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彼等はオーケストラのようです


218 :彼等はオーケストラのようです:2009/05/16(土) 16:43:01.75 ID:d7xXP6XT0

夏の終わりと秋の始まり、その夜

綺麗な音を出しながらマツムシが鳴く

それにつられる様にスズムシが鳴く

それらを照らし出すように蛍が光る

虫達は自分の、或いは同種の異性のために命を燃やして鳴いている。

その光景は観るものを魅了する。

そしてそれは、まさにオーケストラと呼ぶに相応しいものだった。



219 :彼等はオーケストラのようです:2009/05/16(土) 16:43:44.99 ID:d7xXP6XT0

ここに若いカップルがいた。
男の名はギコ、女の名はしぃだ。

ギコはしぃをドライブに連れて行こうと午後から車を回したのだが、エンストを起こしてしまったのだ。
修理が終わったとき、既に太陽は落ちきってしまい、夜空には星達が輝いていた。

(;,゚Д゚)「ごめんって……、この埋め合わせは絶対するから!」

(#゚―゚)「だからもう怒ってないって!」

この日を待ち侘びていたしぃは、やはりまだ怒っている様子だった。
それでも車が直るまで待っていたのは、愛があるからこそだろう。



220 :彼等はオーケストラのようです:2009/05/16(土) 16:44:47.64 ID:d7xXP6XT0

これは取り返しが付かないな……。とギコは思った。
車の修理中も、いろいろ機嫌を直すために試して見たのだが、まったく効果が見られないのだ。

―――――――――――――――
例えばお菓子を上げてみれば。

(;,゚Д゚)「ほら!しぃの好きなポッキーだぞ!」

(#゚―゚)「お菓子で釣られる女だと思ってるの!?私はそんな安っぽくないんだからね!
 全部頂戴!」

修理屋のおっちゃん(以下おっちゃん)「腹減ったな……カップル消えろ」
―――――――――――――――
例えばお気に入りの曲を聞かせてみれば。

(#゚―゚)「あああああ血が足りねえ!肉が足りねえ!」

(;,゚Д゚)「聞かせる曲間違えた!」

おっちゃん(魔法使い)「あの曲いいよな……カップルうざい」
―――――――――――――――



222 :彼等はオーケストラのようです:2009/05/16(土) 16:45:34.35 ID:d7xXP6XT0

―――――――――――――――
例えば欲しい物を買ってあげれば。

(#゚―゚)「なにボリよ!ボリこんなの後一ボリ万個ボリボリ買っても駄目ボリなんだから!ボリ」

(;,゚Д゚)「財布が……」

おっちゃん(は ひのきのぼう を とりだした)「ま、まままままん……ハァハァ」
―――――――――――――――
例えば何でも言う事を聞くと言ってみれば。

(#゚―゚)「おらワレ跪かんかい!土下座祭りじゃコラ!」

(*,゚Д゚)「さっきの曲で変なスイッチ入った!でもこれも中々」

おっちゃん(賢者)「ふう……何やってんだろ俺……」
―――――――――――――――
そうして今の状況がある。
何故か修理の終了予定時間が1時間ほど遅れたが、きっと気にするほどの事でも無いだろう



224 :彼等はオーケストラのようです:2009/05/16(土) 16:47:20.11 ID:d7xXP6XT0

ギコは助手席にまだ怒っているしぃを乗せて、しぃの家まで向かっていた。
時刻はPM11時。
流石に遅くなったと思い、急いで帰らせようとしているのだ。

(#゚―゚)「……」

(;,゚Д゚)「……」

無言の車内。
ギコは、ある事を思い出そうとしていた。

それは、2週間ほど前バイト先の先輩から教えてもらった場所。



227 :彼等はオーケストラのようです:2009/05/16(土) 16:48:29.34 ID:d7xXP6XT0

―――(・∀・)ココカラ回想!―――

('A`)「これは俺の友達が言ってた話なんだけどさ」

唐突に何を言い出すのだろうか。
まあ、ドクオ先輩の唐突さは今に始まった事じゃないが。
丁度暇だったし話を聞くのもいいが、ここはとりあえず疑問を投げかける。

(,,゚Д゚)「先輩友達いたんですか?」

(;'A`)「いるよ!これでも沢山いるよ!」

まさかこの先輩に友達がいたとは驚きだ。
今でこそ気さくに喋ってはいるが、出会った当初はそれはもう酷いものだった。
しかし一応少しだけ尊敬している部分もあるかもしれない事も無くない可能性も無いから、多くを語らずにいておこう。
あれ?これだと無い事になるのかな。



