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('A`)ドクオは狩りに生きるようです


116 :('A`)ドクオは狩りに生きるようです:2009/02/16(月) 03:53:59.19 ID:upMtyEoBO

凍てつく大地を疾走する影が一つ、
その影の主は、雲のように巨大で、空のような色をしていた。
( ^ω^)「また、あいつがきたお」
この季節になると、私はいつも憂鬱だった。できることなら、自分の穴倉から出てきたくはなかった。
('A`)「とーちゃん、お腹すいたよ。…あ!空色熊!大きい大きい!!」
(;^ω^)「こ、こらドクオ…大きい声を出すんじゃないお…!気づかれたらかあちゃんみたいに食われちゃうお…!?
 それにあいつらときたら、鼻がとても利くから、お前なんかが家から出てきたら、パッときてガッだお。」
('A`)「わ、わかったよ、とーちゃん…じゃあ、影になってるところにいれば、ばれないでしょ!ここでみてるよ」
(;^ω^)「だめったらだめだお、あれほどいったじゃあないかお、もし、少しでも外に出るようなときは、茸トナカイのフンを体中につけるんだおって。」
('A`)「でもだからってとーちゃんつけすぎだよ、それじゃあ、ウンコのバケモンだよ」
(;^ω^)「う、うるさいお、多いにこした事はないお。いいから早く中に入ってなさいお」
('A`)「わかったよう…ホンとに次の春には狩りをおしえてよ!?」
( ^ω^)「わかったおわかったお、さ、じゃあとうちゃんは行って来るから、おとなしく待ってるんだお。また日無の花が咲くころにもどるから」
('A`)「はーい、今日も沢山ご飯とってきてくれるのはいいけど、トナカイはもういい加減にしてね」
( ^ω^)「贅沢言うんじゃないお、じゃあ扉を閉めるお。」
そう言い、父は冷たく大きい岩で穴倉を閉じた。



117 :('A`)ドクオは狩りに生きるようです:2009/02/16(月) 03:56:29.21 ID:upMtyEoBO

どれくらいたっただろう、深手の器に生けられた、日無の花はもう蕾んでしまっていた。
いつも父は、私が食べ物に困らないようにと、狩りに出て、獲物を手に入れるまでは戻ってこなかったのであるが、
それにしてもこの日は遅すぎた。

('A`)「とーちゃん遅いな…お腹すいた…。あ、そうだ、どこかに、非常用にって塩漬けのお肉があったはずだ」

幼い私は自分の食欲を満たす事に夢中で、狩りに出た父の事は、いずれ戻ってくるだろうと得も知れぬ安心感によって置き去りにされていた。
あれから、食事を済ませ、眠りについてしまった私は、起きてから父がいないことと、
テーブルの上の、日無の花が再び咲ききっている事に、今度は急に大きな不安に襲われた。



118 :('A`)ドクオは狩りに生きるようです:2009/02/16(月) 03:59:04.13 ID:upMtyEoBO

('A`)「とーちゃん…」

重く閉ざされた岩を押しのけ、私は外に出た。満点の星空。

('A`)「とーちゃん…とーちゃん…。」

私はひたすら走った。幼いとはいえ、無闇に駆け出したわけではない。
過去に一度、父の狩りに、無理をいって着いていったとき、ぼんやりと記憶に残っていた、雑木林。
穴倉から顔を除かせると、いつも遠くに一つだけ、ぽつんと盛り上がった影。
父はきっとあそこにいる!
父がそこにいようがいまいが、穴倉でただひたすらにじっとしていられなかったのだ。しかし、走っても走っても、雑木林にはたどり着かなかった。

('A`)「はぁ…はぁ…とーちゃん…」

けれども振り返れば自分達の住処も遥か向こう、
見渡す限りの平原は、なんだか自分が別の世界に迷い込んだようだった。
ここまで興奮して走ってきた私だが、
たった一人、夜のツンドラで立ち尽くしている状況に初めて気づくと、父が帰らぬ不安と、孤独感に、泣き出しそうであった。
滲む視界の中、少しはなれたところに、うずくまっているような影。

('A`)「…あれは」

近づいてみると、トナカイであった。矢が何本か刺さっており、星の明るさで、それが父のものであるとすぐにわかった。

('A`)「とーちゃんの矢…この近くにとーちゃんが!?」

私はまた駆け出した、あの雑木林に父がいるに違いない。幼い私はそう確信した。



119 :('A`)ドクオは狩りに生きるようです:2009/02/16(月) 04:00:12.77 ID:upMtyEoBO

しばらく走り続け、なんとか雑木林にたどり着き、私はそのまま走って雑木林の中を探した。

('A`)「とーーーーーーーーーーーちゃーーーーーーーーーーーん!!
とーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」

