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黒と白のようです


437 :黒と白のようです(1/30):2009/07/21(火) 20:45:46.19 ID:A25E7LF9P

世界は『色』を失った

白と黒
明と暗

そのコントラストだけが、辛うじて、色と呼べるモノだった

空は黒に染まり、
黒の雲がそれを覆い隠し、
それらを塗り潰すように燦然と輝く暗色の太陽が、不可視の光を可視へと変えて、白光を降り注ぐ

白色に煌めく星月が、黒色の光明を降り注ぐ

そこに、私は生まれた


全ての色が『逆さ』の世界に、私は生きていた


――黒と白のようです――



438 :黒と白のようです(2/30):2009/07/21(火) 20:47:51.10 ID:A25E7LF9P

物事には全て、因果律というモノがあるらしい

不可知
例え、それであっても……

人の身ではどうしようもない
まさしく神の掌の上にいるような、なすすべのない事象

それが、この身に巣くっていた

『初任務だ……『ビコーズ』、準備は良いな?』

( ∵)「……はい」

胸に備え付けられた通信機から、部隊長であるドクオさんの声が聞こえた
それに一言返事を返し、右手に持つナイフを握り直す

『……』

通信機の奥から、吐息

何か、伝え忘れたことでもあるのだろうか
ドクオさんはまだ、その交信を切っていない

( ∵)「……まだ、何か?」

『……いや、健闘を祈る。……無茶はするなよ』

その言葉を最後に、一時、通信が切られる



441 :黒と白のようです(3/30):2009/07/21(火) 20:49:03.70 ID:A25E7LF9P

それに思考を巡らす気は起きず、今はただ、頭を空っぽにする
そして、しばし時間をかける

閉じた両目
深呼吸を2度3度繰り返し、この目を開ける

( ∵)「……」

2425時

全ては闇に染め上げられ、機械の補助がなければ、伸ばした腕の指先すら見えない世界

それが、この世界の姿
『本当』の、姿

( ∵)「……眩しい」

全てを白に塗り潰し、私の視界を焼き尽くそうとする白光
星月から降り注ぐ、揺らめく光のカーテン

それが、私が見ている世界
1人ぼっちの、世界

その眩しさに、両目を細める



442 :黒と白のようです(4/30):2009/07/21(火) 20:50:01.46 ID:A25E7LF9P

――――先天性反転色感覚障害

黒は白
白は黒

全ての色が、常人の反対の色調で認識される視覚障害

未だ治療方法はなく、存在すら一般には知られていないことが殆どだ
それ程稀有な病気

色逆の世界
それが、私の体を犯していた

( ∵)「……」

それから心を逸らし、最終確認
白に染め上げられた、自らの全身を見つめる

白一色の特別仕様の戦闘服と基本装具

頭には、覆面
胸には、通信機
右手には、ファイティングナイフ
そして、5本の予備のナイフと、閃光弾と手榴弾が腰に3つずつ

それら全てが、白に統一されていた

一通りチェックし終わり、視界に入った左手に目を移す



444 :黒と白のようです(4/30):2009/07/21(火) 20:51:30.64 ID:A25E7LF9P

――――先天性反転色感覚障害

黒は白
白は黒

全ての色が、常人の反対の色調で認識される視覚障害

未だ治療方法はなく、存在すら一般には知られていないことが殆どだ
それ程稀有な病気

色逆の世界
それが、私の体を犯していた

( ∵)「……」

それから心を逸らし、最終確認
白に染め上げられた、自らの全身を見つめる

白一色の特別仕様の戦闘服と基本装具

頭には、覆面
胸には、通信機
右手には、ファイティングナイフ
そして、5本の予備のナイフと、閃光弾と手榴弾が腰に3つずつ

それら全てが、白に統一されていた

一通りチェックし終わり、視界に入った左手に目を移す

( ∵)「……チッ」



445 :黒と白のようです(5/30):2009/07/21(火) 20:53:04.86 ID:A25E7LF9P

違和感を感じ、舌打ち
