FC2ブログ










トリガーハッピーのようです


105 :トリガーハッピーのようです[sage]:2009/07/20(月) 19:38:49.07 ID:nKpxcgNAP

 こいつら、イカれてる。

 連続して響き続ける凄まじい轟音と、銃口から前方へと噴出される煙。
命よりも遥かに軽いMG4の引き金を押さえ続け、フルオート射撃で前方の空間を薙ぎ払う。

 弾丸が百発連なって垂れ下がった給弾ベルトの長さはみるみる内に短くなり、
同時に薬莢がバレルから引き抜かれて下方へと投げ出されて地面へと転がっていた。
コンクリートの地面と接触する際に鳴る小気味良い音は、轟音に塗りつぶされていた。

(;'A`)「おいおいおいおいおい!! 何してるんだアンタ!?」

( ・∀・)「何、大したことじゃないさ。 "前方の曲がり角を曲がると敵兵が居るかもしれない"だろう?」

 先制を取らなきゃ死んでしまう確立が跳ね上がるよ? 満面の笑みで俺にそう告げてからモララーは走り出した。
全長千五十ミリメートルの鉄のみで製作されたMG4を抱えたモララーに続いて、二人の男が続く。
ギコと呼ばれている顔面に傷がある男と、傭兵には見えないモナーと言う男の後、後方を警戒しながら俺が続いた。

 通常、曲がり角などの死角は慎重に移動するのだが、モララーは何の迷いもなくフルオート射撃のまま曲がった。
どうやら彼の予想は当たっていて、さらに相手はこちらの弾が切れたと油断していたのか丁度呆けている所だった。
小さな規模の紛争とはいえ、一瞬後には現世と意識が別れを告げていても おかしくない戦闘中だというのに。

 銃声、悲鳴。
民家の壁に出来た弾痕と、コンクリートの地面に飛び散った真っ赤な血。
モララーは反動で暴れるMG4を押さえて、相手が銃を向ける前に絶命させていた。

 敵兵が何人潜んでいるかわからない場所へと突っ込んだモララーの背中で揺れるMP7が視界内から消えた。
死んだのかなと思い全身が凍りついたが、彼は物陰に隠れて、銃身上部を開き給弾ベルトを差し込んでいた。
いくら弾数が百発といえど、あれだけ連射していればリロードもしなければならないだろう。



108 :トリガーハッピーのようです[sage]:2009/07/20(月) 19:41:03.95 ID:nKpxcgNAP

 現在モララーがまったくの無防備だと察したのか敵側の兵士がそちらへと銃を構えた。
あと数歩歩いて引き金を引けばモララーの命を奪えただろうが、ギコの構えたM4によって頭部を撃ち抜かれた。
壁に向かって爆ぜた敵兵の頭は"真っ赤なパンプキンパイ"を連想させた。

 敵兵の迷彩服が血に塗れていき、五つほど動かない体が地に伏せていた。
"メインディッシュに添えられているように"緑色のヘルメットが落ちていた。
首からかけられた銀色のドッグタグに意識が止まりかけたが、無視する。 同情は意味がない。

 敵兵の銃は俺と同じAK47だったので死体の持ち物を漁りマガジンを自分のポーチへと詰め込む。
世界中に一億挺出回っていると言われるほどに人気のあるAK47は、もはや芸術的な域である、と俺は考えていた。

 AK47は余裕を持たせた機構によって、どんな状況でも作動する。
機関部の内側に泥などが入っても、軽く水洗いすれば射撃できるほどだ。
コンクリートを打ち抜く性能にも関わらず価格が非常に安価であった。

('A`)(誰にでも容易に扱えて簡単に人が殺せる。 "最高の悪魔の銃"だ)

 壁を背につけて生き残りやこちらを発見している者がいないかどうか確認する。
ここで相手を待ち伏せてもいいが、伝えられた作戦はゲリラ戦法なので出来るだけ相手を混乱させたい。
出来れば敵戦力の殲滅がベストだけれど、そんなことは無理だ。

('A`)(本隊が来るまで、できるだけ数を減らしておきたいんだがなぁ)

 俺とモララーたち三人は国に雇われた傭兵で、とある事情のため、ここに派遣された。

 とある島があり、その島の領土権を主張する国が二国あった。
いくら話し合っても堂々巡りなので、武力行使に出たらしい。
だがしかし、お互いの国同士が戦争をするのでは利益の割に合わない、との意見が一致して、話し合いをしたらしい。



110 :トリガーハッピーのようです[sage]:2009/07/20(月) 19:43:05.38 ID:nKpxcgNAP

 元々島に住んでいる住民たちは家をそのままに退去、残った場合命の保障は無し。
川が流れるように意見は纏まっていき、一年もしないうちに、俺たちが雇われる理由が出来上がった。

 そうして出来上がったルールは簡単だ。
その島を戦場として紛争をし、勝利した国がこの島の領土権を手に入れる。傭兵はいくら雇ってもかまわない。
まるでガキのゲームだな、と苦笑したが"大きな子供が積んだお小遣い"は魅力的だった。

