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('A`)許されないようです


721 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 17:28:59.53 ID:IZ45oLviO

「ねぇ」

新婦の控え室。
幸せになるべき花嫁は、笑みではなく思い詰めた様な表情を浮かべていた。
2人っきりの部屋で、俺は彼女の言葉を待つ。

「私を攫ってくれない?」

ほっそりとした腕が、誘う様に差し出される。
けれど俺にそれを取る事は出来ない。

「寝言は寝て言え。…幸せになるんだろ?」

俺に許されるのは祝福を押し付ける事だけ。
一瞬泣きそうな顔をした彼女は、諦めたように笑って手を退いた。

「大人なのね」

その言葉と笑顔が俺の古傷を疼かせる。



722 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 17:30:17.32 ID:IZ45oLviO



('A`)許されないようです



723 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 17:31:26.31 ID:IZ45oLviO

─────

('、`*川「もう……こんなところで寝て--死んでるっ!!」

('A`)「勝手に殺すな。つかベッドで寝てて何が悪い。あと勝手に部屋入ってくるな」

('、`*川「スマブラしよう、スマブラ」

(#'A`)「スルーしてんじゃねえよ。人の話聞け」

今日も今日とて屋根伝いにやって来た侵入者は、さも当たり前のようにゲーム機を起動させる。



724 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 17:33:19.99 ID:IZ45oLviO

(#'A`)「大体、窓から入ってくんなって何回言ったら解るんだよ。せめて玄関通って来い」

('、`*川「だって遠いし」

('A`)「真横なんだから三分も掛からねえだろうが」

('、`*川「窓から窓
     30秒
     楽」

(#'A`)「このやろう…」

隣に住むコイツの部屋の窓と、俺の部屋の窓は丁度向かい合っている。
いつの時代のエロゲだよって状況のお陰で、コイツは早朝だろうが深夜だろうが関係無く俺の部屋に不法侵入かましてくれる訳だ。
まぁ鬱陶しいなら鍵を閉めれば良いじゃない、って話なんだがな。
なんだかんだ言いながらコイツと居るのは心地良いから、明日も明後日も鍵は開けっ放しの予定だ。
…うわ、俺ツンデレかよきめぇ。



725 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 17:36:32.42 ID:IZ45oLviO

('、`*川「良いから早くやろ。あたしネスね」

('A`)「待て、ネスは俺のだ。てめーはリュカでも使ってな」

('、`*川「それで良いから早く!」

(-A-)「…しゃあねーな」

結局流されてゲームをやること三時間。
どせいさんをホームランバットでかっ飛ばしたり、究極キマイラに突っ込むのにも飽きた。
('、`*川「じゃあマリカーで。あ、ちょっと一服するわ」

('A`)「把握」

ポケットから赤ラークを取り出す彼女を横目に、ディスクを入れ替える。



726 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 17:38:57.55 ID:IZ45oLviO

人差し指と中指の間に煙草を挟み、ジッポで火を点けて煙を吸い込み吐き出す。
いつもの事なのに今日はそれが特別うまそうに見えて、灰皿を差し出してやりながら聞いてみた。

('A`)「煙草ってうまいのか?」

('、`*川「子供の吸うもんじゃないわね」

煙草をくゆらせながら笑みを浮かべる姿は、確かに大人という奴に見える。
だが…

('A`)「お前もまだ子供だったと記憶してるんだがな」

('、`*川「アンタよりは大人よ」

('A`)「一つしか変わんねーだろ17才」

('、`*川「んー…」

暫く首を傾げていたペニサスは、いきなり顔を近付けてきたかと思うと


('( 川川 ちゅっ


俺にキスをした。



728 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 17:42:14.97 ID:IZ45oLviO

!!(゚( 川川


しかも固まる俺をよそに、人口呼吸よろしく息を吹き込んで……苦いなおい。
彼女が吐き出した息は、舌の上に乗った途端今まで経験した事の無い苦味を訴えた。
其処からぞわぞわと口内に広がり、犯されていくかのような気にさえなる。
ああでもそれよりも

