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('A`)は白髪が生えているようです


25 :('A`)は白髪が生えているようです:2009/04/08(水) 00:41:09.75 ID:uufkCWaHO

('A`)
 彼、ドクオには悩みがある。
長めの黒髪に混じって生えている「白髪」である。
彼が物心付く頃には、樹木が年輪を重ねていく様に、既にその数を増やしていたという。
彼の生来の気に病みやすい性格がそうするのかは、彼自身にも判断が着かなかったが
「為るべきして為ったもの」として、最早彼は諦めていた。
「この髪はね、雲の上の神さまがくれたご褒美なの。ドクちゃん、いつもいい子で偉いねって」
……いや、本当は、案外受け入れていたのかも知れない。



30 :('A`)は白髪が生えているようです:2009/04/08(水) 00:44:10.32 ID:uufkCWaHO

('A`)
 彼、ドクオは夜更けの散歩を趣味としている。
「これほど叙情的で、人間らしい趣味は無いよ」と、彼は友人に語り、失笑を買ったのは、もう先月の事だ。
「どうして僕は、夜が好きなんだろ」
「それはね、お月さまに好かれた子は、みんな夜が好きになるの。
お月さまはね、ドクちゃんみたいな優しい子が好きなんだって、ばあちゃん聞いたよ」
彼は夜道を歩く度、その言葉を思い出す。
遠くはなれた満月さえ、彼を月明かりで、優しく包んでいる気がした。



31 :('A`)は白髪が生えているようです:2009/04/08(水) 00:47:44.00 ID:uufkCWaHO

('A`)
 彼、ドクオの祖母が死んだ。
彼は低賃金のアルバイトで日銭を稼いでいた為、祖母の死に目には会えなかった。
自宅に急いで戻り、玄関を開けると、居間から、祖母がいつも仏壇にあげている線香の匂いがした。
「ああ…。今日はばあちゃんがあげてもらう番なんだね」
死装束を着た祖母を見て、ふとそう思った。
祖母の髪に目をやる。艶やかな白髪が生えている。
それはまるで、絹糸の様に細くしなやかで、美しかった。



33 :('A`)は白髪が生えているようです:2009/04/08(水) 00:52:09.30 ID:uufkCWaHO

('A`)
 彼、ドクオは歩いている。
行くあても無く、また、家に戻るつもりも無く、夜の路地をさ迷っている。
「夜露が付くほど、僕は歩いていたのか」
そう思い、頬に手をやる…。

夜露はどんどん溢れてくる。
遠くはなれた満月は、彼の頬の夜露を照らしている。
雲の上の神さまは、月明かりに照らされ、まるで祖母の髪の様に、白く輝く雫を眺めている。


夜は、まだ明けていない。

[ 2009/04/08 20:21 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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