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('、`*川は思い出をしまうようです


519 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 00:19:02.58 ID:a76UlX180

開けっ放しの窓に付けた風鈴は、ちりんとも鳴らずにただぶら下がっている。

('、`;川「あー、あっついなこんちくしょー」

梅雨入りしたというのに、雨が降ったのは昨夜のみ。
そのおかげでクーラーを付けなくても寝苦しくなかったけれど。
湿気が残る上に気温37度だと?
体温と一緒じゃねーか。ふざけんなっつーの。

('、`;川「ぶわっ、埃が」

押入れの奥にしまっていた段ボールを開けた途端に埃が舞う。
綺麗に雑巾で拭きとったつもりだったけど、年月をかけて積った埃だ、根性が違うなぁ。
くしゃみをしながら、段ボール内の必要な物とそうでない物を分けて整理していく。

('、`*川「…あれれ~?」



521 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 00:21:18.99 ID:a76UlX180

そこでふと気づく。
ここにしまってあると思っていたはずの物が見当たらない。
そんなに大きな段ボールではないので、持ちあげてひっくり返してみる。
けれど落ちてくるのはお目当てとは違う、懐かしいガラクタ達だ。

('、`*川(拾った貝殻、ラムネのビー玉、少女マンガのふろくのシール)

('、`*川(ドロップの缶、お菓子の包装紙、これは…笹舟かな?)

('、`*川(子供って、なんでこんなもの大事に取っとくのかなぁ)

ハンカチ、筆箱、ポシェット、お手玉、おはじき、着せ替え人形、キーホルダー。
小学校で使っていた教科書やノート、落書き帳も数冊入っていた。

('、`*川「ないなぁ」

けれど、やっぱり「あれ」がない。

('、`*川(別に今必要なわけじゃないけど、無いと気になる…)



523 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 00:23:20.73 ID:a76UlX180

手前に転がっていたピンクのポシェットを手にとる。
チューリップのアップリケが付いたポシェットは、当時の私のお気に入りだった。
肩紐が引っこ抜けてからは、それまでの溺愛っぷりが嘘のように使うのをやめてしまったけれど。
中に何か入っているようなので、軽く埃をはたいてから錆び付いたチャックを開ける。

('、`*川「…お!」

見つけた。

('、`*川「……」


∧_∧
( ´∀`)


今では掌にすっぽりと収まってしまう、白い猫のようなぬいぐるみ。
当時流行ったアニメのキャラクターだ。

幼馴染だった、2つ年上の彼がくれた。



525 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 00:25:41.04 ID:a76UlX180

( ´∀`)ぼくモナえもんモナー

('、`*川「…ぷはっ、似てねー」

アニメのようにぬいぐるみを動かし、声真似をするのは彼の方が得意だった。

そういえばこの段ボールに入っている自称・宝物のガラクタ。
どれも私か彼が手に入れたものじゃなかっただろうか。

家族ぐるみで海に行って、彼が白くて大きな貝殻をくれた。
炭酸が飲めない私にビー玉をくれたのも彼。
羨ましくてねだったドロップの缶も、お土産だと言っていたお菓子の包装紙も。

転んでしまった私を泣きやませるためにぬいぐるみをくれたのも。




思い出は全て、彼からもらっていた。










596 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 03:14:24.80 ID:a76UlX180

(;、;*ル「うえぇー、えええぇーん」

从;゚∀从「う、あー、な、泣くなよ…ペニ…泣きやめよー…」

(;、;*ル「えぇえーん」

从;゚∀从「痛くないぞー、ほら! ばんそこはったぞ! 血も出ないぞ!」

(;、;*ル「ふええぇえぇーん」

从;゚∀从「あうあうあー…」

从 ゚∀从「!」

从;゚∀( ´∀`)「ぺ、ペニ! ほら、ぼくモナえもんモナー」

(;、;*ル「うえぇ…」

从;゚∀( ´∀`)「な、泣き虫は嫌いになっちゃうモナー。嫌い嫌いモナー」



598 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 03:16:05.64 ID:a76UlX180
(;、;*ル「や、やだぁ…ひぐっ、きらい、いやぁ…」

从;゚∀( ´∀`)「ぼくは笑った顔が好きモナー。ペニちゃんも笑うモナー」

(;、;*ル「ふぇ…ふぅう…」

从;゚∀( ´∀`)「がんばるモナー」

(;、;*ル「う、うぅ…」

(う、;*ル ゴシゴシ

从*゚∀( ´∀`)「よ、よし、えらいぞ! じゃなくて、えらいモナー!」

(・、 ・*ル「モナえもん…」

从*゚∀从「うん、これあげるぞ! だから泣くなよ!」



600 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 03:18:07.88 ID:a76UlX180
从 ゚∀从「…完成だ!」

(・、 ・*ル「ハインちゃん、なにこれ?」

从 ゚∀从「ペニは何にも知らないなー。これは笹舟っていうんだよ」

(・、 ・*ル「ささぶね? おふね?」

从 ゚∀从「そー! こーやって水に浮かべて遊ぶんだぞ」

(・、 ・*ル「ペニにも、ペニにもつくって!」

从 ゚∀从「よし、じゃあペニには一番かっこよく出来た舟をあげるぞ!」

(・、 ・*ル「かわいいのがいいよぅ、ハインちゃん」



532 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 00:33:48.04 ID:a76UlX180




