821 :
言葉のようです:2009/07/12(日) 02:45:12.83 ID:ulZVApbtO
1
( ^ω^)「また……」
帰りのHR。
担任から手渡された点表を見て、僕は一人溜め息をついた。
ここ最近の僕の順位は下降の一途を辿っている。
そしてその事実は、入学してから常に1番だった僕の心を打ちのめすには充分なものだった。
どうしてなんだろう、と僕は思う。
人一倍努力してきた。
誰よりも秀でている自信だってある。
なのに。
まさか、受験を目の前にしてこんなことになるなんて思ってもみなかった。
初めての挫折は僕を追い詰め、苛つかせ、その結果。
ただ一人の友人を除き、僕に近寄る人はいなくなったのだった。
822 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/12(日) 02:46:46.14 ID:ulZVApbtO
2
('A`)「どうだった?」
彼がその友人、鬱田ドクオ。
僕の表情を見ればそのくらい想像できるだろうに、呑気にそう尋ねてくる彼に腹が立つ。
( ^ω^)「……下がったお」
予想以上に低い、不機嫌さを孕んだ声になってしまったのが自分でも分かった。
こんなだから、誰も寄り付かなくなるんだろう。
しかしそれが再びストレスとなり、周りに飛び散る。
('A`)「……まあ、気にすんな」
ああ、ほらまただ。
いらいらが腹の底から湧き上がってくる。
こいつは僕の何を知っているというのだろう。
どうして気にしないでいられるというのだろう。
どうして、どうしてどうしてどうして、こいつは。
825 :
言葉のようです:2009/07/12(日) 02:48:26.82 ID:ulZVApbtO
3
( #^ω^)「うっせえお!お前に僕の気持ちが分かるわけないお!!」
気がつけば、叫んでいた。
ああ、いらいらする。
本当は言いたくなんてないのに、ドクオは何もしていないのに。
( #^ω^)「帰ってからもちゃんと復習してるし、好きなことも我慢して勉強してるお!ドクオとは違うんだお!!」
突然の出来事で、静まり返った教室、驚く担任。
僕とドクオはその中心となり、教室中の視線を浴びた。
しかし彼はそのような状況に臆することなく口を開き、僕に言う。
826 :
言葉のようです:2009/07/12(日) 02:50:18.51 ID:ulZVApbtO
4
('A`)「ブーン、お前が苛つく気持ちも分かる。受験だし、ストレスが溜まるのはどうしようもない」
教室に響くドクオの声。
そんな空気の中で発言することもできず、僕は彼の言葉をただ聞いていた。
彼の目は、反らしたくなるほどにしっかりと僕を見据えている。
('A`)「だがな、それはお前だけのことじゃない、ということだけは覚えておいてくれ。後、お前は勉強をやっていると言ったよな」
ドクオが一気に息を吸い込んだのが分かった。
('A`)「やるか、やらないか、じゃない!やるんだよ!受験生にとっての勉強ってのは、そういうもんだろ!!」
827 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/12(日) 02:51:38.98 ID:ulZVApbtO
5
一瞬その言葉の意味が分からなかった。
しばらく、教室の誰もが何も言わなかった。
いつでも冷静なドクオの大声は、周りの人にとっては強烈なものだったのだろう。
やがてその静寂を破ったのは、いち早く我に返った担任。
( ´∀`)「あー…、みんな。鬱田の言う通りだ。受験生の自覚を持って、しっかり勉強しなさい」
なんだか綺麗にまとめられてしまったが、しばらくの間、僕はドクオの言った言葉が頭から離れなかった。
やるかやらないかじゃなく、やる。
それは当たり前のことだ。
しかし。
828 :
言葉のようです:2009/07/12(日) 02:53:37.49 ID:ulZVApbtO
6
ドクオが自分の机に戻り、席につく。
彼が言いたかったのは、きっともっと違う意味合いのこと。
ああ、なんとなく分かってきた。
それと同時にドクオはちゃんと僕のことを、僕という人物を分かっていたということを悟る。
( ^ω^)「………」
あいつは、すごい奴なんだな。
決して口には出したくないが、素直にそう思える自分がいた。
830 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/12(日) 02:57:20.41 ID:ulZVApbtO
以上です。
>>821>>822>>825>>826>>827>>828
お題は
>>802 一番
>>803 ('A`)「やるか、やらないか、じゃない!やるんだよ!」
なんか終わり方が現国の問題みたいになってしまったなあ。
>>829俺も同じだ…