左手の軍用手袋をはずす
そして再び、その手に戻そうとして、思わず自身の肌を見る

白を滲ませたような、黒
見慣れてしまった、深い灰黒色

それが、左手全て――――全身の肌を覆っていた

( ∵)「……気持ち悪い」

覆い隠すように、軍用手袋を身に着ける

そして、気持ちを落ち着かせるように、もう一度だけ
今度は大きく、深呼吸
気持ちの整理をつける

( ∵)「あと、3分……」

見つめる先は、森
そして、2階建の廃屋

木々の中に紛れるように存在する、テロリスト共の拠点
白色に染め上げられた視界の中、黒色の光を放つ、彼らのねじろ

それを、見つめる

(#∵)「……ッ」

噛み締めた歯から、ギリッ、という音が響いた



446 :黒と白のようです(6/30):2009/07/21(火) 20:55:03.96 ID:A25E7LF9P

世界がおかしくなった時、人の心すらおかしくなった

末法、終末、破滅……
呼び方は色々あるが、その全ては同じ意味だ

人は、終わりを知った

母さんも、例外じゃなかった

( ∵)「誰が好き好んで……」

それは観念的なモノだ

実際、それから30年経った今
それでも世界は続いている

人は、生き続けている



449 :黒と白のようです(7/30):2009/07/21(火) 20:57:05.90 ID:A25E7LF9P

( ∵)「……でも、人の心は脅迫された」

自らが住む日常は不変のモノではない
容易に崩れ落ちる、砂上の楼閣である、と

いつ迎えるとも知れない終焉



それが、目の前に突き付けられたのだ
心が恐慌に至っても不思議ではない

( ∵)「そして、人は現実から逃避する」

幾百幾千……
遥か昔から存在する、宗教

そこに、逃げ場所を求めた

そして、生まれた
心の闇に巣くうように、彼らは現れ始めた

( ∵)「――――『テロ』」

弱い心は、より弱いモノを求める
自己を確立させる為、自分自身の心を否定する

そして、人を虐げるのだ

心の弱さを振りかざし、理不尽な暴力で以て



451 :黒と白のようです(8/30):2009/07/21(火) 20:58:48.49 ID:A25E7LF9P

( ∵)「あと、1分」

――――夜行

テロリスト
心を狂わした人間に、密かに粛清を下す特殊組織

テロによって大切なモノを失った者達が集う、『私設部隊』

それが、私が所属する機関
私の拠り所となっている、ただの……復讐者達

全てを失った、あの日から……

『――――……30秒』

通信機にノイズが走り、ドクオさんの秒読みが始まる
それを淡々と聞きながら、胸の裡に燃え上がった黒い炎に身を委ねる

失った命
守れなった、大切なモノ
それを、心の奥底に仕舞い込んで

その炎に汚されないように、大切に、心に鍵を閉める



452 :黒と白のようです(9/30):2009/07/21(火) 21:01:02.81 ID:A25E7LF9P

( ∵)「……母さん」

無差別テロ
肉片すら残さず燃え尽きた母さん

テロの巻き込まれた――――のではなく、それを起こした張本人

心の弱さに気付けずに、守れなかった大切な人

そして、

( ∵)「……ビロード」

それに巻き込まれた友人

思い出す
彼の親友である2人

そして、私の友人――――だった、ちんぽっぽとワカッテマス

2人の悲しみと怒りの声を
その感情を瞳に乗せて、私を睨む……あの2人の目を

「……ごめんなさい」

誰かに向かって謝る
誰に向けたモノでもなく、懺悔する

……自身の感情の行方すら、分からなかった



455 :黒と白のようです(10/30):2009/07/21(火) 21:04:03.81 ID:A25E7LF9P

『10』

カウントダウンが開始された

もう、戻れない
この手を汚し、人の命を刈り取る

それを自覚し、右手に握ったナイフを強く
……ただ強く、握りしめる

『5』

目を閉じる
白が溢れ世界を覆う

逃れられない

目蓋を閉ざし光を遮っても、そこに白がある無限回廊
それに、脳を焼きつかせる



