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ノパ⊿゚) レポートが終わらないようです


539 :ノパ⊿゚) レポートが終わらないようです 1/11:2009/01/09(金) 00:34:19.12 ID:nHl38Pzc0

私は焦っていた。
猛烈に焦っていた。
爆裂するほど焦っていた。
ハチャメチャに焦っていた。
この焦りをエネルギーに変換すればビッグバンを起こせるほど焦っていた。

ノハ#゚⊿゚)「うおおおおおおおおおおおおお! なんということだああああああああ!」

私は勉強机を天高く放り上げた。
机は天井を破り、屋根を破り、鳥を撃墜し、大気圏まで飛んでいった。
私は破壊した天井から見える青空に吼えた。

ノハ#゚⊿゚)「レポートが進まないぞおおおおおおおおおおおお!」

進まない、というよりはほぼ白紙だ。
升目と名前だけが書かれたルーズリーフが私を嘲笑うように鎮座している。
私はルーズリーフを殴った。蹴った。罵った。かめはめ波で跡形も無く消滅させた。

しかしやるだけやって鬱憤を晴らしても、新しい紙を買う時間がロスされただけである。
なんだか非常に虚しい。
私は肩で息をしながら、壁にもたれかかった。



541 :ノパ⊿゚) レポートが終わらないようです 2/11:2009/01/09(金) 00:36:02.54 ID:nHl38Pzc0

このレポートは、私にとって生命線だ。

色々事情があって講義に中々出席できず、レポートも提出できなかった。
このままでは、私は単位を落とす可能性がある。
留年という汚名はなんとでも阻止したい。

しかし、一向にルーズリーフは埋まらなかった。
時間だけが刻々と過ぎて行き、提出期限は明日に迫っている。
気合とやる気があっても空回りするだけでどうしようもない。

とりあえず紙を買いに行くかと立ち上がると、携帯電話が鳴った。
ディスプレイには『伊藤 ペニサス』と表示されている。

ノパ⊿゚)「もしもし」

('、`*川「あ、ヒーちゃん? あけおめ」

ノパ⊿゚)「ああ、おめでとう」

今の私には、正月の挨拶などしている暇は無い。
悪いが、一方的に別れを告げて電話を切ろう。
しかし、別れを告げる前にペニサスが話し始めてしまった。



544 :ノパ⊿゚) レポートが終わらないようです 3/11:2009/01/09(金) 00:37:31.68 ID:nHl38Pzc0

('、`*川「ちょっと頼みたいことがあるんだけどさー」

頼み事を聞いている時間は無い。
ペニサスのペースに乗せられてしまう前に、とっとと電話を切らねば。

ノハ;゚⊿゚)「いや、今日は忙しくてな……」

('、`*川「え!? 何々? もしかして彼氏に会いに行くとか!? こいつは大スクープね! 熱血女子大生が熱をあげる男は……」

ノハ;゚⊿゚)「いやいやいや、断じて違う!」

ハッ、まずい! 完全にペニサスのペースだ!