从*゚∀从「見ろ! でっかくて綺麗な貝殻だろ」

从 ゚∀从「なんだぁお前、ラムネ飲めないのか? なら代わりにビー玉やる」

从;゚∀从「あー、だめだめ! 中をちゃんと洗わないとアリがわくぞ!」

从 ゚∀从「かわいいだろ? ペニ、花柄好きだろ、だからやるよ」





535 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 00:36:26.17 ID:a76UlX180

窓に付けた風鈴が、今日初めてちりんと鳴った。
見上げると、窓枠にそって切り取られた青い空と、太陽に反射して輝く白い雲が見える。
梅雨が明ければ夏はすぐそこだ。

('、`*川「…懐かしいなぁ、ハイン」

手に取ったぬいぐるみは埃で汚れてしまっているが。
私は必要な物を入れる箱に、それをそっと仕舞った。

('、`*川「…ハイン」

('、`*川「私、あんたがいなくてもちゃんとやるよ」

( 、 *川「あんたが何もくれなくたって、私はちゃんと手に入れるから」



538 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 00:44:54.42 ID:a76UlX180

( 、 *川「だから、心配しないで」




















从 ゚∀从「…おーいおいおい、独り言ダダ漏れだぞ」

('、`*川「あらハインちゃん、おかえり」

从 ゚∀从「誰がハインちゃんだコラ」

そういえば、彼には飲み物を買いに行ってもらってたんだった。



542 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 00:54:43.26 ID:a76UlX180

彼は冷えたペットボトルのお茶を手渡してきた。
埃と気温で喉が渇いていた私は、すぐにそれを開けてお茶を流し込んだ。

('、`*川「ぶはーっ、生きかえるぅー!」

从 ゚∀从「おやじか」

('、`*川「半分は流れてるでしょ、お父さんの血」 グビグビ

从 ゚∀从「……なぁ、ペニ」

('、`*川「んー?」 グビグビ

从 ゚∀从「本当に、東京行くのか」

私は彼を振り返る。
ハインは畳に胡坐をかいて、私をじっと見つめていた。

('、`*川「そうだよ、行くよ」

从 ゚∀从「…そっか」

('、`*川「別にさぁ、心配しなくたって二度と会えないわけじゃないんだし」

从 ゚∀从「まぁ、それはそうなんだけどさ」



549 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 01:04:43.34 ID:a76UlX180

('、`*川「田舎者の私が東京で虐められるか心配?」

从 -∀从「……」

('、`*川「あんなのドラマだけだよ。私、別に訛ってないし?」

从 ∀从「……」

('、`*川「なぁに、寂しい? アンタも可愛いとこあるじゃん」

ふふふ、と冗談交じりで笑って、ハインの伏せられた顔を覗き込んだ。
アシンメトリーな前髪が邪魔してよく見えなかったから、すぐにやめた。



550 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 01:06:52.33 ID:a76UlX180

('、`*川「ね、覚えてる?」

('、`*川「ここにあるやつ、ほとんどあんたがくれた物なんだ」

散らばったままのガラクタをかき集め、元の段ボールに詰める。
その宝物に込められた思い出を思い出しながら。
1つずつ、ゆっくり袋に詰めた。

('、`*川「どれも大事だけど、多すぎて持って行けないから置いていくね」

ハインは動かなかったけど、多分詰められていくガラクタ達を見ていた。

('、`*川「これは持って行けないけど、ちゃんと」

('、`*川「思い出は持って行くから」



('、`*川「ハインに貰った大切な思いは、ちゃーんと持って行くから」



552 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 01:09:27.00 ID:a76UlX180





子供の頃、ガラクタをまるで宝物のように大事にしまっておくのは。
そのガラクタ一つ一つに、大事な思い出があるからなんだろう。

私は高校生だ。
大人にはまだ遠いかもしれない、けれどもう子供でもない。
思い出をしまう場所は、ガラクタじゃない、私自身なんだ。



だから、私はここに置いて行く。
あんたにも頼ったりしない。
私は、あんたに思い出をしまったりしない。






554 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 01:11:27.62 ID:a76UlX180

从 -∀从「…うん、そっか」

从 ゚∀从「向こうで、元気にやれよ。メールよこせよ」

('、`*川「はっ、そんなもん毎日送ってやんよ」

从*゚∀从「お、言ったな? やれよ? 絶対やれよ?」

('、`*川「あはは、女にも二言はないよ!」






私は、私に思い出をしまって持って行くんだ。






('、`*川は思い出をしまうようです  おわり







559 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/29(月) 01:16:25.11 ID:a76UlX180

>>519>>521>>523>>525>>527>>528>>529>>532>>535>>538>>542>>549>>550>>552>>554

外に飯食いに行ったり、支援しに行ったり
最後の地の文を考えてたら時間くっちゃった
ちょっと意味不明になってしまった…独り立ち的な?何か?
AAのズレは気にしないとしても、途中さるったりして心臓バクバクなんだが

お題
('、`*川「ないなぁ」
( ´∀`)ぼくモナえもんモナー
从 ゚∀从「…完成だ!」

お題出してくれた人&支援ありがとうございます

>>546
別になんとも思わないけど
テンプレにはあんまりしない方がいいと書かれてるっぽい?

[ 2009/06/30 20:15 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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