457 :黒と白のようです(11/30):2009/07/21(火) 21:05:41.97 ID:A25E7LF9P

『状況、……開始ッ!』

――――バチンッ

そして、ブレーカーが落ちる音と同時に、両の目を開く
テロリスト共のアジトから暗色の光が消え失せて、再び、世界を白に染め上げる

『さぁ、お前の世界だ――――ビコーズ』

誰もが不可視に陥る暗闇の世界
恐怖に慄き、身を凍らせる黒色

その『白色』の世界に身を落とし、
全身を白――――『黒』一色の衣装を身に包んで、私は駆けた



458 :黒と白のようです(12/30):2009/07/21(火) 21:08:04.44 ID:A25E7LF9P

**

私は駆ける
音もなく、影もない

テロリスト共のねぐらを求めて一心に、
ただ只管に、迅速で駆け抜け続ける

灰白色の物体
それが2つ、廃屋の前に突っ立っていた

「――――ッ!?」
「――――――――ッ!?!?」

そのテロリスト共から怒声が聞こえた
だが、その言葉の意味を理解する前に、眼前に辿り着く

「な……ッ!?」

そこでようやっと、男は気付き驚愕の声を上げる

『男達』、ではない
飽く迄、眼前に立つ男しか、その暗闇の中では気付くことが出来ない

(#∵)「ふ――――ッ!」

その無防備に晒された首筋に、一閃

右手のナイフで肉を貫き、そのまま横に滑らせる
斬り裂かれた傷口から、大量の白色の血の雨を迸らせ、私の白を白く滲ませる



460 :黒と白のようです(13/30):2009/07/21(火) 21:10:04.39 ID:A25E7LF9P

「どうした!?」

男が倒れる
その音で、もう1人の男がこちらに向くが、明らかにその目は何も映していない

(#∵)「……ッ」

一瞬で男に詰め寄る

体勢は深く、低い
男の視界外から地を這うように駆け抜けて、すれ違い様に、その首を一太刀

先ほどの男同様、悲鳴を上げることもなく口を開閉
空を掻き、血の雨を降らしながら、ゆっくり、その体を後方に倒した

( ∵)「……」

ナイフを一振り
こびりついた肉片と、血の露を振り払い、

( ∵)「……制圧」

その一言を残し、私は建物内部に侵入する



461 :黒と白のようです(14/30):2009/07/21(火) 21:12:35.44 ID:A25E7LF9P

**

一閃、二閃、三閃……
幾度も白色の剣閃を残して、首筋を断ち、白い血雨を降らす

銃声は聞こえない

引き金を引く前に、
そして、私の存在を意識させる前に、その命を刈り取っていく

(;∵)「……はぁ……はぁ……」

どれ位、殺しただろう
息が乱れ、膝が折れる

殺した数など自分で数える気は毛頭なく、
ただただ、後ろに倒れ伏す無数の死体から、推測することしか出来ない

ナイフから止め処なく、血が滴る
戦闘服を染め上げた大量の血液が、腕を伝い、ナイフからぽたぽたと垂れ落ちる

(#∵)「――――~~ッ!」

それを、何度も何度も振り払う

いくら振り払ったところで、再び、それを振えば付着するというのに
意地になったように振り払い続け、まだら模様の壁に、新たな水滴の線を刻み込んでいく



466 :黒と白のようです(15/30):2009/07/21(火) 21:15:07.35 ID:A25E7LF9P

――――カツンッ

突き当たり
右の通路の奥の部屋から、物音
ナイフを振うのを止め、それを認識して気が重くなる

だが、立ち止ることはない
胸の憎しみの炎に突き動かされるように、足音なく通路を突き進む

そして、10秒もかからずに、辿り着く

( ∵)「……」

壁に背を当て、ノブを捻る

ゆっくり、音もなく開くドア
微かに開いた隙間から、その中を覗き込む

人影は、ない

数秒、隙間から中に視線を走らせる
そして、ドアを開き一歩、体を入れた

Σ(#∵)「――――ッ!?」

一瞬でドアから体を離し、壁に背を押し当てる

――――瞬間

数十という爆音を鳴り響かせ、銃弾がドアを粉砕し、粉々に吹き飛ばしていく



470 :黒と白のようです(16/30):2009/07/21(火) 21:17:40.40 ID:A25E7LF9P

( ∵)(……態と、か)

