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川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです


192 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 18:09:14.30 ID:3x4PDJk2O

川*゚ -゚) 「ふう……」

バスタブに満ち満ちている泡とお湯の中に身を沈めた時、私は息をつかずにはいられなかった。
決して広くないバスルームには、白い湯気がもうもうと立ち込め、イチゴの香料のような甘い匂いが充満している。お姉ちゃんが私にくれた桜色のバスボムが、私を包むお湯に色と香りをつけ、さらにあわあわの泡風呂を作り上げていた。

川*゚ -゚) 「あわあわー」

泡を掬い、投げる。落ちる。
なんだかとても気持ちが良い。普段の私が溶け落ちてしまいそうだ。

川*゚ -゚) 「泡風呂なんて初めてだけど良いもんだNE☆」

いや、もう溶けているかも。



194 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 18:12:17.46 ID:3x4PDJk2O

バスタブのへりに頭を乗せ、目を閉じる。

川*' -`) 「むぅ……」

思い浮かぶのは、彼のこと。
彼は今何をしているだろうか。彼も今ごろ入浴中だろうか。そして、私と同じように甘く夢を見ているのだろうか。

川*゚ -゚) 「そうだ」

バスルームの彼の夢まで、出かけよう。



川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです






195 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 18:15:05.33 ID:3x4PDJk2O

私は立ち上がり、バスタブの外へ一歩を踏み出す。

川*゚ -゚) 「今、会いにゆきます」
なんちゃって。

大丈夫。昨日お姉ちゃんが塗ってくれたペディキュアはまだ綺麗なままだ。
お姉ちゃんは、マニキュアの小瓶とアクリル絵の具、細い筆と小さなハイビスカスを魔法のように操り、私の足に魔法をかけてくれた。黄色い地に、パールのような縁をとり、緑色の線をくねらせ、親指には小さなハイビスカスを魔法のように咲かせてくれた。だから、大丈夫。
離れ離れの夜に飲み込まれちゃう前に、行かなくては。
軽ぅく浮かぶ色とりどりのシャボンの雲に乗るんだ。プーさんを象ったシャンプーも特別に連れて行ってあげよう。

川*゚ー゚) 「このペディキュアの魔法の足で、泡の海を越えて行こう」
にやり。



197 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 18:18:10.11 ID:3x4PDJk2O

('A`)

彼の冴えない顔が浮かんできた。
ぼさぼさの傷んで茶色っぽくなった髪。開いているのか閉じているのかわからないような細い目。締まりなく開かれた薄い唇。それでも、私の大好きな顔。

('A`) 「クーの髪は本当に綺麗だな」

彼は、黒く伸びた髪の間に指を滑らせている。彼の指は髪に引っ掛かることなく抜けていく。

川 ゚ -゚) 「そうか? まあありがとう。
      お前も少しは自分の髪を労ったらどうだ?」

('A`) 「男は適当で良いんですー」

川 ゚ -゚) 「私はそんなのが彼氏なんて嫌だ。綺麗にしろ」

('A`) 「だが断る」



198 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 18:21:06.28 ID:3x4PDJk2O

( 川川川 「そうか。ドクオは私の彼氏なんて嫌なんだな」

('A`;) 「いや、そうじゃなくて。俺もクーが、えっと、その……」

そっぽを向かれた彼は慌てて、取り繕っている。慌てた顔がなんだか滑稽で、少しかわいい。

( ゚川川| 「何だ?」

('A`;) 「ほら、その……
     大好き」

川*' -`) 「ん」

('A`) 「ん?」

川*' -`) 「ん!」

(*'A`) 「ん」

そうして二人は

川*'(  )

唇を重ねる。



200 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 18:24:07.75 ID:3x4PDJk2O

「おおおぉぉぉーい!! まだ風呂入ってるのかあああぁぁぁー!?」

夢は唐突に破れ、その隙間から現実が嬉々として色を取り戻す。彼の夢も消えてしまった。お姉ちゃんのせいで。

川*゚ -゚) 「うん、もうちょっとー!」

「そうかあぁー! のぼせるなよおおぉぉー!」

いつもいつもあんなに大声を出して疲れないのだろうか。……大丈夫か。お姉ちゃんだし。

それにしても、せっかくの彼の夢だったのに。なんて空気の読めないお姉ちゃんなのだろう。

川*゚ -゚) 「……悔しいから、あと三十分は粘ってやる」



202 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 18:27:03.79 ID:3x4PDJk2O

