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(*゚ー゚)無題


843 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 20:49:46.24 ID:rnDN7MKOO

自分の中では常識でも、他人にとっては常識じゃないこと。
それどころか、非常識なこと。
それは誰にでも、きっとある。
少なくとも、私にはあった。
常識だと信じていたから、長い間気付かなかったけれど。



846 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 20:51:49.14 ID:rnDN7MKOO

(,,゚Д゚) 「……」


突然、ギコくんが目を見開き、無言になった。
それまでは目の前に並べられた料理を見て、おおはしゃぎしていたのに。
二人の部屋に、テレビの音だけが響いている。
沈黙に耐えられず、私は思いきって口を開く。


(;゚ー゚) 「……お口に、あわなかったかな…?」

(,,゚Д゚) 「……」

(,,゚Д゚)そ

(,,゚Д゚) 「いや、すげーうまいよ!!」

(;゚ー゚) 「…ほんとに?」

(,,゚Д゚) 「ほんとほんと!!うますぎてちょっとびっくりしちまった!!わはは!!」

(*゚ー゚) 「…そっか、よかった…。ギコくんのためにいっぱい作ったから、いっぱい食べてね」

(,,゚Д゚) 「おう、ありがとう!!わはは!!」



847 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 20:52:43.71 ID:rnDN7MKOO

もとの調子に戻ったギコくんは、それから急ぐように箸と口を動かし始めた。
鯖の塩焼き、豚汁、白あえ、ほうれん草のおひたし。
どれもギコくんのリクエストで、料理本を見ながら一生懸命に作ったものだ。
我ながらおいしくできたと思う。
白あえなんて初めて作ったのに、まるで売ってあるお惣菜みたいな出来だ。
きっと、ギコくんはこれで私に夢中になるとさえ思った。


ギコくんと私は同じ演劇サークルに所属している。
新歓コンパで隣の席になって、話がはずんで、メルアドを交換した。
それからは、ギコくんがよくご飯に誘ってくれるようになった。
特別かっこいいわけじゃないけど、爽やかで、何よりすごく優しい。
私を楽しませようと、いつも面白い話をたくさんしてくれた。

私たちは、まだ恋人同士なわけじゃない。
だから、ギコくんから「手料理ご馳走して」ってメールが来た時は、少し戸惑った。
恋人でもない男の子と、家に二人きり。
実家を出るときにお父さんに言われた、「男を家にあげるな」という言葉が頭をよぎった。
でも、ギコくんなら大丈夫。
信頼できるもん。
そう思って、今日は家に呼んだ。
今日こそ告白してくれるかもしれない。
そんな淡い期待も、胸のうちに少なからずあった。

だから、ご飯を食べながら私の胸は強く脈を打っていた。
さっきの沈黙だって、もしかしたら告白の前置きだったのかもしれない。
そう思うと、顔が勝手にほてっていった。



849 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 20:54:54.31 ID:rnDN7MKOO

(,,゚Д゚) 「ごちそうさま、おいしかったよ」


そう言ってギコくんは立ち上がると、二人分の食器を持って、台所へと向かっていった。
スポンジをにぎるギコくんを、私はあわてて止めた。


(*゚ー゚) 「い、いいよ!私があとで片付けるから」

(,,゚Д゚) 「そうか…悪いな。じゃ、今日はお邪魔しました」

(*゚ー゚) 「……え」


拍子抜けする私をよそに、ギコくんは上着を素早く着込んで帰っていった。
今日こそ告白されると思ってたのに。
なんだか気持のやり場がなくて、その夜はぼんやりテレビを見て過ごした。




その日から、ギコくんから、ご飯のお誘いはおろか、メールも来なくなった。



852 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 20:56:15.47 ID:rnDN7MKOO

ξ゚⊿゚)ξ 「東京特許許可局許可の特許許可書!」

(*゚ー゚) 「東京特許許可局許可の特許許可書…」

ξ゚⊿゚)ξ 「しぃ、もっと声をはって!!」

ξ゚⊿゚)ξ 「東京特許許可局許可の特許許可書!!」
(*゚ー゚) 「東京特許きょきゃ……」

(*゚ー゚) 「……」

(*;ー;) 「東京特許、きょきゃきょきゅ……」

ξ゚⊿゚)ξそ

ξ;゚⊿゚)ξ 「ちょ、ちょっと!!泣くほどキツく言ってないでしょ!?」

(*;ー;) 「ち、違うんですぅ……」

ξ;゚⊿゚)ξ 「ちょっ……どうしたのよ?」


せっかくツンさんが個人指導をしてくれてるのに、涙が止まらなくなってしまった。
私はツンさんに全て話した。
ギコくんに手料理をご馳走したこと。ギコくんから連絡が来なくなって辛いこと。ギコくんのことを好きなこと。



