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ζ(゚ー゚*ζ彼女との出会い


452 :1/7 ◆fe/ZvyIw.A :2009/04/13(月) 20:48:02.74 ID:mqDvFlGe0

ある戦場の終わり、戦う者がいなくなった、死体と獣しかいない大地
そこに、1人の少女がいた

その足取りは覚束なく、騎士の証である剣と鎧は奪われ、赤く染め上げられた服はボロボロになり、
更に、そこにあるはずの右腕はなく、代わりにボロボロの包帯が巻かれているだけだった

10代後半と思しき顔には、失血によるものだけだろうか、顔色は悪く、本来あったであろう愛嬌はどこかに行ってしまっていた
金の髪を両方でまとめた巻き毛には、無残にも血がこびり付き変色している

彼女の視点は定まらず、虚ろな瞳は、ただただ前だけを映し、ひたすら歩き続けていた

足を取られた
死体に躓き、血と恥で汚れた大地に倒れこむ

溢れるほどもある死体が彼女の体を絡め捕り、命さえ奪おうとするかのように覆いかぶさる

それに恐怖することはない
ただ、罪悪感だけが押し寄せる

彼らに謝罪することもなく、その死そのものを見つめ返す

彼女は死体から目を離し、立ち上がる
そして、再び歩き出した

『』

その足が止まる



454 :2/7 ◆fe/ZvyIw.A :2009/04/13(月) 20:51:02.00 ID:mqDvFlGe0

獣が死体を貪る音しか聞こえないこの戦場に、何かが聞こえたかのように周囲を見渡す

『――』

いや、確かに何かが聞こえた

声だ

動くものはないこの死地で、彼女以外の誰かがいるのだ

初めて、彼女の瞳が色を取り戻した

純粋な好奇心に駆られ、彼女はそちらに近付いていく

『――――』

左手に広がる森
彼女の立っている位置からでは、端が見えないくらい広がった、葉の落ち切った針葉樹

彼女はそちらに歩いて行く

ふらふらふらふら

足取り危なく、
まるで、蜜に誘われる蝶のように、ふらふらと歩いて行く



455 :3/7 ◆fe/ZvyIw.A :2009/04/13(月) 20:54:01.53 ID:mqDvFlGe0

『――いk――』

男か女かも分からないその声は

『――もっt――』

だんだんと、その声が明瞭になり

『――嫌だ、もっと生きt――』

次第にその姿を

『――生きたい生きたい生k――』

現わしていく

『――誰か、助け、て――』



456 :4/7 ◆fe/ZvyIw.A :2009/04/13(月) 20:56:02.91 ID:mqDvFlGe0

そこには、首に剣を生やした見知らぬ男が倒れていた

体には、故国の騎士である証の白銀の鎧
その胸には、鷹を模した青きマーク

黒を基調とした、中央に真っ直ぐ刻まれた白の線が特徴的な、切っ先が折れた50cm程の剣
それに首を切り裂かれ、口から血を流した亡骸が木にもたれ、弛緩した体を放り投げている

その他には何も無い

獣一匹、そこにはいない

いつの間にか声は聞こえなくなり、彼女だけが生きる地が戻ってきた

落胆は、ない

この戦場で敗北し、自らの純潔を失い、故国が滅亡したあの時から希望は見えなくなった

そのまま亡骸に背を向けて、1人、ふらふらと歩きだす

『――助けて――』

今度は、はっきりと聞こえた
その声と同時に、キンッ、と言う音が聞こえる

振り向いた先にはやはり誰もいない

だが、先ほどまでそこにあったはずのモノがなくなっていた



458 :5/7 ◆fe/ZvyIw.A :2009/04/13(月) 20:58:02.39 ID:mqDvFlGe0



男の亡骸から、剣が消えていた

その代わり、澄んだ青の玉がそこにはあった

傷だらけの玉

まるで、彼女自身を表しているかのように

ζ(゚-゚*ζ「あなたが、呼んだの?」

『……助けて』

消え入りそうな、かすれた声が玉から聞こえる

彼女にはどうすれば良いのか分からない

そもそも、その声は生存本能によるモノで、
彼女に話しかけた訳でもなかったかもしれない

それでも、



459 :6/7 ◆fe/ZvyIw.A :2009/04/13(月) 21:00:02.01 ID:mqDvFlGe0

ζ(゚-゚*ζ「分かった」

その声に

ζ(゚-゚*ζ「助けてあげる」

『彼』に近寄り

ζ(゚-゚*ζ「だから――」

その身を、拾い上げた

『――――』

玉が青く光る

自らの生を示すかのように

その存在を誇るかのように

ζ(゚ー゚*ζ「―― 一緒に、生きてくれる?」

その声に応える

まるで、神話に謳われる女神の羽衣のように、彼女を包みこむ青
その光が収縮し、私の心に浮かんだ、ある一つの形に成していく



460 :7/7 ◆fe/ZvyIw.A :2009/04/13(月) 21:01:28.29 ID:mqDvFlGe0

イメージは剣

先ほど見た、切っ先なき剣
別名『慈悲の剣』と呼ばれる、王家の剣の姿を模していく

――クルタナ――

その名に相応しく、空のように澄みきった青と、

ζ(゚ー゚*ζ「これからよろしく、……ね」

ぶっきらぼうな言い方をする『彼女』を得て、

/*゚、。 /『……よろしく』

デレは、生きる希望を得たような気がした


――ζ(゚ー゚*ζ彼女との出会い・おわり――

[ 2009/04/13 22:03 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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