川*゚ -゚) 「ふう……」

とぷん、と私はまたバスタブへと身を預けた。やはり、ため息が出てきてしまう。まあ、ため息と共に疲れとかストレスとかも出てきていると考えれば、悪くは思わないが。
バスルームは依然として湯気で煙っている。湯気はもやもやとバスルームを曖昧にし、私を曖昧にし、彼も曖昧にしている。身体は火照り、若者らしい活発な新陳代謝で汗をかいている。
火照った顔は、

川*゚ -゚)

ほら、ピンク色。



204 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 18:30:05.72 ID:3x4PDJk2O

ああ、本当に気持ちが良い。気分が良い。

川*゚ -゚) 「~♪ ~♪♪」

今はこの気分に任せて鼻唄でも歌おう。かわいらしい歌詞のかわいらしいメロディーをかわいらしい声で歌われているポップスを歌おう。
ついでに、ソフビのアヒルも泳がせよう。泡の中ではどうにも泳ぎにくそうだが、まあ大丈夫だろう。笑っているし。にやけた顔がどうにも不細工で、そこがまた乙女の心を擽る匠の一品(198円)だ。決して浮かべて遊ぶために私が用意したのではない。



207 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 18:33:04.11 ID:3x4PDJk2O

少し私ものぼせているようだ。考えが頭を巡って止まらない上に、ありとあらゆる方向へ暴走している。今の私と同じように、素敵な恋にのぼせてみたいものだ。できるなら、彼と二人で。

手でお湯を掬い、顔にかける。ばしゃり、ばしゃり。
指先がふやけてしわしわだ。おばあちゃんみたい、と彼に笑われちゃうかな? 六十年後に、彼にそう笑ってもらえたら嬉しいものだ。

やっぱり、のぼせてしまったようだ。私はバスタブの中で立ち上がる。頭がおかしいもの。……いや、どうせのぼせたことには変わりはないのだし、いつもと変わって思いっきり狂うのも良いかもしれない。

私はバスタブのへりに立ち上がった。

そして勢い良くバスタブへと、ミルク色のお湯の中へと飛び込んだ!



209 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 18:36:05.56 ID:3x4PDJk2O

はね上がったお湯が、ミルクのシャワーのようにバスルームに降り注ぐ。甘い香りがよりいっそう私を包み、揺りかごの如く優しく私の視界を揺らす。

川*゚ -゚) 「……一緒に、揺れたいな」

呟きは彼に届くことはなく、揺れているのは私一人だけ。寂しいものだ。

川*゚ -゚) 「一緒にいたなら、このトキメキを見せてあげられたのに」

私は自分の身体を抱いた。
今まで誇りにこそ思えど、恥にはならない自分。白い肌、なめらかな腕、豊満な胸、伸びやかな足、くびれた腰、そして、彼に触ってほしくて伸ばした黒い髪。
ベガのように明るく美しい裸の瞬きを、彼に見せてあげたい。
でも、まだ急がない。クールに行こう。私の頭はのぼせてまだ熱すぎるのだ。
少し頭を冷やそう。私はバスタブに腰掛け、足元に水を流した。



213 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 19:01:32.25 ID:3x4PDJk2O

川* - ) 「ふう……」

私はため息をついた。冷えた頭で考える事実は、やはり冷たい事実のまま横たわっている。
彼は朝風呂の方が好きだったはずだ。だから今、バスルームの彼の夢なんて、行けるはずもなかった。全て、のぼせた私の妄想。
足元を見遣る。

川* - ) 「…………」

いくらお姉ちゃんが「魔法のように」塗ってくれたペディキュアだって、魔法なんかじゃない。いくらお姉ちゃんがお揃いにしてくれたペディキュアだって、お姉ちゃんのように「魔法のように」とは行かない。当然、泡の海も越えられない。



214 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 19:03:22.44 ID:3x4PDJk2O

川* - ) 「会いたいなあ……」

所詮、私は彼に会いたいが故に、甘い甘い香りにあてられ、バスボムが作った泡の海に溺れていただけなんだ。
泡の海ではアヒルが相も変わらずにやにやと意地の悪い笑みを浮かべている。腹の立つやつだ。投げつけてやる。沈んだまま、浮かび上がらなければ良いのに。……私の想いも、頭の奥深くに沈んで浮かんでこなければ良いのに。

川* - ) 「探してよ、私を……」


でもそれは叶わないよ。

だって、彼には既に恋人がいるのだから。



215 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 19:06:11.51 ID:3x4PDJk2O

素敵な恋に私だけ溺れていたのね。私を覆う泡たちは、私を包む甘い匂いは、私を取り巻くシャボンの膜は、だんだんと小さくなり、ぱちんと弾ける。

川*; -;)

妄想でも何でも良い。甘い香りと甘い色と甘い想いで私を包んで。それから、彼と私、二人で甘い世界の中揺れさせて。私を見て。彼女と同じくらい美しく瞬く私の身体を見て。早く!

