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( ФωФ)ロマネスクはヤクザの一人息子のようです


603 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 06:29:46.27 ID:lxKgMoBL0

 チチチ、と鳥のさえずりが聞こえる。
 ほのかに明るくなってきた外からは、くるっぽっぽっぽぅ、くるっぽっぽっぽぅ――と。
 ハト? ハトだろうかあれは。それとも別の鳥なのか。
 鳥に詳しくない自分には、まったく分からない。

 とにかくもう一眠り――ごろり、と寝返りを打ち。
 ぎゅっと掛け布団をかき寄せながら、そう思った瞬間だ。



レ(゚ヮ゚ |IN 「早朝ですがお邪魔しまーすっ!! 起きてるかなっ、ロマネスク君!!」



 ぴしゃーん! と、襖が開けられて、いきなり少女が一人飛びこんできた。

( ФωФ) 「…………」

 眠っていた青年は、ごろり、と少女に背を向けた。
 とてつもなく大柄な体格をした、いかつい青年だ。

レ(゚ヮ゚;|IN 「な、なんで無視するかなぁっ!? こんな美少女が起こしにきてあげてるのにっ!!」

( ФωФ) 「……どこから入ったであるか。レイン。」

レ(゚ヮ゚ |IN 「サトツさんが通してくれたよっ?」



604 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 06:31:02.56 ID:lxKgMoBL0

 青年はわしゃわしゃと、寝グセの付いた頭を掻きまわす。
 とりあえずはだけかけていた甚平の前をかき寄せる。
 むくりと起き上がると、2mを超える長身だ。それだけで、ライオンが身を起こしたような迫力があった。

( ФωФ) 「サトツ……」

 低く通る声で呼びかけると、

∬ ´、`) 「いいではないですか、ロマネスク坊ちゃん。せっかくご学友がお迎えにきてくれたのですから」

 老年の男が一人、ひょっこりと襖の蔭から顔を出した。

( ФωФ) 「今日は祝日、学校はやっておらん」

∬ ´、`) 「おや、自由業はこれだから――曜日の感覚がおかしくなっておりましたな。失礼失礼――」

 嘘をつけ。というか、自由業とはよく言えたものだ。――青年は内心で呟くが、口には出さない。

( ФωФ) 「ともあれ、帰ってもらうのである」

∬ ´、`) 「 「えーっ!?」 」 レ(゚ヮ゚ |IN

( ФωФ) 「えーっ、ではないわ! サトツ、お前はここをどこだと思っておるのだ! レインもレインだ――」

 

605 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 06:33:05.22 ID:lxKgMoBL0






( ФωФ) 「ここは、ヤクザの邸宅なのであるぞ――!!」




 ロマネスクの叫びが、「杉浦組」の看板のかけられた、広い和風邸宅にこだました。




                  ( ФωФ)ロマネスクはヤクザの一人息子のようです




 

606 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 06:34:56.04 ID:lxKgMoBL0

( ФωФ) 「レインもレインである!」

 ロマネスクの叫びが杉浦組の邸宅内に響いていた。
 廊下を朝食の膳を抱えた、頬に刃傷のある組員が歩いて行く。ああ、またかと、聞こえたやりとりに苦笑しながら。

( ФωФ) 「血気盛んな若い衆が山のようにおる場所にきて、少しは身の危険を感じんのか!」

レ(゚ヮ゚ |IN 「えー、皆いい人だよ? それに、こんなにいい天気! せっかくの休みに友達を遊びに誘わないなんて」

( ФωФ) 「誰が友達であるか!」

 押しかぶせるようにロマネスクが言う。
 既にロマネスクは起きて、着流し姿だ。十代後半にも関わらず、やけにサマになっている。

レ(゚ヮ゚ |IN 「そんなことないよっ! ロっくんは友達だよ!」

( ФωФ) 「ロっくんと呼ぶなである――! とにかく、いい加減帰るのである! でなければ――」

レ(゚ヮ゚ |IN 「でなければ?」

( ФωФ) 「…………」

 笑顔で聞き返してくるレインには、まったくこたえていないようだ。
 ロマネスクは少し考えると、どすを利かせた声で、

( ФωФ) 「押し倒して滅茶苦茶にしてシャブ漬けにしてソープに沈めるのである」

 と言った。
 ――ヤクザの一人息子のセリフだけに、まったくシャレになっていない。



607 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 06:37:55.98 ID:lxKgMoBL0

