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('A`)無題


261 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 00:43:49.03 ID:ymCXQGpg0

('A`)「・・・ここ、か」

やっと空が白み始めた。
朝日に照らされた巨大な城は重々しい空気を辺りに撒き散らしている。
朝の冷えも相俟って、城門前広場の空気がピリピリと引き締まる。
吐き出した息は白く染まっていた。

城門の前では既に到着した奴らが屯していた。
互いに談笑している奴、押し黙って来る時をただ待っている奴。

('A`)「・・・・・・」

('A`)「・・・よっと」

門前から少し離れた所の外壁を背に、座り込んだ。
背中越しに石造りの壁の冷たさが感じられる。

懐から封筒を取り出し、書かれている文字を読んだ。
「新成員募集」
単純に欠員が多くなってきたから新しい成員を募集するというらしい。
ただこの人数の多さには驚いた、三百、いや五百人以上はいそうだ。

('A`)「俺が・・・騎士ねぇ・・・」

いつの間にか声が漏れていた。
ドクオの父も、騎士だった。
まだドクオが幼いころに巨龍討伐の任務の時に負った傷が元で死んでしまったらしいが。



263 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 00:45:49.27 ID:ymCXQGpg0

『英雄』と、世間では言われていた。
どこが『英雄』なものか。
ドクオは父が嫌いだった。
自分がまだ生まれる前に家を飛び出し、そのまま死んだ男。
とても『英雄』などと持ち上げるような人物ではないというのに。

そんな馬鹿な男がなった騎士に、今からなろうとしている。
へへっ、と自嘲気味な笑いが毀れた。
丁度ドクオの前を歩いていた女が一瞬こっちを向き、怪訝な顔をして足早に立ち去っていった。

( ^Д^)「おい、お前」

ドクオが顔を上げると、鎧で身を固めた男が目の前に立っていた。
背中に巨大な剣を背負い、笑い顔を浮かべながらドクオを見下ろしていた。

('A`)「・・・なんすか?」

(;^Д^)「なんすか? じゃねーだろボケ。おめーも新成員募集の要項見て来た奴だろ?」

もうそんな時間か。
よく見たらもう朝日が昇りきっていた。

( ^Д^)「ついて来い、もう直ぐ始まるから」

('A`)「・・・・・・」

(;^Д^)「無口な野郎だな・・・」

男の顔は今度は完全に引き攣っていた。
お前には関係ないだろ、と言いたくなったが無視して男の後をついていった。



265 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 00:48:03.72 ID:ymCXQGpg0

志願者たちは一様に緊張しているようだった。
どうみてもオッサンという奴から、まだ十代にしか見えない子供のような奴まで。
よく見れば、女までいた。

一般人からしたら、騎士ってのは憧れの的なのだろうか。
まぁ普通の職業より圧倒的に高給ではあるが。
そこまでしてなりたいものなのか、ドクオにはよくわからなかった。

と、いきなり男が立ち止まった。

( ^Д^)「あそこが受付、んじゃ頑張れよ」

('A`)「ああ、どうも・・・」

軽く会釈し、受付へと向かった。
頑張ることなど何も無いのだが。
既に合格が決まっている試験ほど、アホらしいものはない。

ウケツ*゚ー゚)ケ「失礼ですがお名前を・・・」

('A`)「ドクオ=ジルベルスタイン・・・」

受付の女が紙をペラリと捲ると、「ああ」という顔をしながらドクオを見た。

ウケツ*゚ー゚)ケ「・・・お話は伺っております、こちらへどうぞ」

近くにいた兵士が「こちらへ」と口の動きだけで言ったのが見えた。
お先に失礼します、せいぜい頑張ってくださいね。
他の志願者の視線を感じながら、兵士の後ろにくっついてドクオは城内に入って行った。



267 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 00:48:50.26 ID:ymCXQGpg0

兵士に通された応接間のような部屋。

(兵∵)「しばらくこの部屋でお待ちください」

(兵∵ )

('A`)「あ、はい・・・あとこっちみんな」

兵士が出て行ってから部屋を見回してみた。
暖炉に煌々と明かりが灯っており、窓には水滴がついていた。
部屋の真ん中にあった真紅のソファに腰掛け、窓の外を眺めた。
澄み渡るような快晴、こういうときが一番寒いんだよな、と思った

と、外から喚声が上がった。
察するに試験会場からの声だろう。
不意に、ドアが開いた。

( ´∀`)「どうもどうも、いやいや遅れてしまいました」

優しそうな顔をした大男だった。
背中にドクオの背丈より大きいのではないか、という大矛。

('A`)「あ・・・ドク」

( ´∀`)「ドクオ=ジルベルスタイン君ですね、あのジルベルスタイン将軍の息子さんだそうで」

ジルベルスタイン将軍。
あの男はそう呼ばれていたのか。



269 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 00:52:04.38 ID:ymCXQGpg0

( ´∀`)「申し遅れました、モナー=サルヴェールと申します」

('A`)「・・・ああ」

モナーはニコリと笑いながら背中の大矛を壁に立てかけた。
よく磨かれているのだろう、刃の部分は辺りの風景を鏡のように映していた。
ドクオの向かい側のソファに、モナーは座った。
同時に、また喚声。

