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「手紙」


822 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/18(日) 19:10:36.85 ID:cwC2eexKO

ある朝、大学に向かう為に一人暮らしの部屋を出るとそこに一枚の紙がヒラリと落ちた。

何気無く拾うとそこには真っ赤な字で「ね」という一字のみが描いてあった。

誰かの悪戯なのかたまたまタイミング良く道路に面した通路に飛び込んできたのかは分からない。

いずれにせよ俺は特に気にする事もなく迫る定期試験の事に頭を切り替え、大学へと足を向けた。



823 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/18(日) 19:11:32.71 ID:cwC2eexKO

だがどうやら偶然という線は無かったらしく、次の日も、また次の日も紙は一日一枚のペースで「配達」される。

文字はそれぞれ平仮名片仮名アルファベットと脈絡がない。

事がここに至って自分が何かの事件またはストーカー被害(笑)に遭っている可能性を考慮せねばならなくなっていた。

こんな時、通常であれば頼るべきは親ではなく友達であるが生憎、人付き合いの下手な俺には友達はいない。

つまるところ頼れる人間は一人しかいなかった。



824 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/18(日) 19:12:32.52 ID:cwC2eexKO

若干の陰鬱な気持ちを引き摺りながら薄暗い大学のクラブ館を歩く。

半地下の一番奥にそれはあった。

「オカルト研究所」



826 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/18(日) 19:13:24.74 ID:cwC2eexKO

軽くノックしてから扉を開ける。
アポ等取り付けていないが彼は必ずここにいる。

彼の琴線に触れる「事件」でも無ければ。

ゆっくり開いていく扉の隙間から彼の姿が少しずつ現れる。

師匠、と声を掛けるも彼は長机に肘を乗せた姿から微動だにしない。

何故か全裸で。



828 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/18(日) 19:14:28.24 ID:cwC2eexKO

('A`)「つまり、毎朝届けられる一字にオカルトを感じると?」

師匠の疑問はもっともだった。
通常であればこんな紙の出所を追うのは警察の仕事だ。

しかし状況が特殊なのだ。
我が家の入っているマンションは築25年と古いが、入り口にはオートロック。
監視カメラもセットされており、尚且つ部屋は6階で通路は大通りに面している。


830 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/18(日) 19:15:26.96 ID:cwC2eexKO
つまり不法に侵入しようとすれば確実に人目に触れてしまう。

更に、管理会社に頼んでカメラを調べてもらったが特にそれらしい映像は見当たらなかったらしい。

結論を言うと毎朝この紙は俺が扉を開けた瞬間に忽然と姿を現すのだ。



831 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/18(日) 19:16:42.66 ID:cwC2eexKO

('A`)「成る程これはオカルトだね」

俺の話を一通り聞いた師匠は一言ポツリと呟くと、改めて顎を撫でながら思考の海に戻った。

俺は知っている。
彼は一人きりの部室でいきなり服を脱ぎだす変態だが、ことオカルトに関しては誰よりも造詣が深く「真理」に近い。

噂に依ると師匠の彼女である貞子さんは師匠にも解けないオカルトを持っており、師匠は日夜それを解く為に付き合っているとか。



832 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/18(日) 19:17:46.31 ID:cwC2eexKO

およそ10分程はお互い黙っていただろうか。

やがて師匠は徐に口を開いた。

('A`)「手紙や紙に書かれた文字という物は伝達、という役割を負っている。

相手が他人であったり自分であったりの違いは有っても」

俺は黙って聞く。

('A`)「この点に関して君の紙というのはとても優秀だ。
君以外には決して伝わらないのだから。

しかし一点だけ腑に落ちない。
内容が君にすら伝わっていない」



834 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/18(日) 19:18:44.92 ID:cwC2eexKO

話がそこまで進んだ時に俺はグッと身を乗り出した。

だからこそオカルトなんでしょう!

叫んだ俺を片手で制して師匠はこう言った。

('A`)「だからこそオカルトじゃないんだよ」

話はそこまでだった。
俺は自分の作戦が失敗に終わったのを理解した。

从 ゚∀从「次は覚悟しやがれっ」

俺はそれだけ言って部屋を飛び出した。


了。


[ 2009/01/18 20:37 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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