 だが、それでもレインには効いた様子が無い。

レ(゚ヮ゚ |IN 「サトツさんサトツさん。シャブですってシャブ」

∬ ´、`) 「残念ながらうちの組ではご法度ですな。取り扱ってはおりません」

( ФωФ) 「…………」

 ロマネスクはサトツに、余計な事を――後で覚えておくのである! と視線を送るが、
サトツにも効いた様子はない。

( ФωФ) (二人とも、絶対に心臓に毛が生えているであるな――)

∬ ´、`) 「しかし、まぁ、坊ちゃん。押し倒すとは、ついにぼっちゃんもそのような年ごろに――」

レ(゚ヮ゚ |IN 「きゃー! 私、押し倒されちゃうー!!」

 ふざける二人。その声が聞こえ、

     「おい、坊ちゃんがついにレイン嬢ちゃんを押し倒すってよ。」

  「失敗するに500円。」
          「途中でためらって気まずくなって失敗するに1000円」

    「あ、俺も俺も!」
                   「失敗オンリーじゃ賭けにならねー!」

 と、邸内で声が交わされるに至り――



608 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 06:39:38.95 ID:lxKgMoBL0

( #ФωФ) 「い、い加減に……出て行くのである――!!」


 二人が襖から外に放り出され、ぴしゃりと襖がしめられた。

レ(゚ヮ゚ |IN 「あらら、ふられちゃったねっ!」

∬ ´、`) 「残念でしたなぁ」

レ(゚ヮ゚ |IN 「ま、うん! 今日は退散するよっ。朝早くからごめんなさいっ」

 ぺこり、とレインがサトツに頭を下げる。
 その拍子に、リボンで飾られた、垂れた耳がふわりと揺れた。

∬ ´、`) 「まぁ、またいらっしゃい。若い連中も、レインさんがいらっしゃるのは楽しみにしていますから」

レ(゚ヮ゚ |IN 「はぁいっ!」

 そうしてレインは、とたたた、と板張りの廊下を走って、玄関口まで走っていく。
 元気はつらつとした様子に見える――が、その耳は、叱られ、しょぼくれた子犬のように垂れ下がったままだ。

 サトツはその様子を見送り――

∬ ´、`) 「良い娘さんではないですか。坊ちゃん」

( ФωФ) 「…………」

 襖越しに、ロマネスクに語りかける。
 返答はない。



610 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 06:42:27.64 ID:lxKgMoBL0

∬ ´、`) 「坊ちゃん。みな、坊ちゃんが彼女を避けられること、首をかしげております」

∬ ´、`) 「……坊ちゃんに好意も示して下さる。なぜ、そこまで避けられるのですか?」

( ФωФ) 「吾輩、犬アレルギーである」

∬ ´、`) 「初耳ですね」

 ロマネスクの適当な返しを、あっさりと切り捨てるサトツ。

( ФωФ) 「…………」

∬ ´、`) 「怖いのですか?」

( ФωФ) 「…………」

∬ ´、`) 「我々の世界に、堅気のあの娘さんを関わらせてしまうことが」

 ロマネスクの答えはない。

∬ ´、`) 「確かに、人に胸を張れる、まっとうな仕事ではないでしょう」

∬ ´、`) 「仁義だなんだと申したところで、所詮は人様に迷惑をかけて生きる、社会の寄生虫。」

∬ ´、`) 「……ですが、一寸の虫にも五分の魂と申します」

 相変わらず答えはないが、サトツは語り続ける。

∬ ´、`) 「誰に誇れずとも、せめて己に嘘をつかず生きて欲しい――そう思うのは、私のわがままでしょうかなぁ」



611 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 06:43:40.82 ID:lxKgMoBL0

 しばしの沈黙の後。
 ぴしゃり、と襖が開いた。

∬ ´、`) 「…………」 (ФωФ )

( ФωФ) 「少し、早朝散歩をしてくるのである。――け、けして追いかけるわけではないであるからな!」

∬ ´、`) 「はいはい。分かっておりますとも――朝食は二人分でよろしいですかな?」

( ФωФ) 「うむ、吾輩は今日は大量に食べたい気分である」

 それだけを言うと、ロマネスクは廊下を悠然と歩き、玄関を出て――玄関先から、足音が一気に疾走に変わった。

∬ ´、`) 「やれやれ。 手のかかる坊ちゃんですなぁ――」

 サトツは昔を思い出す。
 幼稚園の頃。多忙な両親に代わって、親代わりだったサトツのあとを、いつもついてきたロマネスク。
 小学校の時。ヤクザの子だと遠巻きにされ、疎外され、泣いて帰ってきたロマネスク。
 中学校の時。鬱屈し、恵まれた体躯で喧嘩騒ぎを何度も起こしたロマネスク。
 そして高校――

