575 :
(,,゚Д゚)「こっこたいる」のようです:2009/01/09(金) 01:07:24.10 ID:6AB0mC4E0
(,,゚Д゚)「一限目フケて手に入れたTWO-SEEの30個限定赤いローソク苺パフェクレープ」
(,,゚Д゚)「食べるなら講義中の今しかない……っ!」
ブロロロロー キキッー
(,,゚Д゚)「うわぁ!!」
[( ・∀・)ノ]「よーギコ、乗ってく?」
(,,゚Д゚)「轢くつもりか!」
[( ・∀・)]「乗らないなら先行くよー」
ブロロロロー
(,,゚Д゚)「乗せねえなら無視しろよ……」
(,;゚Д゚)「く、クレープがっ!」
(,,;Д;)「ゴルアアアアァァァ」
(,,゚Д゚)「こっこたいる」のようです
576 :
(,,゚Д゚)「こっこたいる」のようです:2009/01/09(金) 01:08:18.34 ID:6AB0mC4E0
(,,゚Д゚)「あのモララ野郎許さねぇぞゴラァ」
(,,;Д;)「1個3500円もすんのに……」
(,,゚Д゚)「どうすっかなー。正直大学行く気なくしたわ」
((,,゚Д゚)) ガタガタブルブル
(,,゚Д゚)「寒ぃぞゴラァ」
(,,゚Д゚)「とりあえず適当な店でも探すか……」
大学へ向かう道に背を向け少し歩く。
適当な路地を曲がって適当に直進。さらに適当な路地を曲がる。
大体15分くらい歩いたか、ふと目に留まったのが、イーゼルに載った黒板。
─純喫茶 CocK TaiL ─
(,,゚Д゚)「純喫茶…こっこ…たいる? とりあえずここでいいか」
カランカラン
ζ(゚ー゚*ζ「いらっしゃいませー」
店に入ると、出迎えたのは小柄な女性。
ブラウンのロングスカートに、ベージュのタートルネックセーター。その上に「CocK TaiL」と入ったエプロンをつけている。
ブラウンのふわふわしたセミロング。体付きは女性らしいが、結構童顔。
有体に言えば、可愛い系の美人。
577 :
(,,゚Д゚)「こっこたいる」のようです:2009/01/09(金) 01:09:07.83 ID:6AB0mC4E0
(,,゚Д゚)「ゴ、ゴラァ」
ζ(゚ー゚*ζ「お一人様ですか?」
(,,゚Д゚)「そ、そうだゴラァ」
ζ(゚ー゚*ζ「それではカウンターにどうぞ」
こじんまりとした店だ。8席ほどのカウンターに、4人掛けの丸テーブルが一つ。
木を多く使った、落ち着いた内装。控えめにおかれた観葉植物。
なにやら、別世界に迷い込んだような気分になる。まるで絵本の中のような……
ζ(゚ー゚*ζ「こちら、灰皿をどうぞ。メニューはあちらになります」
(,,゚Д゚)「お、おう。ありがとうございます。ゴラァ」
無意識のうちに、煙草を取り出していたらしい。
気遣いに感謝しながら、彼女に示されたほうを見る。
壁に掛けられた黒板。そこに、Menuの文字が踊っている。
Hot Drink
オリジナルブレンド ─ 400円
アメリカン ─ 400円
ストレートコーヒー各種 ─ 450円
ブルーマウンテン ─ 600円
(以下略)
(,,゚Д゚)「とりあえず、ブレンドで……」
578 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/01/09(金) 01:09:57.78 ID:6AB0mC4E0
ζ(゚ー゚*ζ「かしこまりました」
正直、こういう店にはあまり縁がないせいもあって、高いか安いのか分からない。
それになにやら、落ち着かない。
さっきからキョドりっぱなしではないか。落ち着け、コレじゃただの不審な客だ。と自分にいい聞かせる。
落ち着こうと、煙草を一本取り出す。黒地にゴールドで刻まれた文字は、JPS。
火を着けるのは、まだ真新しいソリッドブラスのZippo。
紫煙を肺に落とし、なんとか平静を取り戻す。
何のことは無い。平常心を取り戻せば、雰囲気の有るいい店だ。
(,,゚Д゚)(なんで俺はあんなにキョドってたんだ……)
カウンターの中に視線を飛ばせば、その原因に思い当たった。
その原因は、挽き終わった豆をドリッパーに移している。
