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川д川とQueer達のようです


155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 01:15:59.63 ID:omLp90b+0

会社から出ると外はもう暗くなっていた。改めて時計を確認する。

川;д川「遅くなっちゃた……」

貞子は呟いた。
これといった特徴は無く、会社でも目立ったミスや功績も無い。
何処にでも居る様な、ごくありふれた社会人だ。


この時期に暇な人物と言えば、春休み真っ只中の学生位なモノだろう、
そう思いながら家路につく。ふと、自分はあの頃何をしていたんだろう思い返す。
人付き合いが苦手で、その上に口下手だった為か本ばかり読んでいた。

そんな自分に話しかけてくれた唯一の人を、

川д川「……どうしてるかなぁ」



156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 01:18:05.78 ID:omLp90b+0

タクシーを使えばよかった、と思い始めた時にそれは目に入った。

川д川「こんな所に店があったんだ……」

普段は気づかなかったが、それはそこにあった。

『 Bar  』

看板がうす汚れていて店の名前がよく見えない。
しかし、扉には『Open』と書かれた札がぶら下がっている。
あまり酒は強くは無いが気になり扉に手を掛ける。

カラン

ベルの音が響き、店内が一瞬静まりかけるが、カウンターにいた人物がこちらを向く、

(´・ω・`)「いらっしゃいませ」



158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 01:22:28.53 ID:omLp90b+0

辺りを見渡す。カウンター席しかないようで、其処に二人並んで座っている。

ξ゚⊿゚)ξ川 ゚ -゚)

二人ともかなりの美人だ。カウンターにはマスターと思わしき人物が一人。
その奥には様々なボトルが並んでいる。
自分が此処に居ても良いのだろうか、と迷っていると、

(´・ω・`)「どうぞ、お好きな席へ」

ξ゚ー゚)ξ「『お好きな席へ』って、残り少ないじゃない」

川 ゚ー゚)「いいや、選び放題じゃないか」

ξ゚ー゚)ξ「そうだったわね。ねぇ、貴女、一緒に飲まない?」

……言われてしまった。もう、間違えました、と言って出る訳には行かないだろう。



159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 01:24:21.81 ID:omLp90b+0

川; д川「な、なら、お言葉に甘えて……」

縦ロールさんの隣の席に座ろうとすると、

川 ゚ー゚)「おいおい、私だけ除け者かい?」

そう言って一つ席をずれる。
私は、腹を括り二人の間に座る。

(´・ω・`)「何にします?」

川д川「お任せで……」

(´・ω・`)「かしこまりました」

マスターが幾つかのボトルを取り出してシェイカーを振る。



160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 01:26:23.21 ID:omLp90b+0

改めてマスターの顔を見る。
多少しょぼくれてはいるものの、細身で中々のイケメンだ。
しかし、

川д川「……似てる」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしたの?」

川д川「学生の時の友達に似てるんですよ、マスターが」

川 ゚ー゚)「ほう」

二人はニヤニヤして私を見る。

ξ゚ー゚)ξ「どんな人だったの?」

そう言われると同時に、

(´・ω・`)「お待たせしました。こちら、当店オリジナルカクテルでございます」

私はカクテルを受け取り、思い返す。



161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 01:28:29.02 ID:omLp90b+0

川д川「……私、学生時代、ぼっちだったんですよ。でも、そんな私に声を掛けて
    くれたんです。やさしくて、勉強も出来て、クラスでも人気者でした」

川 ゚ -゚)「ふむ」

川д川「腕っ節も強くて、チョットした喧嘩騒ぎになった時、三人も相手に
勝っちゃうような人でした。学校中の人から、もててましたよ」

ξ゚ー゚)ξ「へぇ、いい人ね、その人。」

川 ゚ー゚)「好きだったのかい?」

川; д川「いや、憧れてはいましたけど…… 女性ですよ。私、女子校でしたし……」

二人は顔を見合わせ、

川 ゚ -゚)「「その人の名前は?」」ξ゚⊿゚)ξ

同時に聞いてきた。



162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 01:30:06.13 ID:omLp90b+0

川;д川「えっと、ショボ子っていいますけど…・・・」

戸惑いながら答えると、二人は笑った。



ひとしきり笑いきり、片方がマスターに向かって、

川 ゚ー゚)「昔から、もててたんだな、ショボ子」



163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 01:32:16.25 ID:omLp90b+0

川д川「」

絶句。言葉を失うとはこの事だろう。何も出てこない。

マスターが、ショボ子ちゃん? えぇ?

