私は驚きのあまり、固まってしまった。



537 :(*゚ー゚)あの日、のようです[]:2009/09/09(水) 22:56:25.09 ID:iCoF+RCS0

「それにしても……大きくなったな」

まさか、そんな。信じられない。
否定する言葉が、頭の中で埋め尽くされる。

「ええと、ええ……名前、教えてもらってなかったな」

(*つー⊂)「……あなたも、まだ教えてもらってません」

「…………」

風の音しか聞こえてこない。

「……ギコハハハハ! そりゃそうだ! じゃあ、一緒に言うか、せーの!」

ああ、やっぱり。
やっぱり、あの人だ。


(*゚ー゚)「しぃです!」「ギコだ!」(゚Д゚,,)


今年も「あの日」、バスに乗る。
あの人と一緒に、思い出の場所へ行くために。

(*゚ー゚)あの日、のようです~End~


[ 2009/09/09 23:18 ] 総合短編 | TB(0) | CM(2)

すごいよかった!
作者乙!
[ 2009/09/10 06:27 ] [ 編集 ]

良作乙
[ 2009/09/10 18:55 ] [ 編集 ]

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