('、`*川「まあ分かってたけどね。あんたのノリについていける男なんてそうそういないでしょ」

ノハ#゚⊿゚)「わ、悪かったな!」

('、`*川「とにかく、何が忙しいのか話しなさいよ。あんたバイトなんてしてないでしょ?」

ううむ……こうなってしまってはもはや脱出不可能だ。
今電話を切ったところで、しつこく電話してくるのが目に見えている。
ここまで来たら、助力を請うしかない。



546 :ノパ⊿゚) レポートが終わらないようです 4/11:2009/01/09(金) 00:39:11.63 ID:nHl38Pzc0

('、`*川「ほうほうほほういやっほう、レポートが書けないと?」

ノパ⊿゚)「そういうわけなんだ」

('、`*川「じゃあ私の頼み事を聞いて。そしたら知恵を貸してあげるわ」

ノパ⊿゚)「……その知恵ってのは信用できるのか?」

('、`*川「私のIQは53万です」

うん、信用できないことがはっきりした。
しかし自分ひとりで解決できる問題ではなさそうだ。
ここはペニサスの言う事を聞くしかないだろう。

ノパ⊿゚)「で、頼み事って言うのは?」

('、`*川「七草粥を作って欲しいのよ」



550 :ノパ⊿゚) レポートが終わらないようです 5/11:2009/01/09(金) 00:41:01.04 ID:nHl38Pzc0

ノパ⊿゚)「七草粥……ってアレか? 食べると風邪ひかないってヤツ?」

('、`*川「そうよ。そろそろ時期でしょ?」

確かに七草粥の時期ではあるが、作ったことは一度も無い。
というか私は料理全般に自信が無い。

('、`*川「自分で作るのめんどいから、お願いね。あと、七草は道中で拾ってきて」

それだけ言って、ペニサスは電話を切ってしまった。
あいかわらずマイペースな奴だ。
この私が付いて行く事すらできないなんて……恐ろしい子!

ノパ⊿゚)「で、七草ってどういう草だっけ……」

食べたことはあるが、七草自体がどういう草だかは知らない。
だって粥に入ってる奴って細切れだし。
まあ分からない物は仕方ない。適当に摘んで行こう。



553 :ノパ⊿゚) レポートが終わらないようです 6/11:2009/01/09(金) 00:42:50.83 ID:nHl38Pzc0

ノパ⊿゚)「おおーい、私だ、開けてくれ」

('、`*川「いらっしゃーい。さあさあ早速作ってもらうわよ」

私はペニサスの家に上がりこみ、キッチンを借りた。
早速摘んできた七草を広げる。
ふむ、七草というのはこんな草だったかな?

ノパ⊿゚)「まぁ死にはしないだろう」

……かくして、よく分からない草で作った七草粥が完成した。
さっそくペニサスに差し出す。

('、`*川「……これ、草洗った?」

言われてみれば忘れたかもしれない。
粥にすこし泥が浮かんでいる。
私は首を横に振った。

('、`*川「……これ、草デカくない?」

七草粥というのだから草を食べないと意味が無いだろうと、草はかなり大きめに切った。
大は小を兼ねると言うし、問題は無いだろう。
再び私は首を横に振った。

('、`*川「……味見した?」

三度私は首を横に振った。



555 :ノパ⊿゚) レポートが終わらないようです 7/11:2009/01/09(金) 00:44:56.21 ID:nHl38Pzc0

('、`*川「……まあいいわ、いただきます」

ペニサスは粥を口に近づけ、少し臭いをかいだ後飲み込む。
瞬間、顔をしかめて水をがぶ飲みした。
何故だろう、塩は一瓶しか入れてないはずだが、多すぎたか?

('、`*川「こ、こうなりゃヤケよ、一気よ一気」

ペニサスはどんぶりをひっくり返し、中身の粥を全て口にぶち込んだ。
そのまま味わいもせずに胃袋に投下する。
暫しその場に静寂が流れたが、静寂を破ったのはペニサスの腹の音だった。

('、`;川「き、きた、来たわ来たわ来たわあああああああああああああ!」

ゴロゴロと鳴る腹を抱え、ペニサスはトイレに駆け込んだ。
トイレからは筆舌に尽くしがたいほどの汚い音とペニサスの悲鳴が漏れてくる。

数分後、ペニサスは実にすがすがしい顔でトイレから出てきた。

('、`*川「ふぅ……あんたなら下剤の変わりになるような料理を作ってくれると思ったわ……最近便秘気味で困ってたのよ」

下剤の代わりに私を呼んだのか。
思わず怒りがこみ上げてきたが、本来の目的を忘れてはいけない。
怒りの衝動をどうにか押し殺した。



557 :ノパ⊿゚) レポートが終わらないようです 8/11:2009/01/09(金) 00:47:47.95 ID:nHl38Pzc0

ノパ⊿゚)「とにかく、これでいいな! レポートを完成させる為の知恵を貰おうか!」

('、`*川「簡単よ、今のことをレポートに書けばいいの」

ノハ#゚⊿゚)「何だと!? 小学生の作文じゃないんだぞ!」

『冬休みのおもいで』みたいな作文なら通るだろうが、これは大学生のレポート。
ある程度テーマも決まっているし、それ以前に真面目な内容で無ければお話にならない。
下剤粥をペニサスに食わせたことに関するレポートなど、私でも却下する。

