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( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです


313 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(1/12):2009/04/15(水) 21:16:18.37 ID:anKT40L+0

いつもの朝の散歩中、左右に広がる桜並木の桜に見惚れ立ち止まっていると、彼は足にスリスリとすり寄る生物を見つけた

ミセ*゚ー゚)リ「にゃーお」

( ФωФ)「ふむ、独特な髪型をした猫であるな」

それは毛並みが特徴的な雌猫であった
サラサラな黒の毛が、何だか、ミセリって感じにうねりにうねっている

その猫を拾い上げ、近くの花壇の淵に座り込む
首を撫でてやると、ゴロゴロと鳴き甘えてくるその姿は、

(* ФωФ)「……むぅ、可愛いのである」

ひとしきり撫でてやり、満足したところで地面に放してやる
それでも猫はどこにも行かず、未だ彼の前に鎮座したままだ
何かを求めるように鳴かないことから、エサをねだっている訳ではないだろう

( ФωФ)「お主は何がしたいのだ?」

彼の問いには答えず、毛づくろいを始める猫
しばらくその姿を見続けていたが、そろそろ帰らなければならないと思い出す

( ФωФ)「それでは、さよならなのである」

彼は猫に別れの挨拶をし、背を向け歩き出した
だが、ふと気になり後ろを振り向く

ミセ*゚ー゚)リ「みゃーお」



314 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(2/12):2009/04/15(水) 21:19:07.81 ID:anKT40L+0

あの猫が付いて来ていた

これには困った
いくら追い払おうとしたところで、付いて来てしまうのだ

近くに落ちていた小石を投げて、気を引いたところで逃げようとはしたものの上手くいかない
ならばと思い、無理矢理走って逃げようとしても、40半ばを過ぎた彼の体では猫から逃げることなど不可能であった
すぐに息が切れ、気分が悪くなり、目眩が起こり、体の節々が悲鳴を上げ、眼鏡がずれる

その視界に、地獄が広がっていた

∑( ФωФ)「!? ……何――」

慌てて眼鏡をかけ直し、周囲を見渡す
そこにはいつも通り、何の変哲もない桜並木が広がっているだけだった

(; +ω+)「……ふぅー……はふぅー……、まったく、歳は取りたく、ないものである……」

乱れた息と、さっきの悪夢を深呼吸で取り除く



315 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(3/12):2009/04/15(水) 21:21:36.38 ID:anKT40L+0

そして、ああ、そう言えば、とショックで忘れていたあの猫を思い出す
後ろを見ると、やはりというか、変わらずそこにいた

いっそのこと家に連れて帰ろうかとも思ったが、それも無理な話であった
別に彼は気にしないのだが、彼の妻が動物を苦手としていたからだ

∑(; ФωФ)「はっ、しまったのである」

あれやこれやと彼が悩んでいると、結局良い案は浮かばず、いつの間にか家にたどり着いてしまった

後ろには欠伸をしている猫
目の前には、築10年と経っていない、淡いベージュ色に彩られた小さな我が家

そして、

从'ー'从「あれれ~、ロマ君、その猫ちゃんは何~?」

庭先で掃除をしていた、妻の姿であった



316 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(4/12):2009/04/15(水) 21:24:18.96 ID:anKT40L+0

从'ー'从「で、結局連れてきちゃったの~?」

(; ФωФ)「面目無いのである」

ロマと呼ばれた彼、ロマネスクは妻に延々と説教をされていた
それを気のない表情で見つめる猫

原因である猫を恨めしげに見つめ返すが、知らんぷりをされてしまった
そして、日当りのいい場所に寝ころび、昼寝を始める

ミセ*-ー-)リ zZΖ

( ФωФ)(何と可w……憎らしい表情であろうか)

从'ー'从「まだお話は終わってないよ~」

(; ФωФ)「ぬぐぅ……」

しばらく終わりそうにない説教を聞き流しながら、あの猫をどうしようかと思案するロマネスク
だが、実際は心を決めていた

道中、猫がおかしな動きをすることがあったのだ
もしかしたら、どこか体が悪いのかも知れない
ロマネスクの性格上、怪我をしているかも知れない動物を、放っておけるはずがなかった

だからこそ、ロマネスクは説教を続ける妻に話を切りだす



317 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(5/12):2009/04/15(水) 21:28:02.62 ID:anKT40L+0

