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(,,゚Д゚)事実に悖る理想郷のようです


195 :(,,゚Д゚)事実に悖る理想郷のようです[]:2009/08/27(木) 19:55:12.64 ID:BDUyep3fO

(,,゚Д゚)「……」

一歩、ギコは足を踏み出す。
見上げれば、そこにあるのは屹然とそびえ立つ真っ黒な壁。
空の闇と相まったそれはちっぽけな彼を威圧し、見下ろしていた。
この壁を抜ければ、もう引き返すことはできない。
ギコは思う。
俺に、その覚悟があるのだろうか、と。

(,, Д )「……」

―――この世界は、不合理だった。

人は地上を支配し、その文明を発達させた。
そして、彼らは高度に発展したその技術を駆使してあるひとつのコンピュータープログラムを作ったのだ。
AIーMRR365と呼ばれるそれは、この世界を常に理想の状態に保つためのプログラム。
MRR365が人々に指示を送り、人々がそれに従い暮らす。
その流れが定着した後、人間は理想郷に限りなく近い世界を手に入れることができた。

(,, Д )「はん、とんだおとぎ話だな」

ギコは鼻で笑い、うつ向いていた顔を上げる。



196 :(,,゚Д゚)事実に悖る理想郷のようです[]:2009/08/27(木) 19:57:53.45 ID:BDUyep3fO

見据えるのは壁。
いや、その向こう。
彼は、ゆっくりと腰の辺りに手をやった。
そして、指先に触れたそれを引き抜く。

(,,ーД゚)「……行くぜ」

誰にともなく呟くと、ギコは2メートル後ろに下がった。
そして、壁の方に向かって思いっきり右足を踏み込む。
空中で先程の剣を構え、降り下ろした。

(,,゚Д゚)「っあぁ!!」

叩きつけられた剣は一瞬のうちに壁を壊し、盛大な音と共にギコは壁の内部に着地する。
前が見えない程の粉塵が辺りを舞い、視界を奪う。
しかし、ギコはそのまま前方へと突き進んだ。
それに少し遅れて、耳をつんざくような大音量の警報が鳴り始める。
壁が壊れたことに反応したのか、彼が中のセンサーにひっかかったのか、はたまたその両方か。
警報と連動し、ギコの前方、左右に建っている背の高い塔が細かく振動し、その塔から無数の青いレーザーが放たれた。

(,,゚Д゚)「!」

足下、あと手と頭各々に当たるか当たらないかの位置を通り過ぎたそれは、彼の背後にある、壊れていない部分の壁をも破壊した。
高い攻撃力。
しかし、ギコが剣でレーザーを迎えると、それは見事なまでに相殺される。
それを確認した彼は足を止めぬまま、降ってくる光を剣を用いて次々と打ち消していった。
まず目指すのは、左の塔。



197 :(,,゚Д゚)事実に悖る理想郷のようです[]:2009/08/27(木) 20:00:53.18 ID:BDUyep3fO

その下にたどり着いたギコは、レーザーの合間を見、剣を左から右に振り抜く。
綺麗に根本から真っ二つにされた塔は揺らぎ、ずずず、という重い音を鳴らしながら倒れ、破壊された。
次いで、右側に位置する塔へと走る。
無規則に発せられるレーザーを右に左にと避け、彼は再び剣を振るった。
崩れ落ちる塔。
侵入者への攻撃が止み、静寂が辺りをつつむ。
息を切らした彼は、今もう眼前に迫るそれを見上げた。
大きな立方体の形をした建物。
あれが――MRR365が、ここにある。
しかし、しかしだ。

(,,゚Д゚)「あれだけか……?」

ギコは眉間に皺を寄せ、ぽつりと溢した。
侵入者に対する攻撃が、あの2つの塔だけなど考えられない。
世界一重要とされるコンピューターがあるのだ。
防御が甘いにもほどがあるだろう。
そしてもうひとつ、彼は疑問を抱いていた。



199 :(,,゚Д゚)事実に悖る理想郷のようです[]:2009/08/27(木) 20:03:17.15 ID:BDUyep3fO

それは、誰もいないこと。
確かに理想郷を豪語するこの世界では、原則として人が武器を持つことは禁止されている。
だからといって、こんな緊急事態にまで。
ギコは注意しながらも、その建物のロックされている扉を叩き壊して中へと入った。
彼は足を止めて周りを見渡す。
外とはうってかわって中は明るい。
天井に照明器具がないことから、四方の壁が光を放っていることが分かる。
殺風景な空間だとギコは思った。
しかしそこで、扉から入った所の正面、つまり彼の正面に一人の男が立っていることに気付く。

