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('A`)墓を造るドクオのようです


41 :('A`)墓を造るドクオのようです:2009/04/25(土) 19:17:11.98 ID:/qe260FhO

――灼熱の地、ヴィップト――

 此処は、かつて幾つもの王朝が栄華を極めた土地である。
 しかし、今や往時の面影は無く、人影さえも見られない。
 芒洋たる砂漠に聳ゆる巨大な建造物が、過去の繁栄を偲ばせるのみである。
 無数の巨石から成るその四角錐は、時の君主アテルイ2世の墓。
 ――――と、なる筈の物であった。
 が、史上に残る最大の王墓をと望んだ彼の至願は、無残に潰えた。

 タム=ラマロと名乗る王が率いる新興国の電撃的な侵略が、崩壊の序曲であった。
 その後、幾度にも渡る激戦の末に国軍は全滅し、王侯貴族は例外なく処刑。
 辛うじて戦火を逃れた民も、殆どが奴隷として連れ去られてしまった。

 斯くして嵐が過ぎた後―――…。

 僅かに生き延びた人々は、新たな安寧の地を求めて流浪の民となった。
 眠るべき主のいない、虚ろな王墓を残して。



42 :('A`)墓を造るドクオのようです:2009/04/25(土) 19:18:52.98 ID:/qe260FhO

 ――――そして今。

 無人の地となった筈のヴィップトで、無心に槌を振るう者がいた。

('A`)「今日もアッチイなぁ……」

 そう呟いて手を休め、額に滲む汗を袖で拭う独りの男。
 彼の名は、ドクオ=ウッダウサリー。
 滅亡した最後の王朝の末期に、一農民として生まれた男である。
 元より孤独を好む性質のドクオだが、それでも昔は家族がいた。
 片手で足りるほどの人数ではあったけれど、友と呼べる者もいた。
 しかし、戦乱の最中で親兄弟を亡くした。
 運良く難を逃れた仲間たちも遠くへ旅立ち、彼は今、完全に独りだった。

 無下に置き去りにされたわけではない。自らの意志で残ったのだ。

('A`)「しかし今更すぎるが、単独作業はきちいなあ。特にこっからは……」

 眼前に立つ無主の王墓を仰ぎ見て嘆息し、ドクオはくるりと踵を返す。
 代わって瞳に映るのは、視界一面に並ぶ瘤のような低い盛り上がり。



45 :('A`)墓を造るドクオのようです:2009/04/25(土) 19:20:39.65 ID:/qe260FhO

 ほぼ等間隔に整列するそれらは全て、彼が独りで拵えた名も無き民の墓だ。

('A`)「我ながらよくやったもんだぜ」

 先刻ようやく終わったばかりの埋葬作業に、ドクオは長い歳月を費やした。
 皆と別れた時は幼さすらあった顔に、浅からぬ年輪が刻まれるほどの時を。

 もう十分だ、と死者たちは言ってくれるかもしれない。

('A`)「でも……やっぱ墓石がなきゃ締まらねえよな」

 誰に言うでもなく声を漏らし、決して大きくはない身体を思い切り伸ばす。
 そうして強張った筋肉を解した後は、緩やかに深呼吸。

('A`)「よしっ!」

 気合いの入った掛け声と共に左右の掌で両頬を弾き、再び巨石と向い合う。
 槌で楔を叩き始めたドクオを見守るのは、今日も天上の太陽のみ。
 その視線は相変わらず、ありがた迷惑なほどに暖かかった。



46 :('A`)墓を造るドクオのようです:2009/04/25(土) 19:22:20.02 ID:/qe260FhO

 ※ ※ ※ ※ ※

 ドクオが王墓を穿ち始めてから数時間後、斜陽が帰路の足を早めだした。
 それを見て、彼も作業に区切りを付ける。

('A`)「初日だし。まあ、こんなもんだろ」

 適当な大きさに切り出した幾つかの石を余所目に、服に付いた砂礫を払う。

('A`)「今日は実験みたいなもんだったからな。本格的には明日からだ」

 そう言って、後片付けをしながら翌日の工程に考えを巡らせているうちに、
夜の帳は音も無く、するすると降りてきた。

('A`)「いけねっ」

 道具を纏めたズタ袋を背負い、ドクオも家路へと足を向けた。
 誰も待つ者のいない、ボロボロの我が家へと。



 ――――その夜、ドクオは久方ぶりに夢に見た。此処に残ると仲間に伝えた日のことを――――



48 :('A`)墓を造るドクオのようです:2009/04/25(土) 19:24:02.92 ID:/qe260FhO

 別れを告げた時、まずは問われた。

(´・ω・`)「……此処に残って、何をするつもりなんだい?」

('A`)「全ての人に墓を掘る」

 そして呆れられた。

( ・∀・)「そんなことして何になる? とても付き合いきれねーよ」

('A`)「俺が独りで墓を掘る」

 無謀だと諫められた。

川 ゚ -゚)「無茶なことを言うな。気持ちは分かるが……どれだけの人が死んだと思ってるんだ?」

('A`)「男も女も老人も子供も、全ての人に墓を掘る」

 意を決して向けた背中に縋り付かれた。

( ;ω;)「駄目だおドクオ! 皆と一緒に行くんだお! こんな辛いことは忘れられない。忘れちゃいけない……。
       でも、それに囚われて前を見ないのは、もっといけないことだお!」