( ФωФ)「アヤカ」

从'ー'从「それにね~、……ん、なぁに、ロマ君?」

妻の目を見るロマネスク
そして、一息で言い切る

( ФωФ)「我輩はこの猫を飼いたい」

从'ー'从「ダメ」

(; ФωФ)「おぅふ」

にべもなく断られる
だが、この程度では引き下がらない

( ФωФ)「だがだな、この猫はどこか怪我をしているかも知れんのだ。そんな猫を放置することなど、我輩には出来はしないのである」

とか何とか言葉を重ねに重ね、

从'-'从「む~、じゃあ、ロマ君がちゃんと面倒を見るんだよ~」

(* ФωФ)「! 分かっているのである!」



319 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(6/12):2009/04/15(水) 21:31:15.93 ID:anKT40L+0

ようやく説得出来た頃には昼食時が近付いていた
その食事中に、猫に関する幾つかの約束を交わした

それと、

从'ー'从「週末にね~、ピクニックにいきたいな~」

それらを了承すれば、飼っても良いとのことだ
もちろん、一も二もなく頷いた

( ФωФ)「ミセリー! 来るのであるー!」

ミセ*゚ー゚)リ「なーお」

ロマネスクの声に反応して、猫、ミセリがとてとてと歩いてくる
そのミセリを抱き上げ、家の裏手にある研究所に行く



321 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(7/12):2009/04/15(水) 21:34:04.80 ID:anKT40L+0

小さな研究所だ
伝手があってやっと、やっていけている程度の大きさ
知名度もなく、それ故に仕事自体少なかった

だが彼は、それに不満を持つことはなかった
周囲からのささやかな支援と、数人のお得意様の強烈な支援があったからだ
だからこそ、彼はやっていけていた

そこで彼は、眼鏡の開発をしていた
もちろん、ただの眼鏡では研究者は名乗れない

お客の様々なニーズに答える眼鏡だ

例えば、視力に障害を患った人間を、もう一度健康な視力の状態に戻す眼鏡
例えば、犯人追跡機能が付いてるバーロー眼鏡
例えば、服が透けたり、1km先からでも精密に見えたり、
むしろもう、脳内の妄想を目の前に映せば良いんじゃね眼鏡まで開発していた

もはや眼鏡ではなくなってきているが、そんなことに彼は気付かず、今日も新しい眼鏡を開発していく

(* ФωФ)「むはっ、我輩天才っ!」

そうやってロマネスクは、この『平和な日常』を過ごしていく



323 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(8/12):2009/04/15(水) 21:37:12.45 ID:anKT40L+0

そして週末、日曜日
ロマネスクは妻とミセリと共に、妻との約束通りピクニックに来ていた

彼らの家から1時間ほどの小高い丘
草原が広がり、風が吹くことによって、さざ波のように広がり揺れる草花

空は雲一つない快晴で、彼らの登る砂利道の左手には、視界いっぱいに広がる大きな湖
それが、右手から昇る太陽の光を反射し、キラキラと輝いている

彼らが目指すのは、その砂利道を登りきったところにある一本の大樹
その下が、彼が妻に告白した場所
今回のピクニックの目的地

(; +ω+)「……はぅー……はふぅー……」

从'ー'从ノシ「ほらほら~、早く来ないとおいてっちゃうよ、ロマ君~」

ロマネスクのかなり前から、妻の声が聞こえる
同じ歳なのにこの差はいったい何なのか、彼は愚痴る

それだけではない

ここ最近、疲れが体に出るようになり、微熱が続いていた
それもだんだんと酷くなってきている
だがロマネスクには、何故か、行くのをやめるという選択肢は出なかった

回る視界の中で、横手に歩くミセリが見えた



333 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(9/12):2009/04/15(水) 21:50:06.85 ID:anKT40L+0

ロマネスクは、ミセリを抱き上げようと近寄るが、彼女には避けられてしまう

( ФωФ)「む? どうしたのであるか、ミセリ?」

ミセ*゚-゚)リ「……」

その声に答える声はない
ミセリはじっと、ただじっと、ロマネスクを見続ける
昨日までのミセリとは、何か、雰囲気が違うように彼には感じた

目だ

何か見透かすような瞳で、ロマネスクの顔を見続ける

いや、もしかしたら、ロマネスクの顔を見ていた訳ではなく、
彼の顔にかけられた眼鏡に写り込んだ、自分自身の姿を見ていたのかも知れない

( |ω|)「あ……ああ……ああああああ……!」

それでもロマネスクは恐怖した
自らが必死で目を逸らしている事実に、気付かされてしまいそうで



337 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(10/12):2009/04/15(水) 21:53:20.26 ID:anKT40L+0