先ほどの物音
アレは、私をおびき寄せる為の罠

暗視鏡を身に着け、突撃銃――恐らく、コルト M16A3――を構えた男
それを、先ほどの一瞬で視界の端に見た

(;∵)「……」

無言で腰に手を伸ばす

一瞬の逡巡
だが、それに構わず、3つある内の1つを取り外し、半身だけをドアの前に曝け出す

男の正確な位置を瞬時に把握
そちらに向けて、『閃光弾』を放り投げた

(;∵)「……ッ」

再び、銃声
それを聞く前に、体を戻す
誰もいない空間を、銃弾の雨が猛威を振う

だが、それは既にどうでも良かった
当たらない数百の銃弾よりも、次の一瞬

自身の心を殺そうとする一瞬に、怯える
両手で目蓋を抑え、体を縮こまらせて、背中を壁に押し付ける



471 :黒と白のようです(17/30):2009/07/21(火) 21:18:31.87 ID:A25E7LF9P

そして、訪れる
そうして、姿を現す


その、……一瞬が


――――カッ




『光』



それが――――、









――――――――『飲み込まれた』




472 :黒と白のようです(18/30):2009/07/21(火) 21:20:10.40 ID:A25E7LF9P

「ひっ!? ぃ、いやぁあああぁあああぁぁあああぁあぁぁあああぁあ――――ッ!?!?」

黒が広がる
闇が浸食する

暗く、暗い
どこまでも深い暗黒色

閉じた瞳
視界全てを染め上げる白を滲ませて

どのような手段を講じても防げなかった、
世界を飲み込もうとするかのような闇色が、私の全てを引きずり込む

私の色を、奪っていく

「――――ぁ……ぁあ…………」

そして、消えていく
そうして、闇が光に溶けていく

何度となく呪ったその白が、再び、私の世界を染めていった



478 :黒と白のようです(19/30):2009/07/21(火) 21:22:44.22 ID:A25E7LF9P

体が、震えた
芯の底から、冷え切っていた

ほんの数秒
5秒にも満たない時間の中で、私の心をどこまでも疲弊させていた

だけど、

(#∵)「……今はまだ、立ち止れない」

萎み上がった心を奮い立たせ、闇が消えた室内に侵入する

視界に入るのは、男

「クソがッ!」

回路を焼き切られた暗視鏡を投げ捨てて、男がM16A3の引き金を絞る

吐き出される銃弾の群れ
迫る、死

――――タンッ

(#∵)「……ッ」

それを、左に跳躍
総弾数20の銃弾が、私の影をフルオートで薙ぎ払う



480 :黒と白のようです(20/30):2009/07/21(火) 21:25:15.70 ID:A25E7LF9P

「――――ツ、避けたのかよッ!?」

暗視鏡を壊された男の視界は黒に犯されて、残響以外に私の姿を見る術はない

「……」

私は、身に着けた覆面を脱ぎ捨て、素顔を露わにする
その覆面に、胸に取り付けた通信機を突っ込み、高く、男の左側面後方に向かい放り投げる

その間に、男は撃ち尽くしたマガジンを取り変えて、銃身を私に突き付けた

(――――ッ、見えていないのはずに……)

射線は、確と私を射抜いている
あと5秒もあれば、その銃弾は私を貫き、息の根を止めていただろう

(でも、……遅い!)

