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午前三時、のようです


669 :午前三時、のようです ◆RcPJ/cMKV. :2009/06/16(火) 11:22:33.99 ID:AjsypDhx0

午前三時。

俺が起きるには早すぎる時間帯だ。

起きた理由?寒かったんだよ。ダンボールハウスだからな。

手ごろな段ボールを引きよせ、毛布のように被る。

段ボールに付着していた埃にせき込みながら、冷めた缶コーヒーをパンと一緒に飲みこんだ。

('A`)「午前三時、か…」

あいつと初めて出会ったのも、午前三時頃だった。

昔のことなんか振り返ってないで仕事探せよ、と笑ってくれてもいいだろう。

それは、たしかに俺の記憶なんだから。


   ・  ・  ・



670 :午前三時、のようです ◆RcPJ/cMKV. :2009/06/16(火) 11:26:24.70 ID:AjsypDhx0

そのころ、俺は中学生だった。

雨によって、さらに濃い色へと変色している学生服を着ながら走る。

傘?クラスのいじめっ子に捨てられました。

俺が学校に行ったら、一つは絶対になくなっていた。

それは、物だったり、人だったり。

心の雨。

そんな言葉を思い出して鼻で笑い飛ばす。

午前三時。

なぜまだ朝日も出ていない時間帯に俺が走っているかというと、いじめっ子に会いたくないからだ。

普通の時間帯に行ったら殴られるからな。



671 :午前三時、のようです ◆RcPJ/cMKV. :2009/06/16(火) 11:28:47.46 ID:AjsypDhx0

(;'A`)「はぁ…、はぁ…」

服が水のせいで重く感じる。

やっと学校にたどり着いたころには顔も服もびしょびしょ。

大洪水である。

タオルも捨てられたので拭くものがない。

犬のように体を振って乾かそうとしたとき、あいつは現われた。

(;^ω^)「タオル、使いますかお?」

タオルを差し出す白豚。

それが一番適した言葉だと思う。



672 :午前三時、のようです ◆RcPJ/cMKV. :2009/06/16(火) 11:30:45.25 ID:AjsypDhx0

最初、なぜこいつが俺に話しかけてきたか、でとまどった。

いじめられっ子になんか普通声かけないだろ。

そう思いながらも、タオルを借りて、体中を拭く。

俺の感情を読み取ったかのように、そいつが質問してきた。

( ^ω^)「君もいじめられっ子なのかお?」

いまこいつは 君も と言ったな。

そう考えながらタオルを投げ返すと、白豚はそれを包み込むようにして受け取った。

('A`)「ってことは、お前もいじめられっ子か」

なんだ、お互い様か。

二人でそう言って、笑う。

午前三時頃。

たった一人の親友ができた。



675 :午前三時、のようです ◆RcPJ/cMKV. :2009/06/16(火) 11:32:06.24 ID:AjsypDhx0

( ^ω^)「…なんだおw」

('A`)「ちょw」

誰もいない屋上で、二人で弁当を食べながら話す。

内藤 ホライゾン。

それがこいつの名前だそうだ。あだ名はブーンらしい。

あの日、自己紹介しあい、相手の名前で二人とも笑った。

ブーンといる時だけが、至福の時だった。

一番、幸せだった。

三ヶ月後ぐらいだろうか。

ブーンが自殺した、との話を聞いたのは。

当然、俺は泣きじゃくった。

俺宛の手紙がある。そう言って教師は俺に手紙を手渡した。

ブーンからの手紙。

それは、俺に生きる希望を与えてくれたかけらなのかもしれない。



676 :午前三時、のようです ◆RcPJ/cMKV. :2009/06/16(火) 11:33:29.52 ID:AjsypDhx0

家に帰ってから、急いで封を開けて、食い入るように読んだ。

それは、こんなものだった。



ブーンは、疲れたお。

毎日毎日いじめられるのに。

でも、ドクオは負けちゃだめだお。

自殺した人間が言うことじゃないけれど、ドクオには頑張ってほしいんだお。

絶対だお。

自殺しそうになったら、僕が化けて出るお。

僕はちょっといなくなっただけだと思って頑張ってくれお。

絶対、絶対だお。

たった一人の親友 ドクオへ  ブーンより



681 :午前三時、のようです ◆RcPJ/cMKV. :2009/06/16(火) 12:36:03.60 ID:AjsypDhx0

ところどころブーンの涙で染みができたその手紙。

(;A;)「……」

俺の涙が落ちて、新しく手紙に染みを作った。


   ・  ・  ・



682 :午前三時、のようです ◆RcPJ/cMKV. :2009/06/16(火) 12:37:19.93 ID:AjsypDhx0

段ボールの間から、あの手紙を取り出す。

古い紙なのを主張するかのように変色している紙。

雨が、降り始めた。

('A`)「俺さ、仕事もらったんだ」

手紙の上に涙のように落ちる雨。

くたびれたスーツを着て、黒い鞄を持つ。

『タオル、使いますかお?』

ブーンの声。

('A`)「ありがとう」

幻聴に返事をすると、俺は雨の中駆け出した。


おしまい


[ 2009/06/16 19:34 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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