 その言葉に、ドクオは何も答えられなかった。
 だから黙って手を振り解いた。気付けば其処から走り去っていた。



50 :('A`)墓を造るドクオのようです:2009/04/25(土) 19:25:49.25 ID:/qe260FhO

 ――――あれから幾度も見たこの夢は、何時もそこで幕を閉じる――――



('A`)「ふぅ……」

 寝起きの気分は、決して良いものではない。それも何時ものことだ。
 けれど、今朝の目覚めは、これまでとは違っていた。

 少なくとも“全ての人に墓を掘る”ということに関しては、既に達成したのだから。

('A`)「もし帰ってきたら、あいつらきっと驚くだろうなあ」

 再会など最早あり得ないと分かっていながら、そう呟かずにはいられなかった。

('∀`)フフッ

 自嘲気味に笑みを溢し、寝床を後にしたドクオは、今日も独りで家を出る。

 王墓を崩し、全ての人の墓石を得る為に。



52 :('A`)墓を造るドクオのようです:2009/04/25(土) 19:27:05.74 ID:/qe260FhO

 ――――しかし、それからまた時は流れ、幾つもの季節を巡った頃。

 志半ばにして、ついにドクオにも限界が訪れる。

('A`)ゴホッ ゴホッ

 重い病を得て、殆んど寝たきりで過ごすようになってしまったのだ。

('A`)(……独りでやり遂げられることじゃないのは分かってたけど)

('A`)ゲホッ

('A`)(……ふっ、こんな結末を迎えるなんてな)

 無理に薄笑いを浮かべてみても、その目は死んだ魚のように濁っていた。

 せめて誰か一人でも、仲間がいてくれたら。と、詮無きことを思う。

 そして思考は廻る、くるくると。記憶の海を撹拌しながら――…。

―――
――






53 :('A`)墓を造るドクオのようです:2009/04/25(土) 19:28:39.94 ID:/qe260FhO

('A`)(後悔も反省も無い……。やれるだけのことはやったさ)

 ドクオは最後の力を振り絞り、上体を起こして壁に寄り掛る。
 相対する窓の向うには、奇妙に屈折した王墓を背景に広がる墓地が見えた。
 それを眺めて、ドクオはまた、力なく笑う。

('A`)「これ見たら……あいつら……びっくりすんだろうなあ――…」

 その言葉を境に、視界は段々と霞がかったようにぼやけ始めた。

 伴って消え逝く意識の中で、ドクオは懐かしい声に呼び掛けられているような気がした。



 …――オ……クオ……ドクオ……



56 :('A`)墓を造るドクオのようです:2009/04/25(土) 19:31:31.89 ID:/qe260FhO

( ・∀・)ノシ('A`)

Σ('A`)「ひでぶっ!!」

( ・∀・)「“ひでぶっ”じゃねえよ、バカ」

('A`)「お、お前ら何時の間に戻ってきたんだ?」

川 ゚ -゚)「私のトランプピラミッド24段ver.が……」

( ^ω^)「完成記念にお祝いしようと買い出し行ってきたら……」

(´・ω・`)「ちょっと留守にした間にこの様か」

('A`)「いやっ、違うんだ! この裏には、聞くも涙、語るも涙の深イイ話が――」

(´・ω・`)「うーん」

( ・∀・)「うーん」

( ^ω^)「うーん」

('A`)「欝だ氏のう……」

川 ゚ -゚)「一応、聞いてみようか」

('A`)「……お前らが買い出し行ってる間、すんげー暇でさ。やることなくてぼーっとしてたら、つい持病が……」



57 :('A`)墓を造るドクオのようです:2009/04/25(土) 19:33:03.77 ID:/qe260FhO

川 ゚ -゚)「持病?」

('A`)「そうそう。でな。戦争があってさ。家族も死んで、皆とも別れて、俺は独りで(ry」

( ^ω^)(まーた厨二病かお)

川 ゚ -゚)「意味が分からん」

('A`)「とにかく気付いたらこうなってたんだ。……仕方なかったんだよ!」

( ・∀・)「開き直んなよ」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」


 ――――その後、散々ボコされたドクオは、ピラミッドの修復作業を独りでやらされる羽目になった。

(メメメ'A`)「ずびばぜんでした(悔しい……でも、感じちゃう……ビクンビクン)」


 …………彼の病が癒える日は、まだまだ遠いようです。



――終わり――







58 :('A`)墓を造るドクオのようです:2009/04/25(土) 19:34:00.71 ID:/qe260FhO

以上ですよ~。

「ピラミッドを一人で!?」ってお題でやらしてもらいました。
色々とあれだけど、初投下ってことで勘弁してくらはい。

[ 2009/04/25 19:55 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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