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川 ゚ -゚)お父さんの泣き所のようです


649 :川 ゚ -゚)泣き所 1/9:2009/06/05(金) 21:20:20.08 ID:UXlOd+nCO

川 ゚ -゚)「父に理不尽なゲンコツを落とされたので、落とし返したんです。
     そしたら父は部屋の隅っこで縮こまって泣き出してしまって…」

( ^ω^)「なんと…あの豪傑シャキンさんが泣くとは…」


川 ゚ -゚)お父さんの泣き所のようです



651 :川 ゚ -゚)泣き所 2/9:2009/06/05(金) 21:21:22.30 ID:UXlOd+nCO

川 ゚ -゚)「つい先程のことなんですが…」

・・・

それは今日正午過ぎのこと。
休日は決まって昼まで寝ている父を起こそうと、
昼食のできる頃合いを見計らって私は寝室へと向かった。

川 ゚ -゚)『お父さん!もうお昼だよ!』
    ∩
川 ゚ -゚)彡 ボスンッ!
  ⊂彡

父は寝起きが悪く簡単には起きないため、起こし方はやや手荒でなければならない。
それは私が物心ついて以来週末正午には欠かさず行われていることで、
私はさしたる疑問も持たずにそれを続けてきた。
学生時代からラグビーをしているだけあって父は一般的な大人に比べ非常に逞しく、
私の細腕でどうにか出来るようなものではないと言うある種の信頼の証でもあった。



653 :川 ゚ -゚)泣き所 3/9:2009/06/05(金) 21:22:20.69 ID:UXlOd+nCO

しかしその日の父は、いつもの父ではなかった。

((#` ω ´)) ワナワナ…

(#`゚ω゚´)『なななななにをするだぁーッッッ!!!!』

(#`゚ω゚´) ゴチーン
   ⊂彡☆)゙- ゚ 川

それは人生最大の衝撃だった。
丸太のような腕に繋がる巨大な拳が頭頂部に落ちた瞬間、私の目の前で星が煌めいた。
だが私は重戦車と呼ばれあらゆる相手を蹴散らしてきた父の血を引く娘。
これしきのことで動じたりはしない。

川#゚⊿゚)『起こしてもらっておいてその態度はなんだぁぁーッッ!』
    ∩
川#゚⊿゚)彡 バゴンッ!!
  ⊂彡



654 :川 ゚ -゚)泣き所 4/9:2009/06/05(金) 21:23:13.96 ID:UXlOd+nCO

・・・

川 ゚ -゚)「そしたら、父が泣きまして…」

( ^ω^)「んで、今に至る…と」

私にとって父は強さの象徴だった。
どっしりとした大きな背中、ごつごつと分厚い掌、大きく太い声、動じない心……
何があっても父がいてくれたら乗り越えられる――そんな気さえしていた。
だからこそ、今日の父の姿に私は失望し、喪失感を抱かずにはいられなかった。

((´;ω;`)) ブワッ

川;゚ -゚) !

(  ´;ω) ゴ飯、イラナイ

拗ねた幼子のようにうずくまり、涙を浮かべながら布団にくるまった父に、
強さなど微塵も感じなかった。

川 ゚ -゚)「失望しました。父があれほどまでに脆い人間だったなんて…」

( ^ω^)「うーん…」



656 :川 ゚ -゚)泣き所 5/9:2009/06/05(金) 21:24:26.40 ID:UXlOd+nCO

私が昼の出来事を一通り話すと、ブーンさんは難しい顔で何かを考え始めた。
父が監督を務める大学ラグビー部に所属しているブーンさんは、
勉強は得意では無いとのことだが小学生である私から見れば十分博識な人だ。
いつも様々な昔話や都市伝説を聞かせてくれ、
今日もまた何かの話を聞かせてくれるようだった。

( ^ω^)「クーは“アキレス”って人を知ってるかお?」

川 ゚ -゚)「あきれす?」



657 :川 ゚ -゚)泣き所 6/9:2009/06/05(金) 21:27:58.11 ID:UXlOd+nCO

・・・・・

昔々、ギリシャにアキレスと言う英雄がいた。
アキレスとはプロアクションリプレイ等により全能力をMAXにした厨キャラの俗称で、
戦に出ればアキレス無双とか始まっちゃうくらい強かった。
もう西のアキレス東のイチローって次元で強いわけで、
マジレスするとアキレスのせいでトロイがヤバい。

かかとに矢が刺さっただけで死ぬのは改造対策の仕様です。最強厨ざまぁww

(民明書房「アキレスヤバいのガイドライン」より抜粋)

('A`) あとは『アキレウス Wikipedia』でググるんだ!