しかし私の剣幕とは裏腹にペニサスは落ち着き払っている。
私が怒鳴ろうとした瞬間、ペニサスはため息をついた。

('、`*川「……あなた、大切な物を見失っているわ」

ノパ⊿゚)「なん……だと?」

('、`*川「『熱意』よ」

それを聞いた途端、私の中で何かが砕けた。
確かに私は焦るばかりで、レポートへの熱意、情熱を忘れていた。
レポートの内容など問題ではない。
熱意や情熱が篭っていなければ、どんな優れた内容でも気持ちは伝わらない。

ノハ;⊿;)「そうか……私は……一番大切なものを……」

私はその場に崩れ落ち、声をあげて泣いた。
自分が情けなくて。自分が不甲斐なくて。
熱意や情熱を見失うことは、自分を見失うことに等しかった。



559 :ノパ⊿゚) レポートが終わらないようです 9/11:2009/01/09(金) 00:49:37.11 ID:nHl38Pzc0

('、`*川「あなたは、一番大事なものを見失ったわ。あなたの、アイデンティティとも言えるものを」

その言葉が、私の胸に深く突き刺さる。
私はさらに泣いた。

しかしペニサスはゆっくりと私の隣にしゃがみこみ、
私の肩に優しく手を置き、言った。

d('、`*川「……でも、まだ取り返しはつくじゃない」

立てた親指。慈愛に満ちた笑み。
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった私に、それは向けられている。
涙でかすんでよく見えなかったが、それは再び私の心に炎を灯した。

私が今やるべきことは、ここで泣くことか。
違う。
無くした物を取り戻すことだ。
レポートを完成させなければ。
レポートに、私の熱意と情熱を叩きつけねば。

ノハ;⊿;)「ペニサス……ありがとう!」

私はそれだけ言って、ペニサスの家を飛び出した。




('、`*川「……あの子って本当に扱いやすくて面白いわねえ」



561 :ノパ⊿゚) レポートが終わらないようです 10/11:2009/01/09(金) 00:52:18.75 ID:nHl38Pzc0

私は文房具屋で紙を買い、家に戻った。
そしてペンを握り、ペンに気合と愛と熱意をこめる。
上部を親指で押せとカチリと音を鳴らし、ペンは臨戦態勢に入った。

紙の上で、ペンは踊った。
紙には情熱、想い、汗、その場の空気や臭いまでもが書き込まれた。
文章を読むだけで、あの瞬間が蘇る。

ペンはさらに踊る。

私が失いかけた情熱は、インクとなって紙に染み込む。
しかしインクとなっても失われることは無い。
目に見える形となっただけであり、私の心火を文章として表現する。
私の激情はインクとなり、紙に染み、読んだ者の心に火を灯すだろう。

私が全ての情熱と熱意をペンと紙に注ぎ込んだ瞬間、ペンは踊るのを止めた。

ノハ;゚⊿゚)「書きあがっ……た……」


――会心の出来だ。

私の下痢粥への情熱と熱意の権化である紙を眺める。
それはあたかも熱を放ち、輝いているように見えた。



564 :ノパ⊿゚) レポートが終わらないようです 11/11:2009/01/09(金) 00:54:05.04 ID:nHl38Pzc0

――翌日――


ノハ*゚⊿゚)「さあ教授! 私のレポートは素晴らしいでしょう!? 単位を下さい! ギブミー! ハリアップ!」

/ ,' 3「却下」


おわり


[ 2009/01/09 19:05 ] 総合短編 | TB(0) | CM(0)

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