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('A`)美味い酒のようです


460 :('A`)美味い酒のようです:2009/03/12(木) 05:01:49.37 ID:AstaV7xUO

( ^ω^)「今日は急でおどろいたお」

('A`)「ああ、来たのか」

( ^ω^)「呼んどいて来たのか、はあまりにも冷たいんじゃないかお」

('A`)「…すまん、これでも飲んでくれ」

そう言って彼が僕に渡したのは、丸い氷の入った綺麗なグラス。
傾けてくるのは、普段酒を飲まない僕でも知ってるようなウィスキーだった。
値段も飲み方もわからないくせに、一丁前にちびりと口にする。



461 :('A`)美味い酒のようです:2009/03/12(木) 05:03:22.48 ID:AstaV7xUO

( ^ω^)「甘いお」


('A`)「美味い酒は不思議と甘い匂いや味がするんだ」

そんなものかと呟くと、そんなものだと返してくる声に、僕は電話を受けた時から
聞きたかった問いを投げかけてみることにする。

( ^ω^)「なにか、あったのかお」

彼が人を自宅に招くなど、滅多にあるものではない。
このウィスキーも、なけなしの給料を叩いて買った代物だと彼自身から聞いたものではなかろうか。
いや、それでも彼は僕より稼いでいるのだけれど。

('A`)「お前、俺の親父を覚えてるか」

ポツリともれたかのような声は、寂しげな香りを酒に混ぜた。



462 :('A`)美味い酒のようです:2009/03/12(木) 05:05:59.83 ID:AstaV7xUO

( ^ω^)「幼稚園から大学まで一緒だったのは伊達じゃないお」

極力明るく勤めるも、触れた温度は冷たかった。

('A`)「…今日、死んだんだ」










( ^ω^)「ご愁傷様」



463 :('A`)美味い酒のようです:2009/03/12(木) 05:09:50.13 ID:AstaV7xUO

自分でも驚くくらい冷たい一言だ。
頭の芯が冷えきった感覚。酒のせいではない。ショックを受けたわけでもない。
だが、決して心まで冷えている訳じゃない。全ての気持ちを込めて、これしか言えなかった。

('A`)「ああ、それだけなんだ」



チン、と氷が鳴る


('A`)「酒が甘いな」


( ^ω^)「いい酒、らしいお」



('A`)「そうか」

( ^ω^)「そうだお」



('A`)「そうか」

深く溜め息をつき、もう一度「そうか」と呟いたあと、彼はソファーに深くかけ、俯いた。
僕は飲み干した自分のグラスに、新しく酒を注いでいた。



465 :('A`)美味い酒のようです:2009/03/12(木) 05:13:13.88 ID:AstaV7xUO

('A`)「…俺は何をしたいんだと思う、ブーン?」

( ^ω^)「僕は美味い酒とやらの味を覚えるのに忙しいから、自分で頼むお」

('A`)「そうか」



彼の家は、所謂シングルファザーだった。

正直に言えば、愛されている様子はなかった。
仕事が忙しいのかなんなのか、まともに帰ってくることも珍しかった。
彼はそれを、明るく冗談混じりに笑っていた。

('A`)「俺はさ」

( ^ω^)「ん?」



466 :('A`)美味い酒のようです:2009/03/12(木) 05:16:47.55 ID:AstaV7xUO

('A`)「嫌いだったんだ。親父が」

( ^ω^)「わかるお」




('A`)「わからねえよ」

( ^ω^)「まあ正直わからんお」

('A`)「どっちだよ。氷も一緒に取り替えろ、水っぽくなる」

随分と乱暴に、氷を渡される。中から一つつまんで、僕はそれを口に含めた。


( ^ω^)「そういうのは先に言えお」

ガジガジとやっていると、顔をしかめられた。
ああそうか、この音が嫌いなんだっけ。小気味いいのに。

('A`)「悪かったから氷を食うな、氷を」

( ^ω^)「先に言え、っていうのはそうじゃないお」



467 :('A`)美味い酒のようです:2009/03/12(木) 05:25:04.34 ID:AstaV7xUO

( ^ω^)「親父さんにだお」



('A`)「…正直わかんないんだよな」

( ^ω^)「なにがだお?」

('A`)「小学校の時、あいつが一回だけおにぎりを俺に作ったんだ」

今度は氷を捨てるために用意されたと思われるカップに中身を空け、新しくグラスを作る。
酒が段々と苦くなってきた。

('A`)「丸かった。綺麗に」

(;^ω^)ガフッゴフッガフッ

('A`)「汚いな、吹くんじゃねーぞ」


('A`)「お前のおにぎりなんて綺麗に三角なのにさ、俺のはまん丸なんだぜ。
    子供ながらに恥ずかしかったよ」
( ^ω^)「ほうほう」

('A`)「でもさ」

ドクオのグラスが、やっと空になった。

('A`)「俺、あれより美味いおにぎり食ったことねえよ」



468 :('A`)美味い酒のようです:2009/03/12(木) 05:30:24.24 ID:AstaV7xUO

( ^ω^)「甘かったかお?」

('A`)「酒じゃねえ、と言いたいが元々米は甘いもんだ」

( ^ω^)「おっおっおw」


ドクオが新しいグラスを作るとき、これは親父が飲んでた酒だ、と恥ずかしそうに言っていた。
僕はそれが少しおかしかったけど、何も言わないでいた。



('A`)「今日は悪かったな、付き合わせて」

( ^ω^)「あの酒があるならまた来てもいいお」

('A`)「馬鹿、あれは今日限りだ」

ふむ、今思い返せば惜しい酒だったかもしれない。もっと味えばよかった。



470 :('A`)美味い酒のようです:2009/03/12(木) 05:37:59.44 ID:AstaV7xUO

外を見ると、お日様が仕事を始めようとしていた。場の空気も終わりを知らせている。

( ^ω^)「…さて、じゃあの。」

('A`)「…さよなら三角」

( ^ω^)「またきて四角♪」

懐かしい。小学生の頃に歌った気がする。

('A`)「続き、忘れちまったな。昔はよく歌ったのに」

( ^ω^)「豆腐が白い云々は覚えてるお」



471 :('A`)美味い酒のようです:2009/03/12(木) 05:40:16.48 ID:AstaV7xUO

('A`)「時間が経つと、変わるもんなんだな」

( ^ω^)「ウィスキーの味すら変わってしまうお」


('A`)「余計に温めるからだろうが」




( ^ω^)「思い出もそうなるのかお」









('A`)「知らねえよ」



( ^ω^)「じゃあ、またお」







483 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/12(木) 06:03:36.07 ID:IV3vDoET0

おお、規制とけてた

もういっそPCから失礼、投下は以上で終了です
初めての投下でさるさんはいい経験をしたと思う
お題は
三角おにぎり
またきて四角
でした


[ 2009/03/16 22:15 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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