息も切れ切れであったが、胸が張り裂けんばかりの声で父を呼んだ。
しかし返事は返ってこない。やはりここには父はいない。
そう考え出した時であった。



120 :('A`)ドクオは狩りに生きるようです:2009/02/16(月) 04:01:26.42 ID:upMtyEoBO

「…ドクオ ドクオ…かぉ…?」
小さく低くではあったが、父の声がした。

('A`)「とーちゃん!?とーちゃ…」

(  ω )「ぉぉきな…こぇ…だすんじゃないぉ…」

私が見つけた父の姿は変わり果てていた。

大きな大木の下、暗闇に溶け込むような父の顔。その体は足が無く、腕も片方しかなかった。

(  ω )「…ドクオ…、そこにいるのかぉ…」

八つ裂きにされた父はもはや私の姿など捉えることができなかったのだろう。

('A`)「うぁぁ…とーちゃん!!とーちゃぁぁぁぁぁん!!!!」

(  ω )「泣…くんじゃ…ないぉ…狩人の息子が…」

('A`)「でっ…でも゛…でも゛とーちゃんが…とーちゃん…とーちゃん体が…!!」

(  ω )「空色熊が・・・またきてしまうぉ…夜明け前にまたあいつはとーちゃんの体を食べにくるぉ…そのまぇにぃ…逃げ…るんだ…ぉ…」

('A`)「そんなのできないよ…!!い、一緒に一緒に逃げようよぉ…」

(  ω )「…だめだぉ…も、う…とーちゃんは…長くないんだぉ…お前だけでも…逃げるんだぉ…」

息も絶え絶えながら、父は私に逃げるように指示した。



121 :('A`)ドクオは狩りに生きるようです:2009/02/16(月) 04:04:12.79 ID:upMtyEoBO

('A`)「嫌だよ!!嫌だよぉ…とーちゃんがいなかったら僕だっておんなじだよ!!」

(  ω )「逃げ…る…ぉ…この雑木林を…もっと…行った…ところに…ジョルジュ…という…若い狩人がいるぉ…そこに…いくんだぉ…」

私は嗚咽するばかりで何も言うことができなかった。
すると、泣きじゃくる私に、父が覆いかぶさってきた。

そして、残った左腕で私のお腹を強く、叩いた。
最後に、耳元で、言葉になっていないような、小さな呻き声で囁いた。

「…最後にお前の顔がみれてよかったぉ…」

昏睡していく意識の中、父の呻き声は、私にはそう聞こえた。



122 :('A`)ドクオは狩りに生きるようです:2009/02/16(月) 04:06:13.82 ID:upMtyEoBO

目を覚ますと知らない天井があった。知らない天井には輝く光の玉がぶら下がっていて、眩しかったが暖かくもあった。

「ドクオ君、だったかな?やっと、目が醒めたようだね、どこかいたいところとかは無いかい?」

知らない人。だけど、暖かい感じの人。

('A`)「あ…れ…?僕は…?」

( ゜∀゜)「朝、薪を取りに北の雑木林にいったら、倒れていたからね。びっくりしたよ」

('A`)「…。」

('A`)「…!とーちゃん!!とーちゃんは!?どこ!?大丈夫なの!?」

(;゜∀゜)「…。ドクオ君、君の…父さんはね…。」

('A`)「とーちゃんに会わせてよ!!とーちゃんはどこに行ったの!?いるんでしょ!?とーちゃん!!とーちゃん!!!!」

(;゜∀゜)「わかるだろう、ドクオ君。受け入れるんだ、君も、狩人の息子なんだろう。」

('A`)「いやだ!!とーちゃんが死ぬわけ無いんだ!!あんなに強くて優しいとーちゃんが、死ぬわけ無いんだ!!」

( ゜∀゜)「ドクオ君…。」

('A`)「嫌だ…とーちゃんが…とーちゃんが…死ぬわけ…死ぬわけ無いんだ…。」



124 :('A`)ドクオは狩りに生きるようです:2009/02/16(月) 04:08:39.72 ID:upMtyEoBO

あれからもう十数回も、春が来た。
今年ももう春だ。
この季節になると、私はいつも憂鬱だった。できることなら、穴倉から出てきたくはなかった。
脳裏に焼きつく父の姿。
そして、なんだか大事なものが、失われてしまうのではないかと。

( ゜∀゜)「君。じゃあ行こうか。」

('A`)「…はい。すいません、待たせてしまって。」

( ゜∀゜)「いいってことよ、だってもう、春…だしねぇ。」

('A`)「なに干渉に浸ってるんですか、ほら、もう行くんでしょ?」

(;゜∀゜)「あ、あぁごめんごめん、じゃあ今度こそ行こうか。」

父の死を受け入れられず、泣きじゃくっていたあの日、あれからジョルジュさんに育てられた私は、
他の狩人からも一目置かれるような、一人前の狩人として生きている。
しかしまだ、愛する人のために狩りをしていた父には、遠く及ばない気がする。
自分のためにしか獲物をとれぬ日々。
それでも私は、食べ続ける

この命、続くかぎり
狩人として。
いつか、いつか出会えるであろう、かけがえの無い愛する人のために。


[ 2009/02/16 19:45 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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