そのとき、声が聞こえた

从'ー'从「ロマ君~! 後もう少しだよ~!」

妻のその声に安堵するロマネスク

彼は頭を振って気を紛らわす
そんなことを考える必要はない、と
ただ、妻の声に応じて、あの地に行けばいい、と

だからこそ、ロマネスクは歩き続ける
腕は既に持ち上がらず、足は棒のように止まりかけ、頭は熱に犯され狂い、全身に走る激痛を無視し続けて、彼は歩き続ける

愛する妻が『待ち続けた』、あの大切な思い出の場所へ

ただ、歩き続ける



339 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(11/12):2009/04/15(水) 21:56:09.37 ID:anKT40L+0

从'ー'从「ふふ、とうちゃ~く!」

目の前の大樹に背を預け座り込み、ロマネスクを待ち続けた妻に、彼は倒れ込むように抱きつく
それを優しく抱き包む妻に彼は接吻を交わし、妻の横に座り直す

( ФωФ)「……アヤカ、愛しているのである……」

从*'ー'从「いきなりどうしたの~?」

( ФωФ)「……いつかの歌を歌ってはくれないか?」

从'ー'从「歌~? 良いよ~」

妻の歌声が、丘に響き渡る

その歌は、彼女が良く歌っていた、ありふれたラブソング
一組の夫婦が、共に歩み、傍に寄り添い、いつまでも幸せであり続けた、2人の愛の歌

ロマネスクはその歌を聴き、彼自身それに続いて歌い始める

そして、その瞳を閉じていった

2人の歌はどこまでも響き渡り、彼らを祝福するように、一筋の風が吹いていった



340 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(12/12):2009/04/15(水) 21:58:21.19 ID:anKT40L+0

……
…………

ミセ*゚ー゚)リ「……」

彼女はそれを見ていた

世界は未知のウイルスによって荒れ果てて、数多の亡骸が放置されたこの世界で

たった1人、誰もいない家で話し続け
彼女とは違う世界で、幸せで、平和な日常を暮らす男のことを

男が女の亡骸と並んで座り、1人で歌を口ずさみ
1人と1つが、2つの物になったその瞬間を

彼女はそれを、見つめ続けていた

それでも彼の心が迎えた、幸せな結末を祝福するように、一筋の風が吹いった

それを見届けた彼女は、また1匹歩き出す


男が掛けていたメガネには、微笑み寄り添う妻の姿が、いつまでも映っていた


――ピクニックは終末に――


――終わり――







341 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(おわり):2009/04/15(水) 22:01:07.52 ID:anKT40L+0

>>313-317>>319>>321>>323>>333>>337>>339-340

ええぃ、落ちが弱いぞ!

感想・評価・批判・質問お願いします

お題は

・週末
・捏造
・激痛

でした。

もしかしたらタイトルや、最後のを見て分かったかも知れませんが、これは、

電撃文庫 著:鷹見一幸 『時空のクロス・ロード ピクニックは終末に』 の世界観を基に書きました

ごめんなさい







―――以下、補足的レス抽出―――

347 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 22:08:04.92 ID:dj2jWv4U0

>>343
メガネの研究が伏線てことでしょ?




348 :( ФωФ)ピクニックは週末に、のようです(おわり):2009/04/15(水) 22:11:41.02 ID:anKT40L+0

まず、アヤカ=渡辺は1レスが始まる前に死んでます、ウイルスでね
それに耐えられなかったロマネスクは、
7/12の時に、眼鏡の説明があり、そこで、妄想を目の前に映す眼鏡を自分に
装着しています

それは2/12の時に出てます
ついでに言うと、同じく2/12の時には世界はウイルスでほぼ崩壊し、
ロマもその影響が出ています

んで、最後、丘で死んでしまいましたとさ

>>347
そうです



349 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 22:18:11.55 ID:anKT40L+0

あ、最後の渡辺は、既に一週間程度過ぎてるので、まぁ、春ですけど、分かりますよね

ああ、ロマがミセリが怪我してるように見えたっていうのは、ミセリには世界がそのまま見えていますから、
道に落ちている死体を避けて歩いていた、というだけの話です

他に分からないところはありますか?


[ 2009/04/15 22:02 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

かなり良かったー。

なんかゾクリとするような作品だったな。
[ 2009/04/16 15:53 ] [ 編集 ]

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