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( ´ー`) 雨のようです


222 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:16:55.67 ID:gX7kqZssO

「ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ」

口でいくら言っても雨は降らなかった。

五月だ皐月だMayだ晴れだ太陽だ。
私は天を仰ぐ。
雲の欠片も見当たらなかった。
ただ暑かった。
坂の先を見つめれば陽炎が微かに揺れた。
馬鹿にしている、私は仕方がなくため息を吐く。(果たしてそれがため息と言える代物だったか私には判断出来ない)

それでも雨は降らない。

救いだったのは日陰が涼しかった事だ。
ここに水が垂れてくれればもっと救われていただろうがそれは妄想でしかない。
現実で私は紫陽花の裏に張り付いて涼をとってほんの少し救われているだけだった。

本日の降水確率は午前0%午後10%降れば100%降らなかったらああ。
そもそも確率とはことがらの起きる確からしさを数量的に表したものby広辞苑。

確からしさ?なんだそれは。

( ´ー`)「シラネーヨ」

午後になってやっと出たのは口癖だった。
勿論、祈雨の足しにもならなかった。



226 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:18:03.54 ID:gX7kqZssO

ここの所雨は全く降っていない。
からりと晴れた五月晴れ。
最悪だ。

お陰で私も限界だった。
先日なんとかこの紫陽花まで登って来たものの、仲間は皆途中で干からびてしまった。

( ´ー`)「シラネーヨ」

仲間というかただ同じように同じ場所をうねうね動き回っていただけの仲間だったが。
なんともはや、湿った空気と土と緑の葉しか思い出せない。

( ´ー`)「…シラネーヨ」

ざあざあざあざあ、雨音が一段と恋しくなる。
だから雨が降れば彼らも生き返るのではないかと妄想する。
しかしコンクリートの壁に張り付いたままの彼らはまたもや現実だった。



227 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:19:01.68 ID:gX7kqZssO

( ´∀`)「降りそうモナー?」

( ´ー`)「シラネーヨ」

( ´∀`)「暑いモナね」

( ´ー`)「シラネーヨ」

( ´∀`)「モナモナ」

見上げればするすると尻からは銀色の糸が流れるように日光に反射した。
蜘蛛はのんびり巣を張っていた。
腹が減ったとぼやいては此方をチラチラ見ている。
私はもう随分と前に彼への関心を失っていたので再び天を仰いだ。

( ´∀`)「そのぬめりけと殻を外してくれれば楽にしてやるモナ」

( ´ー`)

( ´ー`)「デキネーヨ」

( ´∀`)「それは残念モナ」



229 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:20:02.26 ID:gX7kqZssO

雨と言うのは果たして存在し得るものだったか。
自問自答をしていると蜘蛛がまた話掛けてきた。

( ´∀`)「腹は減らないモナ?」

( ´ー`)「減らねーヨ」

( ´∀`)「なに食ってるのモナ?」

私は無言で目を繁った紫陽花に向ける。
一枚、二枚、三日月状に欠けた葉が彼にも見えたらしい。

( ´∀`)「モナモナ」

納得したようにまたゆっくりと動き出した。
少し悔しそうな空気を感じたのは気のせいだったか、いつの間にか霞んだ思考ではいまいち分からなかった。
なので、雨と言うのは果たして存在し得るものだったか。
繰り返し考える事にした。
答えは一層出なかった。



