FC2ブログ










川 ゚ -゚)電車のようです


420 :419:2009/02/23(月) 08:17:23.09 ID:9hMYrYuAO

川 ゚ -゚)(-ω-)


川 ゚ -゚)電車のようです

―――ガタン、ゴトン。



421 :419:2009/02/23(月) 08:18:43.79 ID:9hMYrYuAO

電車の中に私はいる。残念な事に、一人ではない。
『毒男以外の男と(相手が寝ているとは言え)ふたり』で、並んで座っているのだ。

川 ゚ -゚)はぁ……。

今日何度目になるか解らないため息を、隣の男が起きないように注意しながら吐く。


毒男と別れて三百六十一日目になるその日、この人に映画に誘われた。今週の日曜日、つまり別れて一年になる今日の日付が印字された映画のチケットを持って。



422 :419:2009/02/23(月) 08:20:47.12 ID:9hMYrYuAO

( ^ω^)「い、いい今話題の映画のチケットが偶然二枚手には入ったんだお!!」
( ^ω^)「く、クーさん一緒に行きましょうお?」
川 ゚ -゚)「いや、わたs(*゚ー゚)「いいじゃない。行ってきなさいよ、クー。クーはいつも断ってばっかりなんだし、たまには。よろしくね、ブーン君」
(*^ω^)「あ、ありがとうだお!」



断るつもりだった。
しかし、私が口を挟む事はできなかった。
とにかく、約束は取り交わされてしまったのだ。常々毒男のことを忘れろという友人と、この人の間で。

( ^ω^)b
(*゚ー゚)b

彼の去り際、二人がアイコンタクトを取り、親指をたて合うのを見逃さなかった。
こっちは、中指をたててやりたい気分だったというのに。



423 :419:2009/02/23(月) 08:22:19.07 ID:9hMYrYuAO

彼のことが嫌いな訳では、決して無い。
ただ、毒男の記憶を綺麗なまま私の中で保存しておきたいだけなのだ。私が他の男と二人で居ると、私の中の毒男を汚してしまうような気がする。
離れてから一年、毒男は、私の中で反芻を繰り返され、あまりにも綺麗になりすぎてしまった。

水曜日から今日までの間、今日という一日よ消えてしまえと何度も念じた。
当たり前のように、祈りは虚しく、時間は正確に流れた。
後はこの電車で帰るのみである。
その今でさえ、今日が来なければ良かったと声高らかに宣言できる。



424 :419:2009/02/23(月) 08:24:59.00 ID:9hMYrYuAO

約束である午前十一時の五分前に私が待ち合わせ場所(私は現地集合を提案したのだが、彼が私の最寄り駅を集合場所にしようと言った)に付いた時、

((( ^ω^)))きょろきょろごそごそ

残り僅かしか残っていないペットボトルを持ちながらこんな風に彼は挙動不審だったし、昼食時、私と友人しぃの行き着けの卵料理屋さんに入る時も、

((( ^ω^)))きょろきょろごそごそ
((( ^ω^)))「ここ、オススメらしいお。きっとクーも気にいるお」

携帯を見ながら彼は挙動不審だった。形容するならばハムッハムッっとしかできないであろう食べ方でオムライスを食べ、ケチャップで唇を赤くしていた。
映画館でも

((( ^ω^)))きょろきょろごそごそ
((( ;ω;))「ヒロ死んじゃったお。悲しいお。スイーツ(泣)」

一般事前販売と印字されたチケットを財布に入れて、当然のように挙動不審だった。



426 :419:2009/02/23(月) 08:27:39.85 ID:9hMYrYuAO

毒男だったら。毒男が隣にいれば。
毒男と私は驚くほど一致している。
彼は私の半身なのだと本気で思いこんでいるくらいだ。
待ち合わせをすればちょうど入り口でかち合う、ご飯を食べれば同じメニューを選び、丁寧に食べ物を口に運ぶ。
映画はアクションが好きだし、あんな『十万人が泣いたセツナい恋の物語――』なんてポップのついたうそくさい恋愛映画は絶対に選ばない。

今隣にいるこの人の仕草、一つ一つが目についた。その度に、毒男のことが頭に浮かんだ。
つまり、私の頭から毒男のことが消えることはなかったのだ。



427 :419:2009/02/23(月) 08:29:47.94 ID:9hMYrYuAO

毒男と私は運命で結ばれていたのだ。
私は毒男を一目見た瞬間彼の全てを理解した。そして彼もまたきっと。
毒男は寡黙な人だ。たまに口を開くときは、言葉の一つ一つを丁寧に口にした。
そのとき、私はいつでも甘い切なさに包まれていた。
今隣にいるこの人は、たくさんのことをたくさんのことばでたくさんの感情ではなす。
驚いたように緊張しながらおいしそうに悲しそうに楽しそうに。
なんであの男はあんなにもにこにことしているのだろうか、毒男は――