――――カンッ

空を駆け、地に落ちた通信機
硬い音を、この狭い空間に響かせた

「――――ッ!?」

それに反応し、背を向ける男
その手に握られたM16A3が火を吹いて、駆け寄る私の足音を消し去った



483 :黒と白のようです(21/30):2009/07/21(火) 21:28:06.61 ID:A25E7LF9P

そして、

「終わりです……」

その首筋に、私は刃を滑らせる

噴き出る血液
心臓の脈動に合わせて、噴水のように迸り、室内を白く染め上げた

「……あ……ぁあ……? ――――……」

男の体から力が抜けた様に、その手からM16A3を取り零し、地に乾いた音を響かせる

呆けたように、振り返る男
未だ尽きない血の巡りが、私の体を染め上げ濡らす

そして、その瞳が私の顔を射抜く

私の顔を、……見下ろす

「……お、んあ……の……がき――――ぃ……? 」

膝が折れ、その体が私に凭れかかる
それを片手で退かし、その行く末を見る

地に倒れ伏した男
既に物言わぬモノとなり、瞳を閉じることもなくなったその身を、じっと、私は見つめる



486 :黒と白のようです(22/30):2009/07/21(火) 21:30:19.14 ID:A25E7LF9P

「……女で、悪いですか……」

ぽつり

伝えるモノがいる、独り言
されど、それを聞くモノはいない

答えるモノは、いない

1人立ち尽くし、頭を振って、地に転がる通信機と覆面に手を伸ばす

「……壊れてる?」

機械からはノイズが聞こえるだけで、応答はない
放っておく訳にもいかず、壊れた通信機を胸に装着して、もう一度、覆面を被る

気を落ち着かせる為、大きく深呼吸をして、咽るような血の臭いに吐き気を催し、

――――カツンッ

再び鳴り響いた物音に、神経を尖らせる



489 :黒と白のようです(23/30):2009/07/21(火) 21:32:29.40 ID:A25E7LF9P

( ∵)「……」

振り向く
今度は、音の発生源は分からなかった

だけど、


「ここは……私の世界です」



全ての人間が恐怖する夜の世界

それを、私は突き進む
この『白』の世界を、歩み出す


(#∵)「誰も、……逃がさない!」


血の惨劇を、続ける為に



491 :黒と白のようです(24/30):2009/07/21(火) 21:34:37.02 ID:A25E7LF9P

**

暗視鏡を身に着けた20の人間が、森の中から建物の出入り口を固めている

俺はそれを暗視鏡越しに、気のない表情で見つめる
椅子に座り、頬杖をついて欠伸を一つ

('A`)「な~んでこんな任務に20人も……馬鹿ですか? アホですか? 10人もいれば、十分お釣りがくるっての。
    つか、ガキは眠る時間だってのに、何で俺がこんな時間まで起きてにゃならんのか……。
    40過ぎたおっさんも寝させろ。明日キツイんだぞ? 筋肉痛なるんだぞ? 娘に会わせろクソが」

理由になっていない理由で愚痴る
盛大なタメ息をついて、煙草に火を点けようとしたその時、

(=゚ω゚)「隊長? あんな子供1人に任せておいて大丈夫なのかょぅ?」

邪魔が入った

(#'A`)(知るかよ馬鹿が黙ってろクソが死んでろボケがッ!)

心の中で中指をおっ立てて盛大に、そして一息に罵倒する

だけど、こういった馬鹿は説明してやらないとしつこい、とも経験上で理解していた
仕方なく、頭を掻いて、その馬鹿を瞳に入れることもなく口を開く

('A`)「心配ねぇよ……17の子供って言っても、スペシャリストだ。
    ぃょぅ、お前が百人いたところで関係ないぐらいの実力は持ってるよ。…………ほらな?」



493 :黒と白のようです(25/30):2009/07/21(火) 21:37:09.03 ID:A25E7LF9P

顎で示した先は、建物の玄関

そこから、1人
傷を負った様子も見られない彼女が、ふらふらと出てくる姿があった

(;'A`)(危なっかしいな……ったく!)