229 :彼等はオーケストラのようです:2009/05/16(土) 16:49:51.92 ID:d7xXP6XT0

('A`)「話を戻すけどさ、VIP浜辺の道路沿いに、林があるんだよ
そして夜そこに彼女と行くと、仲が深まったりするんだ」

(*'A`)「俺もこの前彼女と言ったら、すげえ良いムードになっちゃってさー」

お前も行って見るといいぞ。と先輩が言葉を続ける。
へー、それは行く価値があるかもしれないな。
しかし、一つ聞き捨てならない部分があった。

(;,゚Д゚)「先輩、外にまでエロゲ持って行ったんですか?」

(#'A`)「ちっがーう!三次だ!リアルだ!本物だ!」

ドクオ先輩に彼女がいた事に驚きながらも、その情報を深く脳に刻み込んだ。
今度しぃと一緒に行ってみよう。



230 :彼等はオーケストラのようです:2009/05/16(土) 16:50:41.93 ID:d7xXP6XT0

―――(・∀・)回想デチタ!―――

交差点、ギコは急に海方面へと進路を変える。

(#゚―゚)「こっち私の家じゃないわよ?」

(;,゚Д゚)「いや、ちょっと連れて行きたい場所があって」

もしドクオ先輩の情報が嘘だったらどうしようと、怯えながらも噂の林へと向かう。


10分程度で海が見えてきた。
そこをまたしばらく道なりに進むと、森と言うには少し小さい林があった。

(,,゚Д゚)「ここか……しぃ、降りてみろよ!星空が綺麗だぜ!」

(*゚―゚)「本当ね。でも、ここに連れて来たかったの?」

心なしか少ししぃの怒りも収まって来た様だ。



235 :彼等はオーケストラのようです:2009/05/16(土) 17:00:08.43 ID:d7xXP6XT0

車のエンジンを切り、夜空を見渡す。

(,,゚Д゚)「綺麗だなー」

(*゚―゚)「綺麗だけど、こんなのすぐ見れるじゃない
なんでここまで来たの?」

しぃが疑問を投げかけるのと同時に、背後が少し明るくなり、虫の鳴き声が聞こえてきた。
車の音や光で逃げていた虫たちが戻ってきたのだろう。

(,,゚Д゚)「すげえ……」

背後を振り返ると、そこにはとても美しい光景が広がっていた。
木が立ち並んでいる中に、少しだけ…とはいっても車1台分ほど開けた場所があった。
そこには、季節外れの蛍の光が溢れかえっていた。



236 :彼等はオーケストラのようです:2009/05/16(土) 17:01:08.64 ID:d7xXP6XT0

多数の蛍が光を放ち、照明のように虫や木々を照らし出す。

誰かが置いたんじゃないだろうかと思うほど絶妙な位置にある切り株には、虫たちが陣取り綺麗な音色を醸し出していた。

月の明かりと共に照明が演奏者を照らし、海から聞こえるさざ波をバックミュージックに演奏者達は音を出す。

指揮者のいないオーケストラは、いつまでも美しい音色と光景を観客に見せていた。

それにすっかり見入った二人は、時間を忘れその場所に居続ける。

つい先ほどまで喧嘩していた事も忘れ、いつしか二人は寄り添い合っていた。

こうしてこのオーケストラはカップル達によって語り継がれていく。

これからも、ずっと……

終わり


[ 2009/05/16 22:53 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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