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(´<_` )虹のようです


734 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:17:02.34 ID:Ej3iKc/v0

俺は、双子の兄に何も勝てなかった。

  从'ー'从「今日のテストで100点を取った人は、兄者君だけです」

勉強も。

  (,,゚Д゚)「兄者ー! 遊びに行こうぜー!」

友達の多さも。

  ( ^ω^)「兄者君って機械好きなんだおね」

「自分の趣味をちゃんと持っている」、それも。


だから、運動では兄者に勝ってやろうと思った。
唯一兄者が苦手な運動で、勝ってやろうと思った。


だが、もうそれですら永遠に勝てなくなった。


決意したのが、小5の春。
勝てなくなったのが、小5の梅雨。

子供ながらに、決意って脆い物だな、と実感した。

           (´<_` )虹のようです



735 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:20:17.09 ID:Ej3iKc/v0

---1998年 6月

( ´_ゝ`)「暇だ」

6月の第2第4土曜日ほど、暇な物はない。
雨で外にも出られない。家の中でもやることがない。
暇を持て余すだけ。

たまの晴れ間にちょっと外に出ることができるくらいだ。
その「たまの晴れ間」だっていつ来るか分からんし、水たまりだってできてる。
要するに、梅雨は嫌いだ。

その心の雨に少しだけ晴れ間をくれたのが、それだった。

(´<_` )「あ…虹だ!」

空に架かる七色の橋。
実物を見るのは、その時が初めてだった。

( ´_ゝ`)「ちょうど雨も上がったし、外出るか?」

(´<_` )「何で?」

( ´_ゝ`)「虹の根元には、宝物が埋まってるんだぜ」

そうして俺たちは、出発した。
宝探しに。



737 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:23:34.65 ID:Ej3iKc/v0

しかし……

虹は、行けども行けども遠ざかるばかりだった。

(#´_ゝ`)「ちくしょー、どうやっても宝物を渡さない気かよ!?」

(´<_` )「虹って結構わがままなんだな。って、兄者」


(´<_` )「虹、消えたぞ」

( ´_ゝ`)「がぁぁ!? 俺たちが虹に負ける!?」

兄者は崩れた。
腕にはめてきた時計を見ると、5時過ぎ。

(;´_ゝ`)「げっ……母者そろそろ帰って来る……」

…虹を追っている間に、かなり遠くまで来てしまった。
急いで帰らないと、母者に怒られる。

( ´_ゝ`)「弟者! 帰るぞ!」

(´<_` )「把握! じゃあ家まで競争! よーいどん!」

( ´_ゝ`)「弟者、卑怯だっ!!」

一緒に走った。
兄者は俺より足は遅かったけど、楽しんでいたみたいだった。
俺自身も。



738 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:26:02.01 ID:Ej3iKc/v0

それに、虹への敗北宣言のとき。
「俺たち」が虹に負ける、って言ってくれたこと。嬉しかった。

…今でも思う。
あの日、あの時の兄者の声に、耳を傾けるべきだったと。


      「弟者、危な-----」


目の前には、居眠り運転の車。
夢中で気づけなかった。




そして、俺は運動でも勝てなくなった。
事故の後遺症で、足を動かす事ができなくなったからだ。




一命は取り留めたが、代わりに足を失った。



739 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:29:25.01 ID:Ej3iKc/v0

---事故から1年 1999年6月

川 ゚ -゚)『午後の新速地方は雨のち晴れ、久々の梅雨の晴れ間となるでしょう
      最高気温は…』

( ´_ゝ`)「ただいま弟者」

兄者はVIP大附属中を受験することにしたらしく、土曜日もちょくちょく塾に通い始めた。
兄者に置いて行かれるようで、どこか、寂しい。

そんな事を考えていると、窓の外に。

あの日と同じ虹がかかっていた。

( ´_ゝ`)「……そうだ」

( ´_ゝ`)「弟者、ちょっと出かけるぞ!」

そう言うと兄者は自分の部屋へ消えて行った。支度を始めたのだろう。
ただ、その後の一言には少々面食らったが。


      「お前も行くんだよ! 虹の下に宝物を埋めに行く!」


部屋から出て来た兄者の手には、スコップやら缶やら何やらが入ったカバン。
鬼(つまり母者のことだ)の居ぬ間に何とやら、兄者は俺の車イスを押して、あの日の場所へ。



741 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:33:06.21 ID:Ej3iKc/v0

その場所に着いた時、虹は消えていた。

( ´_ゝ`)「つまり、ここが虹の根元なんだろ」

そう言うと、兄者は持って来た宝物を缶に詰め、埋め始めた。


どっちがもらうかで喧嘩した、仮面モララーチップスのキラカード。
去年ジュースを買ったら出てきた、昭和64年の500円玉。
俺たちのアイドルだった、「はにゃーん娘」しぃちゃんのブロマイド。
たくさんの思い出。

そして一番上に、俺たちの写真。

( ´_ゝ`)「また虹が出た日にさ、一緒に開けようか」

(´<_` )「忘れんなよ、その約束」

木の下で俺たちは笑い合った。
時間が経つのも忘れて。

当然、帰って来たら母者に怒られた。

でも、楽しかった。
その気持ちに、嘘をつく事はできない。

…それから、10年経ったか。



743 :>>741のワールドカップ記念の500円玉はミスですorz:2009/05/23(土) 16:35:50.62 ID:Ej3iKc/v0

---2009年 6月

就職難と言われるこのご時勢だが、今年大学を卒業する兄者は既に就職内定。
一方俺はといえば、車いすで就職できるところなんて見つからない訳で。

やっぱり勝てないな、さすがに俺も苦笑い。

そろそろ兄者が帰って来る。
車いすを押して、玄関へと向かうと…兄者が凄い剣幕で飛び込んで来た。

(;´_ゝ`)「弟者、急いで準備しろ!」

(´<_` )「…一体どうした兄者」

(;´_ゝ`)「虹が出てる!!」

そういや、あれ以来、虹にお目にかかれなかったな。

俺はその一言で、言わんとすることを理解した。

(´<_` )「わかった」

一緒に、宝物を探しに行こう。



745 :>>741は「昭和64年の500円玉」で脳内補完お願いします(´・ω・`):2009/05/23(土) 16:38:10.22 ID:Ej3iKc/v0

俺は、双子の兄に何も勝てなかった。

勉強も。

友達の多さも。

「自分の趣味をちゃんと持っている」、それも。

だけど、これだけは勝てた。


俺が持つ、兄への「ありがとう」の気持ち。

兄のいないお前は、絶対勝てないさ。


( ´_ゝ`)「じゃ、行くか」

(´<_` )「ああ、あんまりスピード出さないでくれ」


兄者に押された俺の車いすが、かたかたと音を立てて動き出した。


おわり







747 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/23(土) 16:41:47.92 ID:Ej3iKc/v0

>>734-735>>737-739>>741>>743>>745

使用お題
雨のち晴れ


設定改変の名残って怖くね?
支援ありがとうございました


[ 2009/05/23 22:33 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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