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(,,゚Д゚)は勇者のようです


935 :(,,゚Д゚)は勇者のようです 1:2009/07/15(水) 00:04:59.81 ID:bgZEOreeO

目が覚めると、そこはベッドの上だった。
見慣れた天井を見つめ、俺は思い出す。

(,,゚Д゚)「……16歳、か」

今日が16歳の誕生日だということを。
誕生日を迎えることは一般に、嬉しいことだと思う。
そう、一般に、は。
現に俺だって、去年の今日も一昨年の今日もそれが待ち遠しく思えるほどに喜んでいた。
しかし違う、違うのだ。
16歳を迎えるということは、もっと違う意味合いを持つ。



939 :(,,゚Д゚)は勇者のようです 2:2009/07/15(水) 00:07:25.95 ID:bgZEOreeO

川д川「ギコ、王様に挨拶に行く時間よ」

知らないうちに部屋に立っていた母さんが、俺に声をかけた。
ノックぐらいしろ、と心の中で毒づいてみるが、まあいつものことなので気にしない。
ああ、でも。
今日で、その『いつも』は終わりなんだなあ。

(,,゚Д゚)「うん」

(,,゚Д゚)「着替えたら下に行くからちょっと待ってて」
俺がそう告げると、母さんは何も言わずに部屋を出て行った。



940 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/15(水) 00:08:11.79 ID:bgZEOreeO

階段を降りる音が聞こえ、それと同時に俺は自分の手が微かに震えているのに気付く。
怖いんだ、俺は。
だって信じられるか?
ただの16歳の子供が、魔王を倒すための旅に出なければならないなんて。
確かに親父のフサギコは、立派な勇者だった。
だけどだけど。

(,,゚Д゚)「俺は……」

……俺は。
ただの、弱虫だ。
どうしてこんな運命を背負わされてしまったんだ?
どうして俺が勇者なんだ?
どうして……、いや、やめよう。
考えても答えは出ないし、もう変えられないことだから。



941 :(,,゚Д゚)は勇者のようです 4:2009/07/15(水) 00:09:22.04 ID:bgZEOreeO

1階に向かうと、母さんがリビングの椅子に座って待っていた。

川д川「…ご飯はどうする?」

(,,゚Д゚)「いらないよ」

普段から朝食は取らない派だ。
今日くらい、と思いはするが、しかし出されたところで食欲など無い。

川д川「じゃあ、行こうか」

俺は、小さく頷いた。



944 :(,,゚Д゚)は勇者のようです 5:2009/07/15(水) 00:11:19.13 ID:bgZEOreeO

挨拶を済ました俺は、町の門を前にして母さんと向き合っていた。

( ^ω^)『勇者フサギコの息子、ギコよ。お前にこの世界の命運がかかっているお。頑張って、魔王を倒してくれ』

王は、そう言った。
……何が、頑張ってくれ、だ。
どうせお前は俺に期待などしていないんだろう。
ニヤけた顔でこちらを見るブーン王が、とても、とても憎かった。



945 :(,,゚Д゚)は勇者のようです 6:2009/07/15(水) 00:12:14.14 ID:bgZEOreeO

母さんが、ようやく足下から視線を上げる。
川д川「……ギコ」

(,,゚Д゚)「……何?」

ああ、やめてくれ。

川д川「辛い旅になると思う……でも」

母さん、やめてくれよ。

(,,゚Д゚)「……うん」

川д川「絶対、生きて帰ってきてね…」

やめてくれ。
そんな、震える声で、潤んだ目で。
……………涙が、落ちそうになるだろ。

(,, ― )「…………」



947 :(,,゚Д゚)は勇者のようです 7:2009/07/15(水) 00:12:59.52 ID:bgZEOreeO

男なのにみっともないなあ、俺。
もう、16歳なんだぜ?
最後くらい、笑えよ。

(,, Д )「………っ…」

声にならない声が、喉の奥から込み上げてくる。
母さんに、心配かけさせるなよ。
ほら、これが。
これが、最後になるかもしれない、親孝行なんだから。

(,, Д )「……とっ……」

(,, ー )「………当然だろ!!!」



949 :(,,゚Д゚)は勇者のようです 8:2009/07/15(水) 00:13:51.53 ID:bgZEOreeO

一粒だけ、何かが俺の頬を伝って落ちたが、きっと気のせいだろう。

川;д川「うん…、そうよ。ギコなら、大丈夫よ」

今日初めてまともに見た、髪で隠れていない母さんの目。
俺は脳裏に焼き付けて、そして大きな声で言った。

(,,゚Д゚)「行ってくる!」

足を動かし始めた俺は、後ろを振り返ることはない。
歩く、故郷から遠ざかる道。
見えなくなっても俺の背中を目で追い続けているだろう母さんの姿を想像し、ほんの少しだけだけど、俺は笑った。

終わり







952 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/15(水) 00:16:26.57 ID:bgZEOreeO

(,,゚Д゚)は勇者のようです
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お題は
川д川「絶対、生きて帰ってきてね…」
でした。


[ 2009/07/16 21:29 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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