川 ゚ -゚)「あ」

嗚呼!私の常識の全て、私という人間の根底には、毒男が入り込んで潜んでいるのだ。
愛しさと悲しさの混ざった感情に押し寄せられ、胸が苦しくなる。



428 :419:2009/02/23(月) 08:32:14.85 ID:9hMYrYuAO

周りの音がより騒がしく、けれど静かになったので、トンネルに入ったのだとわかる。
斜め前の席で刺繍の縫われたブックカバーに包まれた本を読む若い女の人がくっきりとガラスでできた窓に映っている。
あの人から見たら、私と隣に座っているこの人はどんな風に見えているんだろう。

日曜日に電車の中で一緒にすわる高校生くらいの男女。
二人は私服。
男はにこにこしながら寝ていて、女は無表情にぼんやりとしている。

こんな私たちは、あなたから見たら何ですか?
友達?
クラスメイト?
それとも、恋人同士?
それらの違いはなんなのだろう。
私と隣の人との距離が離れているから?
単に隣にならんでいるから?

彼女に聞きたい、という衝動に駆られる。
私たちが恋人同士に見えるのならば、それは何故ですか、と。
毒男よりもこの人の方が恋人らしくみえることはありますか、と。



430 :419:2009/02/23(月) 08:35:05.79 ID:9hMYrYuAO

隣に居るのが愛すべき元恋人殿だったなら、絡めた指が関係を示していただろう。
毒男は、隣に居るこの人みたいにデート中に寝るだなんて失態は冒さなかったし、とてもスマートでそんな彼はとてもとても格好よかった。


電車が停まり、斜め前の女の人が降りた。

川 ゚ -゚)「本当に、」

ほんとうにふたりきりだぞ、毒男。


ドアが閉まり、また動きだす。

川 ゚ -゚)「次は君の降りる駅だ、内藤」
( -ω-)……

肩を揺するが反応がない。
もう少し手前で起こしておくべきだったか、そう思案しながらもう一度肩を揺すろうとする。
( -ω-)「……お、ここどこだお」
川 ゚ -゚)「じきに君の降りる駅だぞ、内藤」
( ゚ω゚)「…ぅあっ!?クー!!ちょwww早く言えおwww



444 :914:2009/02/23(月) 09:04:18.39 ID:9hMYrYuAO

( ;ω;)「クーといるのに寝てたとかもったいないおばけがでるお。ごめんだお」
(;^ω^)「あ、クーの方までおくってくお!どうせ一駅だから気にすんなお」
川 ;゚ -゚)「落ち着け」

なんでこの人はこんなにくるくると表情が変わるんだろう。
不本意ながら、目を擦りながら言葉を発し続けるこの人を、本の少し、いとおしく思った。

川 ゚ー゚)「折角だから送りを頼むとしよう」

自然と、口角があがる。

( ^ω^)「おっおっ」

更に笑顔で返される。たまには、悪くない。
たまには、だけど。



446 :419:2009/02/23(月) 09:07:03.30 ID:9hMYrYuAO

(;^ω^)「もう着くお。もっと一緒にいたいお」
川 ゚ -゚)「時間がないのは君が寝ていた所為だろう」


ホームに着いて反対行きの電車に押し込む。
川 ゚ -゚)「次の電車は二時間後だぞ。また明日、学校で会えばいいじゃないか」

( ^ω^)「わかったお!気をつけるお!またあしたお!」

( ^ω^)ノシ

相好を崩して大きく手を振るこの人に、軽く手を振り電車を見送る。


二本の電車が駅をさって走っていく。

おしまい


[ 2009/02/24 20:53 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

ドクオが何で分かれたか知りたいな
俺は好きだよ
[ 2009/02/27 18:54 ] [ 編集 ]

コメントの投稿


更新は止まっていますがコメントはご自由にどうぞ
修正・削除依頼等、何かしらの連絡はコメントもしくはメルフォよりお願いします
拍手だと高確率で長期間気づきません

スパム対策のため"http"と"@"を禁止ワードに設定しています
URLを書き込む際は"h"を抜いて投稿してください













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://gyokutonoyume.blog116.fc2.com/tb.php/1353-7b4b77f4