( ´∀`)「今年の試験は実戦ですよ、宮廷魔道士が操る最下層の泥人形相手ですがね」

('A`)「はぁ・・・」

心底、「よかった」と思った。
最下層だかなんだか知らないが、一度も剣など握ったことないドクオにいきなり戦いなど無理、だ。
また、喚声。
今度は悲鳴に近かったからもしかしたら誰かが怪我をしたのかもしれない。

( ´∀`)「死人は出ないよう加減するように言っているんですが」

窓の外を見ながらサラリと言ってのけた。
顔に似合わない発言に驚いてモナーの顔を見たが、さっきと表情は微塵も変わっていなかった。
ドクオの視線に気づき、モナーも視線を戻した。



270 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 00:53:43.13 ID:ymCXQGpg0

( ´∀`)「ああ、申し訳ありません。入団の話なのですが」

( ´∀`)「今日は城内の宿舎に泊まっていただきます。
      明日、入団式という事で正式に騎士になる式を・・・
      将軍から騎士の勲章を授与されますので。」

('A`)「はい、判りました」

モナーの謙遜した態度にこちらも自然と頭が下がってしまう。

( ´∀`)「いい返事ですよ、ドクオ君。
      まぁそんなに堅苦しくしないで、気楽に」

('A`)「ありがとうございます。」

その後、モナーは騎士になる上での心構えを話してくれた。
正直、どうでもいい話である。
騎士なんて結局はめんどくさくて、堅苦しいものだろうが。

( ´∀`)「では、宿舎へ案内しますね」

('A`)「はい・・・」

モナーについて部屋を出た。
部屋の前にいた兵士は一礼すると、すぐにまた直立不動の姿勢に戻った。

また、喚声が響き渡った。



272 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 00:55:49.25 ID:ymCXQGpg0

( ´∀`)「ここが貴方の部屋です」

('A`)「・・・・・・」

城の地下、少し黴臭いところに宿舎があった。
その一番端の、お世辞にも綺麗とはいえない部屋。
それがドクオに割り当てられた部屋だった。

('A`)「ちょ・・・」

( ´∀`)「少し汚いですが・・・何事も忍耐ですよ。
      中に室長がいるので、詳しいことは彼に聞いてくださいね」

苦笑いを浮かべながらモナーが言った。

( ´∀`)「では・・・また明日、会いましょう」

苦笑いを浮かべたまま、モナーは回れ右をして行ってしまった。
遠ざかっていくモナーの背中と足音を呆然と見つめていた。

( ^Д^)「おう、何やってんだそんなとこで・・・ってさっきのお前じゃねーか」

ドアが不意に開き、先ほど案内してくれた男が顔を出した。
先ほどと同じように、にやけた顔でドクオを見ている。

('A`)「ああ・・・さっきの・・・」

記憶を手繰り寄せるのに少々手間取ったが、なんとか思い出すことが出来た。
昔から、人の顔を覚えるのは苦手だ。



273 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 00:57:45.96 ID:ymCXQGpg0

外観も汚い上に、部屋の中も汚かった。
辺りに散らばったゴミ、書物。
その中に二段ベッドがドーンと置かれていた。
およそ騎士の部屋とは思えない。
しかし剣だけは、綺麗に磨かれた鞘に収められて壁に立てかけられていた。

( ^Д^)「おぅ、話は聞いてたけどまさかお前がそうとはなぁ・・・。
     ああ、俺の名前はプギャー=シセだ」

にやけた顔で握手を求めてきた。
無骨で、大きい手。

('A`)「よろしく、ドクオ=ジルベルスタイン」

握手を返す。

( ^Д^)「うん、あのジルベルスタイン将軍の息子らしいな。
     かーっ・・・羨ましいぜ、試験免除なんて・・・」

プギャーはそう言いながらベッドの周りと、ベッドの上を片付けていた。

('A`)「試験免除って、そんな凄いことなのか?」

(;^Д^)「てめ・・・俺は先輩なんだから敬語を使えっつの。
     まぁ割と異例、だってことは聞いたが。
     でも試験免除で入った人は他にもいるって聞くが。」

('A`)「へぇ・・・」



276 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/31(火) 01:03:53.62 ID:ymCXQGpg0

( ^Д^)「まぁ、俺は特別扱いだって自惚れんなって話だ。
     試験を受けてようが受けてまいが、扱いは同じなんだからな。」

ベッドシーツをパンパンと払い、ウンウンと頷くプギャー。

('A`)「・・・わかりました」

馬鹿が。
なんだかんだいったって優遇してもらえる。
そう思ってはいたものの、心の底では少し不安だった。

( ^Д^)「ま、謙虚に振舞うことだな。俺のように。」

ヘラヘラと笑いながらプギャーが言った。
ドクオも作り笑いで返す。
この男は馬鹿だ、鼻で笑いたくなるのを必死で堪えた。
と、俄かに廊下が騒がしくなった。

( ^Д^)「遂に新卒どもが来やがったか。
     今年はどんな女の子がいるのかなー・・・っと。
     あ、お前は下使えよ!」

それだけ言うと、プギャーは廊下へと出て行ってしまった。
部屋に一人残されたドクオはベッドに倒れるようにして寝転んだ。

('A`)「・・・イカくせぇ。」

我慢して目を瞑った。
やがて、深い眠りに落ちた。

[ 2009/03/31 19:27 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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