(,,゚Д゚)(可憐だ……)
かなりの童顔ではあるが、こうやって店をやっているくらいなんだから自分よりは年上なんだろうと思う。
彼女が動くたびに、フワフワしたセミロングが揺れた。
ζ(゚ー゚*ζ「おまたせいたしました」
見とれているうちに、コーヒーが出来たらしい。
目の前に、ウェッジウッドのカップが置かれる。
白磁に小さな花の模様。まるでアリスのティーパーティーに出てくるような。
一口、口をつける。
(,,゚Д゚)「……美味い」
580 :
(,,゚Д゚)「こっこたいる」のようです:2009/01/09(金) 01:10:46.18 ID:6AB0mC4E0
ζ(^ー^*ζ「ありがとうございますw」
本当に美味しい言葉だったから、思わず口にした言葉。
それに柔らかな笑顔で答える彼女は、どこまでも可憐だ。
そして、どれくらいがたったのか。
沈黙が、雪のように降り積もっている。
なのに、それが不愉快でない。不安でない。
BGMで控えめかけられたROCOが、時折心地よく耳をくすぐる。
(,,゚Д゚)(そろそろ行くか……)
正直尻に根が生えているような心持だが、コーヒー一杯でいつまでも粘っているわけにも行かない。
(,,゚Д゚)「あの、ご馳走様でした。お会計をお願いしますゴラァ」
ζ(゚ー゚*ζ「ありがとうございました。お会計、400円です」
(,,゚Д゚)「ゴラァ」
財布から500円玉を取り出しながら、外に目を向ければ雪が降っていた。
(,,゚Д゚)(たしか手袋があったな。着けていくか……)
(,,゚Д゚)「……あ」
Pコートのポケットに手を入れて探してみるが、右手だけ無い。
どこかで落としたとすれば、どう考えてもモララーに轢かれかけた時だ。
581 :
(,,゚Д゚)「こっこたいる」のようです:2009/01/09(金) 01:11:17.80 ID:6AB0mC4E0
ζ(゚ー゚*ζ「どうかなさいました?」
レジから取り出した100円玉を手のひらに載せた彼女が、首をかしげている。
(,,゚Д゚)「いや、その、手袋が片方無くて……」
ζ(゚ー゚*ζ「もし、右手の方ならおかしできますよ? 実は私も、手袋の片方無くしちゃってw」
「ドジなんですよね」なんて言いながら、彼が取り出したのは、ブラウンの、高そうな手袋。
男にしては手の小さいギコなら、使えそうなサイズだ。
(,,゚Д゚)「あ、いや。あ、ありがとうございます」
ζ(゚ー゚*ζ「お気になさらないでください。それに……」
ζ(^ー^*ζ「それを貴方に渡しておけば、また来ていただけますからw」
(,,゚Д゚)「え…あ…う…ゴラァ」
なんて事をさらりと言ってくれるんだろう、この女性は。
しどろもどろで会計を済ませて、店を出る。
1月の風が頬に刺さった。
(,,゚Д゚)「ただの雪かと思ったけど霙じゃねぇかゴラァ」
溶けた霙が靴の中に入り込んできて、足が酷く冷たい。
逆に何故か、右手は凄く温かかった。
583 :
(,,゚Д゚)「こっこたいる」のようです:2009/01/09(金) 01:12:13.36 ID:6AB0mC4E0
(,,゚Д゚)「畜生、あんな事言われたら明日も来るしかねぇじゃねぇかゴラァ」
明日だけじゃなく、明後日も、明々後日も、出来る限り毎日来よう。
店に来るために理由が必要とは思えないけれど、この手袋を毎日忘れてくればいい。
手袋を返しそこねたついでに、コーヒーを1杯飲んで帰るんだ。
今は、それでいい。
ただ、それだけで。
~fin~
お題:
みぞれ雪
(,,゚Д゚)「一時間目フケて手に入れたTWO-SEEの30個限定赤いローソク苺パフェ」
(,,゚Д゚)「食べるなら授業中の今しかない……っ!」
ブロロロロー
(,,゚Д゚)「うわぁ!!」
[( ・∀・)ノ]「よーギコ、乗ってく?」
(,,゚Д゚)「轢くつもりか!」
[( ・∀・)]「乗らないなら先行くよー」
ブロロロロー
(,,゚Д゚)「乗せねえなら無視しろよ……」
(,;゚Д゚)「く、クレープがっ!」
(,,;Д;)「ゴルアアアアァァァ」
片方づつの手袋