FC2ブログ










( ><)日記のようです


354 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 19:09:34.67 ID:e5yWupW5O

友人が消えた。
突然の失踪だった。

理由は誰にもわからないが、ある日忽然と姿を消したという


( ><)日記のようです



僕は彼とは大学時代からの付き合いだったのだが、偏屈で有名な奴だった。
ちょっと不気味な空気を纏うあいつに、僕自身も共通の話題がなければきっと永遠に関わることはなかっただろう。

( ><)「………………」

友人が消えた後、僕は彼の部屋で遺品と呼ばれるものを眺めていた。
友人に親族はいなかったし、友達も数えるくらいしかいなかったからだ。

彼の部屋は酷く殺風景で、生活感というものがまるで感じられなかった。
僕はそんな彼の部屋が嫌いではなかったけれど、正直好ましいとは思わず
古い小さな箱に入っている彼の日記を取り出すと、声に出して読みだした。



356 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 19:11:11.77 ID:e5yWupW5O

別に音読が得意なわけじゃない。
ただ、この殺風景な部屋で一人取り残されていると、孤独に押しつぶされてしまいそうになるから。

( ><)「……1月31日、晴れ。今日も……」

『1月31日 晴れ
 
  今日も天気は良好で非常に好ましい。私は快晴という天気が大好きだ。
  こんな日は友人と部屋でチェスに興じるに限る。
  天気の良い日に部屋に篭りチェスをするのが嬉しいのかと
  友人は不思議な顔をするが、私はとても楽しい、おかしいだろうか?


  だから私は皆に変人だとか呼ばれるのかと問えば、君は困惑気な顔をして笑った
  私がその顔を密かに好いているのを、君は知らないだろう』

彼らしい、固い筆跡で綴られているその文字をさする。
黒いインクが指についてくるかと思ったが、そんなことはなかった。



358 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 19:14:17.15 ID:e5yWupW5O

( ><)「………………」

パラ、とページを捲ると、相変わらず彼の濃い筆跡が白い部分を潰すように敷き詰められていた。
綺麗な字が彼の性格を表してるようだった。

( ><)「2月3日、曇り」

『 2月3日 曇り

  今日は友人とランチに行った。
灰色の天気だけが残念だが、暑い日ざしが苦手な友人は嬉しそうだった。
  友人はいつも買っているコロッケパンが自分が買う前に売り切れた
  という理由で大層憤慨していたが
  しかしよく考えて欲しい
 
  コロッケパンがなくなったからといって、世界が滅亡するわけではないのだよ
  冗談のつもりだったのだが、そう言うと君はやはり困惑したような顔で笑う
  
  私はその時間に心地良さすら覚えていた』

こんなことを書いているが、彼はコロッケパンが好きだったと僕は記憶する。

だって彼が部屋で食べる食事にはコロッケが多かった。
僕もよく進められたものだけど、手を付けようとは思えなかった。



360 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 19:15:47.82 ID:e5yWupW5O

ページを捲くる。

( ><)「……2月7日、雨」

『 2月7日 雨

  私は雨というのが嫌いである
  雨は私の心を鬱屈とさせるし、何より湿気は本に黴(かび)を生えさせる

  なのに友人は雨が好きだという
  まったく理解に苦しむことだ

  君は雨がどうして好きなのか?と聞けば
  雨が無くては人は乾いて死んでしまうよ、と笑う
  私はそういうことを聞いているのではないというのに 』

外を見ると、まるで神様のイタズラのように雨が降っていた。
ザアザアとした雑音が僕の耳を浸食していく。
僕は雨が好きだと思ったのに、今は酷く不快に聞こえた。

( ><)「2月8日、曇り」




363 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 19:18:53.27 ID:e5yWupW5O

『 2月8日 曇り
 
 今日は友人が大学を休んだ、どうやら風邪らしい。
 見舞いには力がつくようにとカツ丼を持って行ったのだが何故か怒られてしまった
 不思議がっていると友人は笑う
 
 「まったく、常識がないね」と

 私は友人にそんなことを言われるのは心外だったので、ムッとして言ってやった
 「私は常識に溢れている」と
 
 そう言うとやはり君は笑うのだった
 まったく、……理解に苦しむ』
 
( ><)「ははっ……」

いくらなんでも、病人にカツ丼はないだろうと思う。
カツ丼といえば刑事さんだろうに、彼は俗世というか、そういったものに興味がなかったのか

こういう常識的なことにはひどく疎かったのを僕は思い出した。

桃缶とかが食べやすくていいと教えると、彼は不思議そうな顔をしていたっけ。




365 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 19:20:49.53 ID:e5yWupW5O