面影はあるけど、目の前に居る人はどう見ても男性だ。

(´・ω・`)「まいったな……」

そう言って此方に向き直り、

(´・ω・`)「お久しぶり、貞子ちゃん」



164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 01:33:37.59 ID:omLp90b+0

再び言葉を失った。私は此処に来て自分の名前を言っていない。
二人は又、ニヤニヤしながら私を見る。

川д川「……どう、しちゃったの?」

ようやく出てきた言葉がそれだった。

(´・ω・`)「どう、って、御覧の通りだよ」

川 ゚ー゚)「分かり易く、且つ、分かり難い返答だな」

ξ゚ー゚)ξ「ちゃんと説明してあげなさいよ。ショ・ボ・子・ちゃん」

二人はついに吹き出した。

(´・ω・`)「やめてくれよ、今はショボンなんだ」

ショボ子ちゃん、いや、今はショボン君か、が苦笑いを浮べる。

―そして話してくれた。



168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 02:02:11.53 ID:omLp90b+0

(´・ω・`)「ちょっとね、染色体を調べることになったんだ。そうしたら半陰陽だってさ」

川д川「半陰陽?」

川 ゚ -゚)「両性具有、双成と言ったほうが分かり易いな」

なるほど、しかし、

川д川「別に女性のままでよかったんじゃ……」

(´・ω・`)「んー、そうだね。どっちでもイけたし、まぁ、どちらかと言えば
      女性の方が好きだったからと、男の方が楽しそうだったからかな?」

ショボンは軽く笑うと、

(´・ω・`)「……正直、結構悩んだよ。この姿になるのを。悩んで、悩んで、悩みぬいた」

(´・ω・`)「そんな時、ある人に出会ったんだ。その人のおかげ、と言うべきか、
      せいと言うべきか…… それでこうなりましたとさ」



170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 02:04:10.31 ID:omLp90b+0

川д川「どうしてこのお店を?」

(´・ω・`)「僕の場合はその人に会えたからよかったけど、そんな人は、まず、いない。
      昔の僕みたいに悩んでる人にアドバイスしたかったからさ」

ξ゚⊿゚)ξ「ショボ子…… ショボンには感謝しているわ」

川 ゚ -゚)「ああ、いつも世話になっている」

川д川「……お二人も?」

ξ゚⊿゚)ξ「ええ、けど、私達はショボンとは違うのよ」

川 ゚ -゚)「私達は性同一性障害。まぁ、分かり易く言うと……」

二人は声を合わせ、



川 ゚ー゚)「「オカマよ(低音)」」ξ゚ー゚)ξ



171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 02:06:45.05 ID:omLp90b+0

三度目の絶句。この二人が?

川;д川「……それは、嘘、ですよね?」

ξ゚⊿゚)ξ「やっぱり、口で言っても駄目か……」

川 ゚ -゚)「ふむ、ならば……」

そう言うと私の手を股間に持って行こうとする、

川;д川「え? ちょ、ちょっと」

川 ゚ー゚)「Welcome(ようこそ)」

ぐにゃ

川*゚ー゚)「どうだい? 私のお稲荷さんは」

川*д川「すごく……大きいです……」

ξ゚⊿゚)ξ「セクハラよ、それ」

川 ゚ -゚)「心は乙女だから、せーふ」

(´・ω・`)「完璧にアウト。あえて言うなら漢女だね」



172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 02:08:41.12 ID:omLp90b+0

―その後は二人(お稲荷さんの人はクー、縦ロールさんはツン、と名乗った)と
ショボン君と他愛も無い話をしていた。

……こんなに人と話したのは久しぶりだ。

ふと、時計を見ると二時を回っている。楽しい時間が過ぎるのは早いものだ。
私の視線に気が付いたようでショボン君も時計を見る。

(´・ω・`)「おや、もうこんな時間か。一応、閉店の時間なんだが……」

ξ゚⊿゚)ξ「もうそんな時間? 早いわねー」

川 ゚ -゚)「そろそろ帰るか」

川д川「そうですね」

私達は立ち上がり、帰り仕度と清算を済ませる。ショボン君が、
「又のご来店を」と、決まり文句を言った後、

(´・ω・`)「またね、貞子ちゃん」

川д川「うん、またねショボン君」

そう言って私達は店を出た。



173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/15(水) 02:10:56.56 ID:omLp90b+0

外は月明かりに照らされ、思いの他明るく、風が心地いい。

ξ゚⊿゚)ξ「またね」

川 ゚ -゚)「またな」

川д川「うん、またね。ツンちゃん、クーちゃん」

二人は私が歩いて来た方へ向かっていく。

私は改めて看板を見た。

『 Bar Queer 』

其処にはそう書かれてあった。

川д川とQueer達のようです 終

[ 2009/04/15 21:09 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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