718 :
◆dTN.blUgNY :2009/07/26(日) 10:23:30.60 ID:jKBItDkkO
( ^ω^)は愛のために戦うようです
ブーンは頭上の桜たちにも、足元のゴミめらにも見とれることもなくひたすらに走っていた。そんな浮かれ具合も仕方がない、今日は超ウルトラ最愛の彼女に会える日なのだ。
⊂二( ^ω^)二⊃「いそぐお! ブーン!」
曲がり角、足に力を込めてラストスパート。
722 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 10:27:57.98 ID:jKBItDkkO
が。
(;^ω^)「お!?」
(;'A`)「うわっ!」
ドゴッ!
衝撃とともに、骨と骨がぶつかり合う鈍い音が頭に響く。誰かとぶつかってしまったようだ。
体格差のせいか、食パンならぬタバコをくわえた小柄色白華奢と萌え三拍子が揃ったのに性別が残念な男――ドクオが一方的にぶつかられ転ばされたようになってしまった。
725 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 10:30:14.47 ID:jKBItDkkO
ブーンが詫びの言葉を喉に詰まらせているとドクオが起き上がり、言う。
('A`)「いてて……あー、悪いな、急いでんだ。これから彼女に会うんでね」
( ^ω^)「お、こ……こちらこそごめんだお」
そこまで言って、ブーンに嫌な予感と電流が走る。
(;^ω^)「あばば、あ、あば、あの、よよよかったら彼女の名前でも聞かせてくれないかお?」
727 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 10:32:47.95 ID:jKBItDkkO
('A`)「あー、しぃっていうんだ。美人だぜ。じゃあ急ぐから――」
どんぴしゃり。
嫌な予感は当たってしまったのだ。
ブーンは頭の中をじわりと侵食する絶望感に、一瞬思考が停止してしまった。
だがこの男を逃がしてはならない。頭は動かずとも、その手はしっかりとドクオの肩を捕まえていた。もみもみ。
(;'A`)「お、おい」
( ^ω^)「しぃは……しぃは、僕の彼女なんだお」
730 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 10:34:41.02 ID:jKBItDkkO
('A`)「……あ?」
(#^ω^)「しぃと僕は愛し合っているんだお! お前の出る幕なんかないお! トリガラめ!」
ドクオの表情が凍り付き、次第に険しくなる。言葉の意味が徐々にドクオの頭に浸透していってるのが、ブーンにもわかった。
(#'A`)「ふざけろ。しぃは俺のことを1番に愛してる。てめぇみてぇなデラックスピザなんかお呼びじゃねぇんだよ!」
(#^ω^)「んだとてめぇ」
ブーンはいつの間にか拳を握っていた。まるでクリームパンだ。また、ドクオも拳を握った。こちらはひどく骨張っている。
しぃという一人の女を巡る二人の男戦いが、今まさにここで勃発した。
732 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 10:36:59.18 ID:jKBItDkkO
…………
(;^ω^)「ふう、ふう、僕のしぃに手出しした報いだお」
(#)A`)「ぐう……」
( ^ω^)「さあ、バカが情けなく転がってるうちに急いでしぃに会いに行くお」
735 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/26(日) 10:38:53.58 ID:jKBItDkkO
(*゚ー゚)『クルルンクルルンプリプリパーッ!』
(;^ω^)「ああーもうあと5分だお! ろ、録画しててよかったマジカルヒロインしぃの冒険」
(;^ω^)「おおっ!? ろろろ録画忘れてたおおお!?」
(*゚ー゚)『今日もパーフェクト! 悪はあたしが滅ぼすの!』
( ;ω;)「オーンオーン」
~~~~~
('A`)
(*'A`)「録画しててよかったマジカルヒロインしぃの冒険」
おわりんこ