853 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 20:57:47.99 ID:rnDN7MKOO

(*;ー;) 「やっぱり、簡単に家にあげたから軽い女だって見限られちゃったのかな……」

ξ;゚⊿゚)ξ 「うーん……違うと思うなぁ……」

(*;ー;) 「それじゃやっぱり、ご飯がおいしくなかったんですかね……」

ξ;゚⊿゚)ξ 「いやぁ……」

(*;ー;) 「じゃあ、部屋が臭かったとか、そんなんですかね……」

ξ;゚⊿゚)ξ 「いやー……」


ツンさんは、困っているようで、いつものようなはっきりした口調がなくなっていた。
でも、私には何か知ってるような口ぶりにきこえた。
そういえばツンさんは、ギコくんとも仲良しなんだったっけ。
もしかしたら、本当のわけを知ってるのかもしれない。


(*;ー;) 「……もしかして、わけを知ってるんですか?」

ξ;゚⊿゚)ξ 「……あー……えーと…」

(*;ー;) 「知ってるんですね!?」

ξ;゚⊿゚)ξ 「……」


正直な人。
否定をしないということは、きっと知ってるのだろう。



856 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 20:59:40.52 ID:rnDN7MKOO

(*;ー;) 「教えてください……私、駄目なところがあるなら直しますから」

ξ;゚⊿゚)ξ 「……」

(*ぅー;) ぐっ

(*゚ー゚) 「もう泣きませんから、お願いします」

ξ;゚⊿゚)ξ 「……きいても、後悔しないわね?」

(*゚ー゚) 「はい」

ξ;゚⊿゚)ξ 「……」

ξー⊿ー)ξ フゥ

ξ゚⊿゚)ξ 「……じゃあ……」

ξ゚⊿゚)ξ 「……あんた、ギコに何をご馳走してあげた?」

(*゚ー゚) 「えっと…鯖の塩焼きと、豚汁と…ほうれん草のおひたしと、白あえです」

ξ゚⊿゚)ξ 「あんた、それをどうやって食べた?」

(*゚ー゚) 「……?箸で…普通に」

ξ゚⊿゚)ξ 「普通に……ねぇ」



862 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 21:02:48.93 ID:rnDN7MKOO

ξ゚⊿゚)ξ 「じゃあ質問を変えるわ。豚汁をどうやって食べた?」

(*゚ー゚) 「普通に、ご飯にかけて……」

ξ゚⊿゚)ξ 「それよ」

(*゚ー゚) 「?」

ξ゚⊿゚)ξ 「ギコはそれにひいたのよ」

(*゚ー゚) 「それって…?え、ねこまんまにですか?」

ξ゚⊿゚)ξ 「そうよ。どんびきして絶句したって言ってたわよ」

(;゚ー゚) 「えぇぇえ!?」

ξ゚⊿゚)ξ 「あんたみたいにパスタを綺麗に食べる子がねこまんますることに驚愕したらしいわよ」

(;゚ー゚) 「えぇ!?ねこまんまって悪いことなんですか!?」

ξ゚⊿゚)ξ 「……人によるけど、私は下品だと思うわ」

ξ゚⊿゚)ξ 「ていうか好きな男の前で女がやることじゃないわね」

(;゚ー゚) 「……!!」



867 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 21:05:29.30 ID:rnDN7MKOO

知らなかった。
厳格な父がよくやっていたねこまんまが、下品な行為だなんて。
実家では汁物が出てくれば必ずやっていた。
それが常識だと思っていた。
小学校の給食の時間だって、周りのみんなが私の真似をしてねこまんましていた。
みんなおいしいおいしいと言って、私は誇らしい気持ちにすらなっていた。
その、誇り高きねこまんまが、下品、だなんて。



869 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 21:07:09.16 ID:rnDN7MKOO

私はその話をきいて以来、ギコくんを追うのはやめた。
所詮、価値観があわなかったのだ。
ねこまんまとギコくん、どちらかを取れと言われたら、私はねこまんまをとる。
あんなにおいしいし、米粒も取れるし、汁も残さず食べられる誇り高き食べ方なのだから。
私は、私をまげたくない。
私の常識を受け入れてくれる、心の広い人と付き合い、結婚するのだ。
そして、いつの日か子供が産まれたら、こう言ってあげよう。


「あなたは、あなたの好きなものに胸をはっていいのよ。
ねこまんま最高」


と。












878 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/12(月) 21:10:32.12 ID:rnDN7MKOO

以上、>>843>>846>>847>>849>>852>>853>>856>>862>>867>>869です。
お題は>>715>>716の「ねこまんま」、「東京特許許可局」です。
感想やアドバイス頂けると嬉しいです。
ちなみに自分は目の前でねこまんまされるとひきます。

支援ありがとうございました!


[ 2009/01/12 22:32 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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