( ´∀`)「さっさと行くモナよ?」

 先ほどまで一言も喋らなかった、温和な顔立ちをしたモナーが背負っていたTRG-21を構えて言った。
7.62mmNATO弾を使用したボルトアクション式のライフルは、遠射性とマンストップを両立し
軍用スナイパーライフルとして欧州各国の軍関係に高い人気を誇っている。

 壁から一瞬だけ顔を出して、俺たちに手招きする。
そのままモナーを先頭にして慎重に進んで行き、やがて全員が同時に足を止めた。

 作戦が展開される前、こちらの国の本部で手渡された地図によると、壁の向こう側は少し開けた広場だ。
つまり、敵兵が潜んでいたり、狙撃手が待ち伏せしている可能性が高い。
狙撃手は非常に厄介で、一流のスナイパーだとこちらがまったく気付かない位置から弾を正確に飛ばしてくる。

 接近してしまえばこっちのモノなのだが、ここから先は相手の陣地。
"全身に肉を巻きつけて肉食動物の巣へ飛び込んで肉食動物を殺す"ような真似は到底無理だろう。
どうしようか、と考えていると隣から声が聞こえた。

( ・∀・)「ヘイ、ギコ」

(,,゚Д゚)「オーケイ、モララー」



112 :トリガーハッピーのようです[sage]:2009/07/20(月) 19:44:23.24 ID:nKpxcgNAP

 アイコンタクトとたった一言で全てを察したのか、ギコは腰に吊り下げている数個の手榴弾を一つ持つ。
モナーも同じように手榴弾を。 促されて俺も。 そしてモララーも同じように腰に吊り下げていたのだが、
丁寧にポーチから缶状のモノ一つ取り出す。 どうやらモララーが取り出したモノは発煙手榴弾であった。

 次に起こす行動は容易に想像できる。

(;'A`)「アンタらまた特攻するのか? 本当に正気か? 死ぬぞ?」

( ・∀・)「生憎、MG持ちは簡単に死ぬことを許されないんだ。
      たとえ死のうとも敵兵の一人でも多く殺して見せるよ」

 俺以外の三人が同時に手榴弾のピンを抜く。 一泊遅れて俺も抜いた。
そしてせーの、とモナーが掛け声をとり、敵兵が居るであろう広場に向けて同時に投げ込んだ。

 うろたえる声と、驚いた声が聞こえたことで、人が居るのは間違いない。
煙が充満してきた頃を見計らって、ギコはM4を構えて走り出した。
モララーが煙幕の中へと駆け出す。 姿が見えなくなる一瞬前に俺のほうを向いて口を開いた。

( ・∀・)「"Good Luck"」

 煙幕は敵の照準に対して自らの活動を隠すことを主目的として昔から用いられてきた。
だから狙撃手がいるかもしれないと懸念を抱く位置で使うのは効果的だが、煙幕は味方の姿をも覆い隠す。
下手をすれば同士討ちしてしまうので容易に引き金を引けない。



114 :トリガーハッピーのようです[sage]:2009/07/20(月) 19:45:37.84 ID:nKpxcgNAP

(;'A`)「イカれたトリガーハッピーだ」

( ´∀`)「大丈夫モナよ」

(;'A`)「あんたは行かないのか?」

( ´∀`)「モナはスナイパーモナ。 ベレッタとTRG-21とRPG-7しか持って来てないモナ」

(;'A`)「あとはグレネードね……」

 ギコもモララーもフルオートで射撃しているのだろう。
この途切れること無いマシンガンの音だけが、煙幕の中に居る彼らの生の証明だった。
彼らの銃声しか耳に届いて来ないので、彼らはうまく不意をついて敵を殲滅したのだろうか。

( ´∀`)「そろそろモナ」

 煙幕が風に流されて薄くなり、人影がうっすらを見えてきた頃、RPG-7を壁に立てかけてから、モナーが壁から身を出した。
俺が声をあげる前に、TRG-21のスコープを覗き込んで、引き金を引く、轟く銃声、次弾装填。 もう一度。
最後にRPG-7とTRG-21を交換し、対戦車兵器のRPG-7を建物へと打ち込む。 後方に炎が上がり俺の顔を明るく照らした。

( ´∀`)「さて、行くモナよ?」

(;'A`)「え?」

( ´∀`)「狙撃手は全員殺したモナ。 モララーとギコはもう先に進んでるモナ」

(;'A`)「……」

 自分は本当に必要なのか、との疑問が浮かび上がったが、慌ててその考えを打ち切ってモナーの後へと続いた。



[ 2009/07/20 21:41 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん

歯車を連想した
[ 2009/07/20 23:10 ] [ 編集 ]

コメントの投稿


更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

スパム対策のため"http"と"@"を禁止ワードに設定しています
URLを書き込む際は"h"を抜いて投稿してください













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://gyokutonoyume.blog116.fc2.com/tb.php/2151-c4ba03df