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Big Brotherのようです


421 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:13:40.28 ID:yew4RjKtO

ひゅう、と春先の強い風が吹いた

('A`)「やっぱ夜は冷え込むな」

身震いしつつ呟く

震えているのは恐怖のためではない、寒さのためだ
そう思い込みたくて俺はそんな事を言ったのだろうか

遥か下には行き交う車、ヘッドライトの光

今俺はビルの屋上のフェンスを越えた先、
あと一歩踏み出せば数10メートル下の道路に叩きつけられる

そんな場所にいる



あいつから逃げるために。



422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:15:34.36 ID:yew4RjKtO

あいつに気がついたのは三日程前だったろうか

ふと視線を感じて物陰を見ると、ぼんやりと人影が見えた

ぼんやりとしているけれど、そいつの目だけがやけにはっきりと見えて



<●><●>



すぐに消えてしまったので
その時は疲れているのだろうと大して気にも留めなかった。



426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:17:34.84 ID:yew4RjKtO

次にそいつが現れた時は声が聞こえた

口がはっきり見えないので実際そいつの声なのかは分からないが
俺にはそれはそいつの声としか思えなかった



 ―――良き事のため 良き事のため



声はそう繰り返していた。



427 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:19:42.60 ID:yew4RjKtO

どうやら声は俺にしか聞こえないらしい
周りの人間に何を言っても要領を得ないのだ

自分の気が狂ってしまったかも知れないという恐怖と、
周りの人間が俺を奇妙なもののように見る視線が嫌で嫌で
俺はその場から逃げ出した。



走って逃げる間俺は街を行く人の視線に晒された

そりゃ必死の形相で足をもつれさせ
全力で走る男が注目を浴びないはずがない

振り向くと人ごみに紛れてあいつも俺を見ていた



<●><●>



429 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:21:37.49 ID:yew4RjKtO

そのあとなんとか部屋に辿り着き、ずっと引きこもっていた

毛布にくるまり両耳を強く塞いでいても
そいつの声は聞こえてくる
最初よりもはっきりと



 ―――良き事のため、良き事のため

 ―――列をなせ、踏み鳴らせ

 ―――汝は従順なる僕、善良なるマシン

 ―――連呼せよ、連呼せよ

 ―――思慮は今罪と知るべし


物陰で
窓辺で
俺の耳元で

そいつは囁き続けた。



430 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/18(水) 23:25:00.66 ID:yew4RjKtO

意を決してこの場所にたどり着いたのが30分ほど前

今もそいつは俺の目の前で囁き続けている



<●><●> 良き事のため、良き事のため



いろいろと試したが
こいつは俺にはどうする事もできないらしい

恐怖はあるがこのまま纏わりつかれて本格的に気が狂うよりは多分マシだろう

偉大なる兄弟はいつでも俺達を見ている
もう俺は耐えられそうにない





俺は右足を踏み出した。



Big Brotherのようです

-終-

[ 2009/03/22 11:43 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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