川*; -;) 「お願い……」

でも、彼は答えてくれない。彼はまだ、私のちょっとしか知らないんだ。



216 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 19:09:02.08 ID:3x4PDJk2O

('A`) 「クー」

彼が優しく呼ぶ声だけが頭に響く。

('A`) 「クー」

リヴァーブは私の身体に忠実に響く。

('A`) 「クー」

何でかな? 何で私に届くのかな?



私、クーじゃないのにね。






218 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 19:11:58.64 ID:3x4PDJk2O

どんなに彼女と同じ想いを抱いても、どんなに彼女と同じ長い黒髪を持っていても、どんなに彼女と同じような顔をしていても、どんなに彼女と同じ裸足のトキメキでも、私はクーにはなれないんだ。私は、絶対彼に愛してもらえないんだ。

川*; -;)

でも、私の髪を見せれば、私の裸を見せれば、私の裸足を見せれば、彼は私を愛してくれると願ってる。無理な話なのにね。

川*ぅ-と)

涙を拭う。閉じた目に浮かぶのは、彼の顔。

(*'A`)

クーにトキメく、彼の顔。



220 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 19:15:09.81 ID:3x4PDJk2O

何で夢ですら私に優しくしてくれないの?
何で夢でさえ私は愛されていないの?
何で夢の中でも彼はクーを愛するの?
何でよ。
何でよ。

川* - ) 「もうやだ……」

冷たい現実を見せる香りなんて嫌。思い通りにならない夢を見せる温もりなんて嫌。クーと私の差異を見せつけるバスルームなんて嫌。
私は、バスルームを飛び出した。

そこに、

川 ゚ -゚) 「あ」

彼女がいた。



222 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 19:18:30.12 ID:3x4PDJk2O

川* ー ) 「クー姉……」

川 ゚ -゚) 「なんだキュー。もう出ちゃうのか。せっかく一緒に入ろうと思ったのに」

川*゚ー゚) 「ヒー姉は?」

川 ゚ -゚) 「待ちくたびれて寝た」

川*;゚ー゚) 「起こそうよ」

川 ゚ー゚) 「だって私も早く入りたいもーん」

川*;゚ー゚) 「さすがだね、クー姉」

クー姉は私の足を見て、あ、と声を上げた。



224 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 19:20:34.62 ID:3x4PDJk2O

川 ゚ -゚) 「取れちゃったな」

クー姉は私の足を指さした。

川*;゚ー゚) 「あーっ! ハイビスカスがない!」

左足の親指に咲いたハイビスカスがなくなってしまっていたのだ。

川 ゚ -゚) 「やっぱり脆かったな、あれ」

川*;゚ー゚) 「ごめんね、クー姉。今探すから」

川 ゚ー゚) 「いいよ、また作ればいいことだ」

川*;゚ー゚) 「でも、」

川 ゚ -゚) 「なんなら、違うやつに塗り直しても良いし」

川*゚ー゚) 「……じゃあ、今度は違うのが良いな」

わかった、とクー姉は頷いてくれた。



226 :川*゚ -゚)の足にはペディキュアの魔法のようです:2009/02/16(月) 19:22:24.05 ID:3x4PDJk2O



川*゚ー゚) 「だって、クー姉と一緒ばっかりじゃつまんないもん!」



私は笑った。クー姉は微笑んだ。



川*゚ー゚)キュートの足にはペディキュアの魔法のようです
終。







231 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/16(月) 19:31:46.75 ID:3x4PDJk2O

以上、>>192、>>194-195、>>197-198、>>200、>>202、>>204、>>207、>>209、>>211、>>213-216、>>218、>>220、>>222、>>224、>>226です。支援ありがとうございました。
途中さる喰らってテンパりすぎたorz

元ネタは、JUDY AND MARYの「BATHROOM」です。
批評とかありましたらお願いします。


[ 2009/02/16 20:04 ] 総合短編 | TB(0) | CM(1)

キューとクーに愛されるドクオ市ね

乙、おもしろかった
[ 2009/02/17 07:58 ] [ 編集 ]

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