230 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:20:42.69 ID:gX7kqZssO

空にやっと雲が確認出来た。
降水確率午後10%に希望が見えた瞬間である。
蜘蛛が言った。

( ´∀`)「モナは雨が嫌いモナ」

彼に興味を失ってからかなりたつが、私はその台詞に興味が沸いた。

( ´ー`)「シラネーヨ」

とりあえず口癖で返事をする。
にも関わらず蜘蛛は何かを感じ取ったのか、私のいる紫陽花葉の上に降りてきた。
のんびりだが、何度見ても華麗だなと思える動きだった。

( ´∀`)「雨は巣を濡らすモナ」

これまで見たことのない彼の表情は殺伐としていた。
私は口挟まず、黙って聞いている事にした。



231 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:22:01.07 ID:gX7kqZssO

( ´∀`)「穴も開けるモナ」

( ´∀`)「モナには防ぐ余地がないモナ」

( ´∀`)「更には雨ががあがっても水滴が付いたままで、巣として役立たずモナ」

( ´∀`)「モナはまた巣を作るしかないモナ」

( ´∀`)「モナは腹が減ったモナ」

そして後悔した。
なんて事はなかった。
ただの愚痴だった。
私は無駄は嫌いだ。

( ´ー`) 「シラネーヨ」

私はのろのろとそっぽを向いてのろのろと食いかけの葉をかじる。
のろのろとしていたが蜘蛛にも私の怒りが通じたようだった。
蜘蛛は恨めしそうに私を睨み、続けた。



233 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:22:55.89 ID:gX7kqZssO

( ´∀`)「賭けをするモナ」

賭け?
と私が聞き返す。
蜘蛛は沢山ある目をニコニコさせて頷く。

( ´∀`)「雨が日没までに降るか否か、賭けるモナ」

下らない。
私は見向きもしないで紫陽花の葉をかじる。

( ´∀`)「君が勝ったら君の言うことを聞くモナ」

( ´∀`)「でもモナが勝ったら」

背後で聞こえない足音が近寄るのが分かった。
私の薄い殻がずしんと重くなる。

( ´∀`)「君をモナにくれモナ」

息苦しかった。



236 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:24:07.63 ID:gX7kqZssO

( ´∀`)「あの巣が壊れたらモナにはもう作る気力も体力もないモナ」

蜘蛛は続ける。
何本もある細い足で私の殻をコツコツ叩いた。
不快だ。
私は食事を止めた。

( ´∀`)「雨が降ったらモナは餓死するモナ」

( ´∀`)「でも君は雨が降らないと干からびて死ぬモナ」

( ´∀`)「だから、だからモナ」

蜘蛛の顔がすぐ横にくる。
鋭い凶器の気配が、私に初めて恐怖のようなものを感じさせた。

( ´∀`)「モナが賭けに勝ったら君をくれモナ」

( ´ー`)「好きにしろーヨ」

辺りは薄暗い。
湿り気が私に活力を与えつづける。





240 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:31:24.39 ID:gX7kqZssO




( ><)「わあ…あんなに晴れていたのに曇ってるんです」

( <●><●>)「今日の午後の降水確率は10%、降るなら夜中になるでしょう」

坂道を下る二人の手には傘はなかった。
一人が大きく手を振り歩く。
焦っているのは明らかだった。

( ><)「所詮確率なんです。絶対じゃないんです!」

雨に濡れるのが相当嫌なのだろうか。
風邪を引くのが怖いのだろうか。
理由ははっきり分からない。
ただ傘を持っていないため、帰る途中で雨が降ってしまうのを危惧しているようだった。
少々過剰に。

( <●><●>)「そんな事の分かってます。私は今日の天気予報をあなたに伝えただけです」

もう一人が冷静に返す。
付き合いが長いのか、あしらい方に手馴れた感がある。



243 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:33:56.20 ID:gX7kqZssO

( <●><●>)「ほらほらご覧なさい、蝸牛もそんな事分かってるようですよ。雨は今か今かと表に出てきて…」

一人が焦っているのを承知で彼はのらりくらりと歩きゆったり口調で喋る。
更に坂の道にぽつんぽつんとある家を遠い目で見たため、焦っている方はもう我慢ならなかったようで彼の手を引いた。

( ><)「わかりましたから、早く帰るんです。状況は同じなんです」

ぐいぐいとと引っ張るので冷静な彼は軽くため息をついて焦っている友人に従った。

( <●><●>)「分かってます。では帰りま…」

しかしふと、立派な紫陽花目に入った。
大きな葉の上には大きな蝸牛が乗っかっている。

( <●><●>)「…おや、この蝸牛」



244 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:35:52.77 ID:gX7kqZssO

( ><)「もう…、どうしたんですか」

腕を引っ張られたまま、彼はずいずいと紫陽花の上にいる紫陽花に引き寄せられる。
仕方がなしに彼もついていく。

( <●><●>)「珍しいんですよ、見てください」

冷静な彼にしては少し興奮した口調。
それに気付き、彼もその視線の先を見た。

( ><)「…これは」

そこには蝸牛の殻を被った蜘蛛の死骸があった。



247 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:36:48.58 ID:gX7kqZssO

( <●><●>)「なんでしょうか、これ」

( ><)「…わかんないんです」

不気味だった。
薄く黄色のかかった殻に黒と黄色の蜘蛛の体が透けて見える。
蝸牛の姿はなかった。

( ><)「…気持ち悪いんです」

ぽろりと漏れた本音には頷くしかない。

( <●><●>)「…」

どうなっているのだろう。
彼は思う。
好奇心が。

触ろうと手を伸ばした。



250 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:38:03.90 ID:gX7kqZssO

ぽつん

( ><)「あっ」

ぽつん

( <●><●>)「あ」

雨。

( ><)「もうっ、降ってきちゃったんです!」

ぐいっと思い切り腕を引かれて転けそうになるがなんとか転ばずに駆け出せた。

( <●><●>)「す、すいません」

強くなる雨の中二人は走り去って行った。

( <●><●>)「(しかしあれは…)」

蜘蛛が蝸牛を食べることなどあるのだろうか。
蝸牛の殻に入った蜘蛛の絵は家に帰るまで頭から離れなかった。



253 :( ´ー`) 雨のようです:2009/05/21(木) 21:40:12.72 ID:gX7kqZssO

ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ

( ´ー`)

雨は降った。
口で言う必要はない
しかし、蝸牛はもう。


風が吹いて紫陽花から雨と共に何かが落ちた。




おわり







257 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/21(木) 21:43:45.99 ID:gX7kqZssO

げへへ終わりました
支援ありがとうございました!

お題は

>>187
蝸牛( ´ー`)

>>188
湿り気が私に活力を与えつづけるッ!

>>189


です
お題ありがとうです

案の定まとまんなかったし、こっちじゃ雨降りませんでしたすいません
雨最高


[ 2009/05/22 19:53 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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