∬ ´、`) 「世の中には奇妙な女もいるのである、でしたか」

 学校で、自分を恐れない女がいると――そんな話をサトツが聞いてから、ロマネスクは徐々に大人しくなった。
 喧嘩騒ぎも起こさなくなったし、学校にもまじめに通うようになった。

∬ ´、`) 「……分かりやすすぎですぞ、坊ちゃん」

 朝日を見上げて、サトツはそうつぶやいた。
 ――今日も、いい一日になりそうだった。



612 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 06:46:10.77 ID:lxKgMoBL0

レ(゚ヮ゚ |IN 「あーあ。嫌われちゃったかなぁ――こんな時間から押しかけるなんて、やっぱり非常識だよねっ」

 まぶしい。
 朝日さえも、自分を笑って。からかっているように見えた。

レ(゚ヮ゚ |IN 「…………」

 杉浦ロマネスク。
 一緒のクラスになったときは、なんて怖そうな人なんだろうと思った。

 でも、目を合わせてみたら、なんだか寂しそうで。いつの間にか、放っておけなくなって――

レ(゚ヮ゚ |IN 「って、何考えてるんだろうな、もうっ! ともあれ予定もつぶれちゃったから――」


    「レイン!!」


 呼び止める声が聞こえた。

 嘘だと思った。

 振り向いたら――彼がいた。

( ФωФ) 「…………レイン」

レ(゚ヮ゚ |IN 「――ロっくん」

  

616 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 07:06:18.19 ID:lxKgMoBL0

( ФωФ) 「その――さっきはすまなかったのである!」

 いきなり頭を下げられた。

レ(゚ヮ゚;|IN 「え、ええっ!? ど、どうしちゃったの!? 熱でもあるの!?」

( ФωФ) 「む…………お前の中で吾輩は、どれだけ横暴な人間なのであるか――?」

レ(゚ヮ゚;|IN 「で、でも――」

( ФωФ) 「そ、その、であるな。わ、吾輩は――気づいたのである!」

 ロマネスクはそういうと、当たりの人気を確認する。
 誰もいない。それから、何かを言いだそうとして、ためらい――

レ(゚ヮ゚;|IN 「…………?」

( ;ФωФ) 「…………」

 辺りにどこか、じれったいような、少し気づまりな雰囲気が漂いはじめる。
 レインも少し、緊張した面持ちで――

( ;ФωФ) 「くっ、その――つ、つまりであるな!」

レ(゚- ゚;|IN 「つまり?」


( ;ФωФ) 「――つつつつまり……あー……ちょ、朝食も出さずに返しては、我が家の恥なのである!!」



617 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/05(火) 07:07:48.94 ID:lxKgMoBL0

 何かを誤魔化すような叫びだった。

レ(゚ヮ゚ |IN 「そう――そうなんだ。あ、あははは……」

( ;ФωФ) 「ハ、ハハハ――そうであろう!」

レ(゚ヮ゚ |IN 「うん、そうだね。じゃあ、折角だから御馳走になっていこうかなっ!」

 何かもう、こうなってしまっては台無しである。
 崩れた雰囲気そのままに、二人揃ってなんとかいつものやりとりへと軌道を修正し――

レ(゚ヮ゚ |IN 「ふふふ――それじゃ、いこっ!」

 レインが、ロマネスクのいかつい手を取った。

( ;ФωФ) 「!!」

レ(゚ヮ゚*|IN 「なにしてるのっ、はやくはやく――ごーはん、ごはん~♪」

 変な節をつけて歌いながら、ロマネスクの手を引っ張って走るレインの頬。
 ふわりと跳ねた耳の影に、かすかにみえたそこが赤かったのは、気のせいだろうか。

( ;ФωФ) 「ま、待つのである――下駄ではそんなに早く走れ……アッー!!」

 早朝の街路に、派手な転倒音が響きわたる。
 杉浦組の屋敷前は、今日も実に平和なのだった――


                  ( ФωФ)ロマネスクはヤクザの一人息子のようです Fin


[ 2009/05/05 19:48 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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