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从’―’从あと一歩のようです


164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 21:48:25.17 ID:iQ65c5480

怒号と罵声が飛び交い、荒れ狂う人の波。

(#^ω^)「どけどけどけーっ!ブーン様のお通りだお!」

その人波を強引に押し退ける者

( ・∀・)「はい、ちょっとすみませんよ…っと」

人々の合間を華麗に通り抜ける者

その手段は違えども、皆、ある一つの物を目指していた。

阿鼻叫喚の光景が広がるなか、そこから少し離れたところで、女子が一人、その光景を遠い目で見つめながらたたずんでいた。

从’―’从「……」



165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 21:49:52.56 ID:iQ65c5480




从’―’从あと一歩のようです



166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 21:50:59.77 ID:iQ65c5480

ここはVIP高等学校2-5教室。
教室の片隅には、ひとり黙々とアンパンを口に運ぶ女子が一人。

从’―’从(……)

彼女の名は渡辺。
友達のいない彼女は、こうして毎日、窓側の一番後ろの席で一人昼食をとっていた。

そんな彼女のもとに、一人の男が近づいてきた。

( ・∀・)「やぁ」

学校中の生徒から慕われ、かつ憧れの的である、学校中の人気者、モララーだった。

从;’―’从「……」

突然の訪問者に彼女は困惑した。
無理もない、日蔭者の自分とはあまりにもかけ離れた存在が、今、自分の目の前で、しかも声をかけてきたのだ。

( ・∀・)「君、今日購買部のところにいたよね?」

从;’―’从「…はい」

( ・∀・)「…あそこがどういうところか、君も知らないわけじゃないよね?」

从―从「……」



167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 21:52:04.34 ID:iQ65c5480

この学校は購買部での競争が激しいことで有名で、その中でも、たった一つしか販売されないコロッケパンは、学校全体の永遠の憧れであり、目標であった。
そのため、毎日昼ごろになると、それを求めに学校中の猛者が購買部へと集い、血で血を洗う熾烈な争いが繰り広げられるのだ。
そんなところにか弱い女子がいれば、目につくのも仕方のないことだった。

ちなみに、今、彼女の目の前にいるモララーは、半年間コロッケパンを獲得し続けており、それが、今の彼の地位に起因している。

( ・∀・)「どうして君があんなところに?」

从―从「…コロッケパンさえ手に入れれば、有名になって、私にも…友達ができるかなって…」

( ・∀・)「で、購買部に行ったものの、そのあまりの壮絶さに怖気づいて、余り物の
     アンパンを一人さびしく食べているわけだ。」

从―从「……」

何も言い返せなかった。

从―从「…結局、日蔭者は日蔭者でしかないんですよね…」

渡辺は自嘲気味につぶやいた。




170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 21:54:08.58 ID:iQ65c5480

( ・∀・)「……」

( ・∀・)「…僕のライバルにね、ブーンっていう男がいるんだ」

从―从「……?」

( ・∀・)「半年ぐらい前かな……そいつもね、君みたいに何かを変えたかったのか、突然あの購買部へとやってきたんだ」

( ・∀・)「ヤツはもともと、腕力も体力もなければ根性もなくてね、最初は君みたいに怖気づいて、あの人波を遠くで見つめることしかできなかった。」



172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 21:55:33.35 ID:iQ65c5480

( ・∀・)「でも、次の日、ヤツはそこから一歩を踏み出した。

( ・∀・)「ヤツはあの荒波の中に自ら身を投じたんだ。」

( ・∀・)「それからヤツは、顔や体中にケガをしながらも、毎日のように購買部へとやってきた。」
( ・∀・)「それから徐々に体つきも良くなって、今じゃ僕の地位を脅かす唯一の人間になった。」

从;’―’从「……」

壮絶な話だった。
しかし、その話と自分にどんな関係があるというのだろう。

( ・∀・)「…思うに、君は今まで、何事においても、その一歩を踏みこんだことがないんじゃないかな」

( ・∀・)「…人間関係においても…ね」

从’―’从「……」




174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 21:56:23.03 ID:iQ65c5480

彼女は、半年前のクラス替えが行われた直後のことを思い出していた。
一年のときに女子のグループの輪に入りそこね、ずっと孤独だった彼女に、友達になろう
と声をかけてくれた人がいた。

しかし、彼女はそれを拒んだ。

怖かったのだ。

裏切られるんじゃないか、陰口をされるんじゃないか。
などと、必要のない不安に駆られたのだ。

傷つくことを恐れて、人間関係という波の中に、一歩を踏みこむことができなかったのだ。


从―从「……」

( ・∀・)「僕が言いたいのはそれだけだよ。……じゃあね。」

そう言うと、モララーはそのまま自身の席へと戻って行った。



176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 21:57:49.50 ID:iQ65c5480





放課後、彼女はまだ席を立てずにいた。

从’―’从「……」

…まだ、やり直せるのかな…

気づけば、彼女の頬には一筋の涙。
しかし、彼女はそれを自身の袖で力強くぬぐい、勢いよく席を立ちあがった。




181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 22:13:18.86 ID:iQ65c5480




怒号と罵声が飛び交う、購買部の人の波

( #^ω^)「オラオラオラッっ!てめぇらどかねぇと片っ端から掘ってくぞ!!」

今日もたった一つのものを求めて、人々が蠢きあう。


( ・∀・)「……」


一人の男が見つめる先、


从―从「……」


人波を見つめていただけの少女が、今、


从’―’从「……よし!」


一歩を踏み出した。





183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 22:15:33.84 ID:iQ65c5480



ここは2-5教室。
教室の片隅には、アンパンを黙々と口に運ぶ女子が一人。

从’―’从「……」

そこに、一人の男が近づく。

( ・∀・)「……一歩、踏み出せたようだね」

彼女は男に振り向き、満面の笑みで言った。






从*’―’从「…はい!」





~おわり~



186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/24(火) 22:20:03.56 ID:iQ65c5480






( ・∀・)「…そういえば、コロッケパン、取り損ねたな…」

( ‐∀‐)「まぁいいか、今回はヤツに譲ってやるさ…」




(*^ω^)「フヒヒ…ねんがんの ころっけぱんを てにいれたお…ウヒャヒャ」

(*^ω^)「さぁて、勝者の味をじっっくり堪能させてもらうとするかお」 

(*^ω^)「いっただっきまーすお!!」


パクッ モグモグ…


( ゚ω゚)「…これ、コロッケじゃなくて、白身ざk…」



~ほんとにおわり~

[ 2009/03/25 17:55 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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