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ビスケットのようです


146 :ビスケットのようです:2009/03/26(木) 19:55:50.83 ID:BTrVBdsmO

幼い頃に良く聞いた、可愛らしい童謡。

今でも簡単に思い出せるほど印象的なそれ。もしもほんとにそんなことが出来たら、どれだけ素敵なんだろう?

だけど俺は、そんな魔法を使うよりも……。



ビスケットのようです




149 :ビスケットのようです:2009/03/26(木) 19:57:12.04 ID:BTrVBdsmO

( ´_ゝ`)「妹者、あーんして?」

l从・∀・ノ!リ人「なんでなのじゃ?」

( ´_ゝ`)「いいから、あーん」

俺の言葉に不思議そうに軽く開かれたその口に、薄いビスケットを1枚くわえさせる。

l从・∀・ノ!リ人「おいしいのじゃー」

( ´_ゝ`)「それは良かった。はい、あーん」

l从・∀・ノ!リ人「あーんなのじゃ」

母者がおやつとして用意してくれた、昔懐しいパッケージのそれも残りわずか。




150 :ビスケットのようです:2009/03/26(木) 19:58:30.62 ID:BTrVBdsmO

( ´_ゝ`)「妹者、あーん」

l从・∀・ノ!リ人「んー……さっきから妹者ばっかり食べてる気がするのじゃ」

( ´_ゝ`)「いいのいいの。俺は幸せそうに笑って食べてくれる妹者を見るだけでお腹いっぱいだからな」

むぅ、と少し膨れながらも、そのビスケットをこりこり、さくさくと小さな可愛らしい音を立てながら妹者はお腹の中に入れていく。
まるでリスみたい。反射みたいに思わずきゅうと抱きしめると、妹者が声を上げて笑った。

l从・∀・*ノ!リ人「くすぐったいのじゃー」

(*´_ゝ`)「今まで妹者が口の中であめ玉コロコロ転がす音が一番可愛いと思ってたけど、この音もやばい!めちゃめちゃくる!」

(´<_` )「…………妹者を放せ変態」

背後から言い捨てられたその一言。
振り返るとバイト帰りの弟者が半ば呆れたような顔をして立っていた。




152 :ビスケットのようです:2009/03/26(木) 19:59:49.82 ID:BTrVBdsmO

l从・∀・ノ!リ人「おかえりなのじゃー」

( ´_ゝ`)「おかえり」

(´<_` )「ただいま、妹者」

(;´_ゝ`)「ひどっ!いつもの事だけどひどっ!」

そんなやり取りをしながら再びビスケットを妹者の口に運んでいく。

(´<_` )「確かに可愛いな」

( ´_ゝ`)「だろー?」

l从・∀・ノ!リ人「兄者、喉が渇いたのじゃ。お茶が欲しいのじゃー」

( ´_ゝ`)「ん、ちょっと待ってろ」

よいしょ、と少し遠いテーブルの上にあるお茶のコップに手を伸ばす。
それはぎりぎりで届きそうな距離。体は不自然に捩じれている状態で……それが、まずかった。




153 :ビスケットのようです:2009/03/26(木) 20:00:59.92 ID:BTrVBdsmO

(´<_` )「兄者、無理しなくても俺が取ってやるって」

( ´_ゝ`)「大丈夫大丈夫……っと」

妹者を膝に乗せて抱え込んだままで、うまくバランスがとれない体。
お茶だけはこぼせない、と傾いだ体制を整えるべく慌てて床に手をつくと、ばりっとした感触が掌に来た。

( ´_ゝ`)「え……」

l从・∀・ノ!リ人「あ、ビスケットが」

そっと持ち上げると、袋の中の薄いビスケットは、俺の手に押しつぶされて無惨な状態になっていた。
一口大の欠片に分かれてしまったそれをまた可愛い妹者に少しずつ指先で与えると、ふと何かを思い出したように弟者が口を開いた。

(´<_` )「そういえばさ、昔あったよな、こんな歌」

( ´_ゝ`)「へ?」

(´<_` )「ポケットの中にビスケット入れて」

l从・∀・ノ!リ人「ポケット叩くとビスケットが増えてくやつなのじゃ!」




154 :ビスケットのようです:2009/03/26(木) 20:02:11.74 ID:BTrVBdsmO

懐かしいなあ。
昔大好きだったあの歌。頭の中で、わっと音楽が流れていく。

(´<_` )「俺昔さあ、ビスケット生でポケット入れてたたいてさ、粉々にしちゃって母者に笑われたなあ」

( ´_ゝ`)「そんな事もあったな。やっぱり魔法は使えないよな。いきなり1枚のビスケットが2枚になるなんてさ」

l从・∀・ノ!リ人「あれ?」

俺のその言葉に、妹者が首を傾げる。
え、俺何か変なこと言った?

l从・∀・ノ!リ人「ポケットの上からビスケットたたくと2つに割れる、って意味じゃないのじゃ?」

( ´_ゝ`)「え?ポケットたたいて魔法をかけると分裂して2枚になるって意味じゃなかったか?なあ弟者」

(´<_` )「俺は妹者と同じで割れて2つになると思ってるんだが」

見てろよ、と最後に1枚残ったビスケットを弟者がポケットに入れる。
そして上から軽く一たたき。パキン、小さな音が聞こえた。




156 :ビスケットのようです:2009/03/26(木) 20:03:19.27 ID:BTrVBdsmO

(´<_` )「ほら」

取り出されたビスケットは、見事に袋の中で2つに割れている。
うまいことたたいたなあなんて感心もしたけど、でもこれはやっぱり違うっしょ。

( ´_ゝ`)「これは2枚じゃないぞ」

(´<_` )「え、だって2つになればいいんだろ?」

l从-∀-ノ!リ人「んー…?2枚…2つ…?どう違うのじゃ?」

(´<_` )「ポケットの中にはビスケットが1つ。ポケットをたたくとビスケットは2つ。もひとつたたくとビスケットは3つ……だろ?」

( ´_ゝ`)「そうだけどさー、何枚も何枚も増えていく方が夢があるじゃん?」

(´<_` )「それ言ったら元も子もないだろ」

まあとにかく食べよう、って2つに割れた半分を弟者が妹者に渡す。
そして残った半分を更に割ってその半分を俺に。
最後の1枚を3人で分ける、なんだかそれがやけに嬉しい。




157 :ビスケットのようです:2009/03/26(木) 20:05:12.09 ID:BTrVBdsmO

( ´_ゝ`)「弟者、妹者」

(´<_` )「ん?」

l从・∀・ノ!リ人「のじゃ?」

( ´_ゝ`)「俺やっぱり、魔法で増えたビスケットを1人1枚ずつ食べるよりも、こうやって分けっこして仲良く食べる方がいいな」

(´<_` )「俺は食べれるものなら1人で1枚食べたいけどな」

l从・∀・ノ!リ人「妹者もなのじゃ」

(;´_ゝ`)「ひどっ!」

(´<_` )「ははは、冗談だって」

少しムスッとした俺の頭を、よしよしなのじゃー、と妹者が撫でてくれる。

l从・∀・ノ!リ人「兄者、ちっちゃい兄者」

l从・∀・*ノ!リ人「また一緒にビスケット食べるのじゃ」

(*´_ゝ`)「そうだな!」(´<_`*)

あ、でも今度はビスケットよりクッキーがいいのじゃ。そっちの方が好きなのじゃ。

そう言って笑った妹者に、俺と弟者もつられて笑った。



[ 2009/03/27 19:59 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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