立ち上がり、歩き出す

(=゚ω゚)「隊長? 何処へ行くんだょぅ?」

('A`)「ガキがもたついてやがるからな……肩を貸してくるだけだ」

それだけを伝え、

('A`)「ああ、そうそうぃょぅ。モララーに伝えろ」

振り返ることも、足を止めることもなく喋る

('A`)「5人程引き連れて、残党を掃討して来い。30分で撤収することも含めてな」

(=゚ω゚)「残党? いるんですかょぅ?」

(#'A`)「俺が知るか。だから見てこいつってんだよ」

殺すぞ
その言葉は心の中で留め、後ろ手でしっしっ、と追いやる

そして、一直線に彼女に歩み寄る



496 :黒と白のようです(26/30):2009/07/21(火) 21:39:24.33 ID:A25E7LF9P

( ∵)「……あ」

('A`)「報告は後で良いさ、『でぃ』…………それ外せ。行くぞ」

顔を上げたでぃ
覆面を外させて、素顔を露出させる

雪のように白い肌
深い、引き込まれるような黒の瞳
長い睫毛
そして――――、

(# ;;- )「」

――――今にも泣き出しそうな顔

(;'A`)「――――~~ッ……」

頭を掻いて、焦る
いきなりそんな顔を見せられて、冷静な態度をとれる程達観した人間じゃない

慰めるつもりでその肩に手をかけようとして、

――――バチンッ

その手を弾かれた

(;'A`)「おまっ、……泣くぞ!?」

Σ(;#゚;;-゚)「あっ……違います! そういうんじゃなくて……」アセアセ



499 :黒と白のようです(27/30):2009/07/21(火) 21:41:42.76 ID:A25E7LF9P

自身の体を抱きしめるでぃ

「……汚れますから」

彼女の言葉が掠れる
体は微かに震え、顔は見えない――――俯き、逸らされていた

それに、タメ息一つ

('A`)「良いんだよ、でぃ……この白は、汚す為にあるんだから」

自身を染めるは白

戦闘のことなど一切考えていない純白の戦闘服に身を包み、
でぃの手を取り、後ろ手に引いて歩き出す

「……ッ」

滲むように、血液の黒が浸食していっているのだろう

前を向いている俺の瞳には映らないが、
全ての色が反転した世界に生きている彼女の瞳には、確と映っているはずだ

白の世界

その中で1人、『暗黒色』の衣装を身に纏う、俺の姿が
そして、その黒を滲ませる、彼女の白の罪色が

('A`)「俺の部隊にいる限り、それから目を逸らさせる気はねぇよ。
    ……逸らしちまったら、心まで、ただのテロリストと同じになっちまう」



501 :黒と白のようです(28/30):2009/07/21(火) 21:43:18.88 ID:A25E7LF9P

でぃは無言
俺はその手を引き連れて、ただただ、無言で歩いていく

しばらく、歩いていた時だ

「……ひっく…………っく……」

嗚咽が聞こえた
静かで暗い森の中、彼女の泣き声だけが聞こえる

(;'A`)(まいったな……慣れてないんだよ、泣かれn――――ん?)

心の中で焦っていると、森の中に数人の人影を見つけた

暗視鏡の視界
その先々に、部下達の姿

総じて、

(#'A`)(ニヤニヤと笑ってんじゃねぇよ、馬鹿共が……)

心の中で悪態をつき、視線を横に滑らせる

自身を含め、ほぼ全てが傭兵上がり
そして、その頃からの部下が殆どを占める隊でもある

部下の顔は、全て覚えていた
暗視鏡をしていようが、誰が誰かは分かる程度には



503 :黒と白のようです(29/30):2009/07/21(火) 21:46:03.62 ID:A25E7LF9P

後で説教でもくれてやろうと、全員の顔を確認していき、

( ・∀・)「」ニヤニヤ

(#'A`)(…………待て、……なんでテメェがそこにいる!? 仕事しろ、馬鹿!)

任務を与えたはずのモララーがそこにいることに、面を食らう

(;'A`)「……はぁ」

タメ息しか出てこない

落ちた気持ちを、頭を振って無理やり持ち上げる
後ろを肩越しに振り返って、俯くでぃを視界に入れた

「……ぐすっ……っ……」

嗚咽は続く
涙は流れ続ける

親に手を引かれる子供のように、ただ俯き、俺の後ろをついてくる

俺はもう一度前に向き直り、部下のニヤケ面を睨みつける

('A`)(ま、こいつらの誰か1人でも、彼女の支えになってくれれば、一番良いんだが……)

でぃの手を握った反対の手
それを宙で左右に振って、部下に向け散開を知らせる



505 :黒と白のようです(30/30):2009/07/21(火) 21:47:37.96 ID:A25E7LF9P

('A`)「……ったく」

声を漏らして、泣き続けるでぃ
今は、年相応の顔を泣き腫らしていることだろう

娘と同い年
だけど、まったく違う生き方

その泣き声を後ろに聞き、空を見上げ、改めて思う

('A`)(復讐なんて、楽しいかね?)


未だ、空は『黒く』、――――『白く』、

夜が明けるには、まだ早かった


――黒と白のようです・おわり――

[ 2009/07/21 23:59 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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