( ・∀・)「やあ、君が侵入者?」

(,,゚Д゚)「……!」

声をかけられ、剣を構えるギコ。
そして、その時初めて、彼はとても重要なことに気がついてしまった。

――対峙する男の背後には、あるはずのものが存在しないのだ。

( ・∀・)「はは、その表情。君は何か大きな勘違いをしているみたいだね」

(,,゚Д゚)「……」

汗が、ギコの頬を、そして顎を伝い、床に落ちた。

( ・∀・)「まあ、心配しなくてもこの場所にMRR365は存在しているよ」



201 :(,,゚Д゚)事実に悖る理想郷のようです[]:2009/08/27(木) 20:05:59.79 ID:BDUyep3fO

彼の言葉を聞き、ギコは胸を撫で下ろす。
だが、改めて周りを見渡してみてもやはりそれらしいものは見つからない。
すると、再び男が口を開いた。

( ・∀・)「ただ、MRR365……通称モララーは、君が想像しているような格好はしていない」

(,,゚Д゚)「……」

男の周りの空気が一気に変わった。
そしてそれは建物全体に広がり、ギコをも飲み込んだ。
男に対する底知れぬ恐怖に、ギコの剣を持つ手が、足が、微かに震える。

( ・∀・)「表だけのトランプなんて、つまらなくないかい?」

(,,゚Д゚)「お前が……、」

ギコは言った。

(,,゚Д゚)「AIーMMR365、……モララーなんだな」

少し間が空け、彼は答える。

( ・∀ )「そウだよ」

――瞬間、モララーの姿が大きく歪み、彼を中心に黒いペンキを溢したかのように、闇が建物全体へと広がっていく。



203 :(,,゚Д゚)事実に悖る理想郷のようです[]:2009/08/27(木) 20:08:09.62 ID:BDUyep3fO

ギコの足場が。
両足が。
両手が。
剣が。
首が。
頭が。

(,,;ーД゚)「……っく!」

自らの身体が闇に覆われていく気味の悪い光景に辟易しながらも、ギコはどうすることもできない。
目を開ければ、そこは色のない、モノクロの世界だった。

( ・∀・)「こちラの世界へヨうこそ」

ギコは狼狽した様子でモララーに問いかける。

(,,゚Д゚)「なんだここは…!?」

( ・∀・)「電脳世界とでモ言ってオこうか」

途端に、ギコの視界からモララーの姿が消える。

( ・∀・)「帰りタけれバ僕を殺さナいとね、理想郷に蔓延ル性病くん」

(,,゚Д゚)「な……っ!」

後ろからモララーの声が聞こえ、剣で背後を振り払うもそこには誰もいない。
そして再び、彼の笑い声が背後から響いた。

( ・∀・)「ははっはハははハ!!!」



205 :(,,゚Д゚)事実に悖る理想郷のようです[]:2009/08/27(木) 20:10:11.47 ID:BDUyep3fO

(,,゚Д゚)「畜生!!」

モララーのいるであろう場所を剣で振り抜くも、また、空振り。
振り向いた時には誰もいない。

( ・∀・)「諦メたら?君では僕に勝てナいよ」

ギコの耳元で、突如現れたモララーが囁く。
その直後、ギコの右腕に痺れが走った。

(,,;゚Д゚)「ぐあぁあああっ!!?」

思わず剣を取り落とし、その場に膝をついてしまう。
見上げると、モララーが口の片端をつり上げて笑っていた。

( ・∀・)「はっははハははハ!!痛いだロう?怖いだろウ!?」

(,,゚Д゚)「うるせえ……っ!俺はまだ、あきらめない!!!」

ギコはモララーを睨みつけて叫ぶと、左足を使ってモララーの足を掬い上げた。

( ;・∀・)「ワっ」

ギコは立ち上がり、前のめりになってバランスを崩したモララーの背後に回り込み、その背中に剣を突き立てた。
が。

(,,゚Д゚)「……」

がり、というとても硬い感触。



207 :(,,゚Д゚)事実に悖る理想郷のようです[]:2009/08/27(木) 20:12:21.10 ID:BDUyep3fO

咄嗟に抜こうと試みるが、奥で引っかかっているのか、全く抜ける様子がない。
そんなことをしている間に、モララーの首だけがぐるりとこちらを向いた。

(,,゚Д゚)「……っ!」

( ・∀・)「残念でシた」

先程は腕に流された電流が、今度はギコの身体全体に流れた。
びく、と大きく跳ね上がり、痙攣する。


―――カチッ


( ・∀・)「え?」

と、モララーの耳が、何かのスイッチが切り替わるような音を捉える。
そして改めてギコのいた場所に視線を戻した時、そこには誰もいなかった。

(,, Д )「完了、と」

( ;・∀ )「なっ!?」

モララーの姿が、再びぐにゃりと歪んだ。
しかし今回は彼の意図したものではない、何者かによって強制的に。

( ;・∀》「お前、人間じゃナい……のカ……?」



210 :(,,゚Д゚)事実に悖る理想郷のようです[]:2009/08/27(木) 20:14:40.24 ID:BDUyep3fO

見渡しても、どこにもギコの姿はない。
しかし、声だけがモノクロの世界に響いた。

(,, Д )「昔はそうだったかもな。でも今は、人の形をしたウイルスだ」

《 ・》「馬鹿……ナ………」

モララーがその存在を消した時、そこはあの明るい建物の中だった。
いるのはギコだけだ。

(,,ーДー)「任務完了」

呟くと、ギコの身体が無数の粒子となり、空気中に溶け始めた。
所詮はウイルスだ。
目標を消したところで、その存在が許されるはずもない。
たとえ、元は人間だったとしても。



212 :(,,゚Д゚)事実に悖る理想郷のようです[]:2009/08/27(木) 20:16:50.03 ID:BDUyep3fO

(,,゚Д:,;・'・

AIーMRR645が作った世界は、理想郷などではなかった。

(,,ー:;・':.

それは、人に人の理想を押し付け、コンピュータープログラムが支配者となった世界。

;:'・;.

そして、それに不満を抱いた一部の人々がその技術を結集し作り出した、対AIーMRR365用のウイルスを一人の人間に植え付けた世界。

;・'・

犠牲の上に成り立つ世界が、理想であるわけもない。

・'

「結局、何も、変わらなかったなあ」


終わり







217 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[]:2009/08/27(木) 20:22:12.89 ID:BDUyep3fO

(,,゚Д゚)事実に悖る理想郷のようです

お題は
>>126ー129
性病
こちらの世界へようこそ
「表だけのトランプなんて、つまらなくないかい?」
「まだ、あきらめない」

でした。
まとめは
>>195>>196>>197>>199>>201>>203>>205>>207>>210>>212
です。
地の文頑張ろうと思ってたけど、詰まっちゃってたか。
読みにくくてすまんかった。


[ 2009/08/27 22:42 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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