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無題


220 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/04(水) 00:15:04.26 ID:KKkJmkWS0
ドクオが死んだ。
「夢を叶えるために、俺は独りになる」と言っていた彼は安アパートで死体で発見された。
風邪が肺炎になり、動けなくなり、独りで死を迎えた。
外界への連絡手段は持っていなかったらしく、ドアの前で冷たくなっていた。

小説家を目指していた彼は、大学時代の描写を遺作に、世に出る事無く死んだ。
遺作では、僕達にしかわからない表現は多いが、でも確かな幸せが描写されていた。


('A`)「お前らがいかにアホかってことを伝えるのが俺の夢だwwwww」

そう言っていた彼の遺作は、全く笑えないものだった。



224 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/04(水) 00:16:17.23 ID:KKkJmkWS0

クーが死んだ。ドクオが死んだ三日後に、自らを殺してしまった。
遺書には「私の居場所はドクオの傍にしかない。」とだけ書かれていた。
彼女の部屋は、大学時代の思い出と、僕達が知らないドクオと二人での思い出が大量に残されていた。
浴槽で冷たくなった彼女の位置からも、壁に張り付いたドクオの満面の笑みが見えた。

写真家の卵だった彼女の作品は、彼女の死後にほんの少しブームになった。
風景の写真が持て囃されていたが、一番綺麗だったのは大学時代を閉じ込めた写真だった。


川 ゚ -゚)「この瞬間を閉じ込めた写真が一枚あれば、私はいつでもあの頃に戻れるんだよ。」

今は、その写真を見てもあの頃に戻れない。戻ってしまうと帰れなくなる。



229 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/04(水) 00:17:29.72 ID:KKkJmkWS0

ツンが死んでしまった。クーが死んだ日に、ふらふらと道路に出て轢かれた。
親友を立て続けに亡くした恋人を、どう支えようかと考えていた僕の横で彼女は物言わぬ物質になった。
恥ずかしがり屋だった彼女が作っていた曲は、僕しか聞いていない。僕の中にしかない。

4人で行った小旅行を曲にしたもの。クーがドクオに告白した台詞を曲にしたもの。
照れながらピアノを弾く彼女は本当に、本当に愛らしかった。

ξ゚⊿゚)ξ「この思い出を曲にしたらさ、皆楽しくなると思うのよ。」

その曲を思い出す度に、楽しくなる数倍の悲しみに押し潰されそうになった。



233 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/02/04(水) 00:18:45.08 ID:KKkJmkWS0

僕はまだ生きている。親友がいなくなり、楽しみが無くなってもまだ生きている。
いつ死んでもいい。人生で最高だった時代はもう二度と来ないとわかっている。

そうだ。映画だ。僕の親友達を映画にして、あの時をやり直そう。
ストーリーはドクオの小説だ。クーとの思い出が心なしか多いけど、細やかに描写されている。
映像の構図はクーの写真だ。色鮮やかに、その時の温度や感情まで思い出せる。
音楽は、ツンが作ったものでいこう。僕以外の人間は聞いてるだけで楽しくなれるだろう。

僕達の楽しさを、悲しみを、葛藤を、欲望を、青臭さを、僕達のあの時を余すことなくフィルムにしよう。
そうだ。映画しかない。映画を完成させ、四人の世界をこの世界に残すんだ。
フィルムの中に僕の理想の世界を詰め込もう。

それ以外に、この世界で生きる術を見つけることができないんだ。


[ 2009/02/06 18:40 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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