('、`*川「…どうだった?」

(゚A゚)アパー

変に冷静で、変にパニック状態で。
頭の中がぐちゃぐちゃでまともな言葉が出て来ない。
何で急に、柔らかい、温かい、まつげ長いんだな、良い匂いがした、もう一回、俺はお前が

('A`)「!」



729 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 17:43:50.71 ID:IZ45oLviO

落ち着け。
KOOLになるんだ。
苦かった、ただそれだけの事だろう。
大体こんな言葉を口にしていいわけがない。
絶対に許されない事だ。
だから俺は

('A`)「………………ろくなもんじゃないな」

そう絞り出すように答えるしかなかった。
その言葉を受けたペニサスがぽつりと一言零す。

('、`*川「…大人なのね」

煙の向こうで彼女は笑って火を消した。



731 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 18:02:31.58 ID:IZ45oLviO

─────

祝福の鐘が青空に鳴り響く。
純白の手元から投げられた真っ白なブーケは、空高く舞い上がり、ハイエナ達の上に落ちてくるのだ。

∬#´_ゝ`)「どきなさいあんた達!!」

*(#‘‘)*「ババアはすっこんでろなんです!」

ノハ#゚⊿゚)「ブーケええええええええええ!!」

我こそは、と幸福を奪い合うその姿は浅ましいし、恐ろしい。
とって食われそうな気がする。

('A`)「参加しなくて正解だな」

ウェディングドレスを纏った幼なじみには「あんたに向かって投げるからね」と言われたのだが、あんな所に居たら華奢な俺などひとたまりも無いだろう。



733 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 18:06:24.28 ID:IZ45oLviO

凸('、`#川

ペニサスが凄い目で睨んでくるが気にしな…いや、花嫁がファックポーズ取るのはどうなんだ。
ダメだろ、幸せそうに笑ってろよ。


オチツケ(;゚д゚)('、`#川アイツシメル


旦那さんが必死でなだめているのが見える。
苦労するだろうなあの人。
でもそうやって支え合って生きていくんだろう。
病める時も、健やかなる時も。


(*゚д゚)('、`*川


機嫌を直したペニサスは新郎と二人で、とても幸せそうに笑っている。

きっとあれは俺とペニサスが望んでいた姿。
夢見ていた空想。
口にした事の無い想いの果て。

見ていられなくなって思わず目を逸らした。



734 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 18:07:42.63 ID:IZ45oLviO

('A`)「…帰ろう」

生まれたばかりの夫婦にくるりと背を向け、教会を出る。
彼女は怒るだろうか。
祝福さえちゃんとしてやれなかった事を。
それとも責めるだろうか。
いくじなしの俺を。

それでも此処にはもう居たくなかった。



735 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 18:08:28.85 ID:IZ45oLviO

知っていたよお前の想いを。
想っていたよ俺もお前を。
俺は大人なんかじゃない、ただの腰抜け。
ただ茨の道を歩む勇気が無かっただけ。

涙の滲んだあの笑顔が、唇の柔らかさが、色褪せずまだ心に焼き付いているのに。
こんなにもまだ好きなのに。



736 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 18:10:14.78 ID:IZ45oLviO

行儀が悪いと思いつつも、歩きながら煙草に火を点ける。
ろくなもんじゃないとけなしていたのに、今やすっかりヘビースモーカーだ。
煙をくゆらせている間だけは、彼女と繋がっていられる気がしていた。

(;∀;)「馬鹿だな、俺」

嗚呼、今日はやけに煙が染みる。


fin







737 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/06/16(火) 18:15:23.23 ID:IZ45oLviO

支援有難うございます。

>>721>>722>>723>>724>>725>>726>>728>>729>>731>>734>>735>>736
以上で終了です。
途中でさるって泣きたくなりました。
お題は

・寝言は寝て言え
・焼き付ける
・タバコの煙
・('、`*川「もう……こんなところで寝て--死んでるっ!!」

でした。

感想等ありましたらお願いします。


[ 2009/06/16 19:37 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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