( ><)「2月12日 晴れ」

『 2月12日 晴れ
 
 今日、全快した友人にお礼ということで食事に誘われた
 和食と洋食、どちらがいいかと問われたので迷わず中華と答える
 友人は和食を選択した

 ……私に聞く意味はあったのだろうか

 君との食事は楽しい、と私は食事中に言ったのだが、友人は訝しげな表情で私を見るだけだった 』

( ><)「………………」

彼は偏屈な男だった。それはよく知られていた。
だから、今まで平気だったのかもしれない

( ><)「2月、13日……」
 



367 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 19:23:04.56 ID:e5yWupW5O


『2月13日 曇り

 ところで最近、友人の様子がなんだがおかしい
 いつもキョロキョロとした様子で私の周りを伺っている
 どうかしたのかと聞いても答える様子はない

 それどころか、私がちょっとおかしいとすらいってくる

 そうして、私の周りを見回すのだ
 ……そんなもの今さらだと思うのだが』

( ><)「………………」


パラリ

『 2月16日 雨

 友人が最近私と目を合わせようとしてくれない
 いったいどうしたというのだろうか

 先日の食事では楽しそうに話していた気もするが
 もしかしたらそれは私の勘違いだったのかもしれない。
 私が友人に話しかけると、怯えたような目でコチラを見てくる
 君、一体何かあったのかい?




370 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 19:27:52.02 ID:e5yWupW5O

 そういっても頭を振って何も言わない
 私は一体どうすればいいのかわからなかった』

パラリ

『2月20日 曇り

 君は私の元に近寄らなくなった
 どうしてだろう?

 私が何かしたのだろうか
 君は何も悪くないのだ
 だから私から離れる必要なぞないと言うのに
せめて私が何かしたのだったら教えて欲しいと思う 』

パラリ

『2月26日 雨

 友人に異常だと罵られた
 悲しい

 とても悲しい
 私は君がいればいいと言うのに』


パラリ



374 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 19:31:59.81 ID:e5yWupW5O


『2月27日 曇り

 友人が行方不明になった
 
 君は何も言わなかったが私はその理由を知っている
 当たり前だろう

 私は亡き友人のために、コロッケパンを備えようと思ったが、バカらしくなったのでやめた』

( ><)「…………」

僕はそこでページを捲る手を止めた。
友人の姿を思い浮かべる、綺麗な黒髪と目が印象的だった。

パラリ

『2月28日 晴れ
 
 私はいつでも君と一緒にいる
 大丈夫だ
 だからそんな風に泣かないで欲しい』




377 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 19:34:12.06 ID:e5yWupW5O

パラリ

『3月1日 晴れ

 桜が舞っている
 綺麗だ

 私は友人の死体をその美しい桜の木の下に埋めた

 君は相変わらず泣いている
 私にその涙を拭うことは出来ない』

( ><)「…………」

パラリ


『3月4日

 私も君の元に行くことにした
 はやく逢いたい

 君と触れ合いたくて仕方ないんだ
 がまんできない
 すまないと思ってる。でも
 きがくるいそうなんだ 』




379 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 19:38:12.68 ID:e5yWupW5O


そこで日記は終わっていた。


( ><)「……………」

僕はそのまま日記を閉じると、後ろを振り向く。

そこに立っていたのはもちろんあいつだった

僕と同じような姿になって
友人を殺してまでして
彼は僕に会いたかったのだろうか

残念ながら僕にその感情は理解出来なかった
ハラリと舞う桜の花びらが、彼の体をすり抜けた



終わり







383 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/29(日) 19:39:45.31 ID:e5yWupW5O

お題は
いつも買ってるコロッケパンが売り切れてた
でした

投下に時間かかった
携帯作者って本当すごい……

[ 2009/03/29 20:53 ] 総合短編 | TB(0) | CM(2)

わからん……どういうこと?
[ 2009/03/30 15:34 ] [ 編集 ]

君と友人は別人で、君は幽霊
[ 2009/04/09 17:02 ] [ 編集 ]

コメントの投稿


更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

スパム対策のため"http"と"@"を禁止ワードに設定しています
URLを書き込む際は"h"を抜いて投稿してください













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://gyokutonoyume.blog116.fc2.com/tb.php/1593-c90d7bbf