・・・・・

( ^ω^)「かかとだけ不死身になる水を浴びてなかったらしいんだお」

川 ゚ -゚)「まさにアポロンの祟りですね…」

( ^ω^)「つまり、誰にだって弱点はあるってことだお!シャキンさんにだって!」

川 ゚ -゚) !



659 :川 ゚ -゚)泣き所 7/9:2009/06/05(金) 21:29:12.57 ID:UXlOd+nCO

父にも弱点はある……そんな当たり前のことを私は忘れていた。
どれ程大きく強くとも人間であることにかわりはなく、
人間である以上肉体的にも精神的にも必ず弱点はある。
私自身どうしても我慢できないものはあるし、父にもそう言ったものはあるだろう。
親とて神ではなく、子は天使ではない。
親子と言う特別な関係であれ長所もあれば短所もある他人なのだ。
目の前のブーンさんにも短所はたくさんあり、
それを知っていてなお私はブーンさんが好きだ。
父の短所に気付いてしまったくらいで失望する様なことではないのだ。
私はそれと比べ物にならないほどの数、父の長所を知っているのだから。

川 ゚ -゚)「目が覚めた心地です」



660 :川 ゚ -゚)泣き所 8/9:2009/06/05(金) 21:30:47.59 ID:UXlOd+nCO

人間の向こう脛は“弁慶の泣き所”と呼ばれている。
弁慶とはかつて日本にいたとされる大男で、
橋の上を通りかかる侍に戦いを挑んで999連勝したとか、
自動車ほどの大岩を空手チョップで真っ二つにしたとか、
世界チャンピオンを投げ飛ばして顰蹙をかったとか、
とにかく真偽の定かでない逸話に事欠かないほどの強者である。
向こう脛は、打たれれば弁慶ほどの男でも涙を流すほど痛い場所とされており、
それもまた昔の人が“誰もが如何ともし難い弱点を抱えているのだ”と思い、
“弁慶でさえ泣くのだから仕方がない”と受け入れたからこそ名付けられたのだろう。

川 ゚ -゚)「ただいまー」

(`・ω・´)「お帰り…起きたら誰もいないもんだからお父さん寂しかったぞ…」

川 ゚ -゚)「お昼には起こしたよ。ご飯いらないって…」

(`・ω・´)「はっはっは!お父さんが飯を食べないわけないじゃないか!」

((*`・ω・´)) ガツガツモシャモシャ

川;゚ -゚)(でっかいホットケーキだなぁ…おやつなのかな…?)



662 :川 ゚ -゚)泣き所 9/9:2009/06/05(金) 21:32:16.91 ID:UXlOd+nCO

(*`・ω・´)「昼飯が無いからホットケーキ焼いたんだ!クールも食べるか?」

川 ゚ -゚)「お父さん、お昼に起こしたこと覚えてないの?」

(`・ω・´)「うーむ…なんか起こされたような気がしなくもないが、寝ぼけてたかもしれん」

(`・ω・´)「一応今度からバットも用意しておこう。遠慮無く起こしてくれて良いぞ!」

((*`・ω・´)) モシャモシャモシャシャー!

川 ゚ -゚)(いつものお父さんだ…)

巨大な四段重ねのホットケーキを豪快に食べる父はいつもの父だった。
これから先、父の新たな弱点を知ることもあるだろうが、
私の父に対する思いが変わることはないだろう。
他者の弱点を知り、受け入れ、それを労ることでより良い人間関係が築かれる……
それに気付かせてくれたブーンさんには感謝しなくてはならない。
アキレスの弱点はかかと、弁慶の泣き所は向こう脛、そして父の泣き所は股間……

大切なことを学んだ私は、今日、少しだけ大人になった。


[ 2009/06/08 18:18 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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