781 :
len=123:2009/03/30(月) 11:27:39.39 ID:lT1XeONcO
スラリとした長い指の先にキラリと光る刃物。
彼女は「それ」を扱うプロフェッショナルであり、既にに数えきれない人の数を切り刻んできた。
(*゚∀゚)「アヒャ、今日も腕がなるぜ」
ひゅっひゅ、と頬を高揚させながら刃物を素早く動かす。
辺りにはまるで手術でも始めるかのような器具類が置かれている。
冷たく刺す、銀色の機材。
川 ゚ -゚)「今日は依頼が山ほど来てるぞ」
(*゚∀゚)「さあそろそろ開店時間だな」
そう言い、彼女は“クローズ”の文字をひっくり返し、
自分たちのお店の看板を見つめた。彼女の誇りであり、生き甲斐の仕事。
―(*゚∀゚)行列のできるつーの美容室のようです―
783 :
(*゚∀゚)行列のできるつーの美容室のようです:2009/03/30(月) 11:29:16.16 ID:lT1XeONcO
「あのー予約したものですが…」
川 ゚ -゚)「はいはいいらっしゃいませ」
(*゚∀゚)「いらっしゃいませー!」
ここは言わずと知れた美容室、toocoo。
芸術と言える腕を持つ美容師と、長く美しい髪を持った店長二人で経営している。
その評判は口コミで広がり、今では予約をしても二ヶ月は待たされるほどだ、
川 ゚ -゚)「予約が二つもあるなんて、今日は仕事が山ほどだな」
…と、いうのを目標に今日も閑古鳥の鳴くお店で客を待っていた。
(゚、゚トソン「なんだか汚い店内ですね」
ミセ*゚ー゚)リ「でもすぐ予約取れるのここしかないから…」
(゚、゚トソン「ミセリの進めるお店は外れしかないんです。
みなさいあのインテリアのサボテン、トゲにほこりが引っ掛かってますよ」
ミセ*゚ー゚)リ「うわあ、これは正直期待できないかも」
(゚、゚トソン「きっと椅子がベタベタすると思いますよ」
ミセ*゚ー゚)リ「タオルとか酸っぱいにおいがするんだろうなあ」
川 ゚ -゚)「ペロ………これは………印象批評………!!!!」
784 :
(*゚∀゚)行列のできるつーの美容室のようです:2009/03/30(月) 11:32:54.32 ID:lT1XeONcO
(*゚∀゚)「ちょっとおまえらー! 印象だけであれこれ言いやがって!」
ミセ*゚ー゚)リ「あ…ご、ゴメンなさい」
(*゚∀゚)「確かにうちのイスは拭いても拭いてもベタベタしてるし、タオルも臭い!
だけど、オレのハサミの腕だけは他には負けない自信があるぜ!」
ミセ*゚ー゚)リ「やっぱ臭うんだ…」
(*゚∀゚)「つべこべ言わずオレに任せろ!」
川 ゚ -゚)「ではそっちのお嬢さんから切りますので、そちらの椅子にかけてください」
(゚、゚トソン「うわ、本当にベタベタしますね」
川 ゚ -゚)「お客様、本日はどういった感じになさいますか?」
(゚、゚トソン「まあ、普通に切ってください。
出来れば愛らしさが引き立ちつつ、仕事の出来る女を演出する感じにお願いします」
(*゚∀゚)「普通のわりには注文が多いじゃねえか」
川 ゚ -゚)「もうひとりのお客様には待ち時間にシャンプーいたしますがいかがですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「やめときます」
川 ゚ -゚)「遠慮なさらずにどうぞどうぞ」
ミセ*゚ー゚)リ「あっタオル顔にかけないで…く、臭いっ、目に染みる!」
785 :
(*゚∀゚)行列のできるつーの美容室のようです:2009/03/30(月) 11:34:23.86 ID:lT1XeONcO
~時の 三 ⊂二二( ^ω^)二⊃ 流れ~
(*゚∀゚)「どうだ! 出来たぞ!」
(゚、゚love&joy
(*゚∀゚)「愛らしさと仕事を演出する見事な髪型だ!」
(゚、゚love&joy「これはひどい」
(*゚∀゚)「さあもう一人も切るから座れ!」
ミセ*゚ー゚)リ「あ、やっぱいいですっ いやっキャー」
~
パセ*;ー;)リ「うう…、こうなることは分かってたよお…」
(*゚∀゚)「癖っ毛をストレートかけてやったぜ! 似合ってるぞ!」
(゚、゚love&joy「似合ってますよパセリ」
パセ*゚ー゚)リ「ミセリだよ! 勝手に戸籍改編しないで!」
788 :
(*゚∀゚)行列のできるつーの美容室のようです:2009/03/30(月) 11:37:47.40 ID:lT1XeONcO
そんな騒動も懐かしくなる頃、カランと景気よくドアのベルがなった。
やっと次のお客が来たようだ。
川 ゚ -゚)「いらっしゃいませ」
(*゚∀゚)「へいらっしゃい!」
('A`)「大将! ヒカリモノ握ってくれ!」
川 ゚ -゚)「つー、寿司屋のような挨拶はやめた方がいい」
('A`)「そうだった、俺は髪を切りに来たんだった」
その男は無造作に髪が伸びており、いわゆるお洒落と縁のない男の風貌をしていた。
地味な服、汚い靴、暗い顔。人気のない駅の便所を人間にしたらこんな感じであろう。
('A`)「こんな俺を変えたくて美容室に足を踏み入れたんだ。
明るくなるようなカッコいい髪型に変えてくれ、たのむ」
(*゚∀゚)「任せとけ! あっと驚くなるような髪型にしてやるからよお」
川 ゚ -゚)「ではお先にシャンプーしますのであちらに…」
('A`)「く、臭! このタオルめっちゃアカン! 臭いでぇ!」
川 ゚ -゚)「お痒いところございませんか~?」
('A`)「臭いで体がむずかゆくなってきた! このかゆみ、留まるところを知らない」
789 :
(*゚∀゚)行列のできるつーの美容室のようです:2009/03/30(月) 11:39:12.75 ID:lT1XeONcO
(*゚∀゚)「はいおまちどう! 生きのいい髪型だ!」
鬱'A`)
(*゚∀゚)「明るいといったらラテン系!
お洒落上級者用のアフロヘアーで可愛いあの子もイチコロ!」
鬱'A`)「ウツダシノウ」
(*゚∀゚)「何でますます暗くなる」
川 ゚ -゚)「何故だか分からんが見てると鬱になる髪型に仕上がっているな」
(*゚∀゚)「うーん何が原因なんだ…一見ただのアフロなのに」
鬱'A`)「練炭買って帰ろう…」
(*゚∀゚)「サンマでも焼くのか?」
川 ゚ -゚)「サンマは目黒に限るな」
790 :
(*゚∀゚)行列のできるつーの美容室のようです:2009/03/30(月) 11:41:46.87 ID:lT1XeONcO
川 ゚ -゚)「ふむ」
と、彼女は暇すぎる店番にため息をついた。
川 ゚ -゚)「客を呼ぶにはどうしたらいいんだ」
(*゚∀゚)「デモンストレーションで誰かを無料でカットしよう!」
川 ゚ -゚)「いいアイディアだ。早速誰かを犠牲にしよう」
犠牲者は誰でもいい、彼女は半ば無理やり暇そうな男を連れ込んできた。
| ^o^ |「なんですか」
川 ゚ -゚)「無料でシャンプーカットをして差し上げます」
| ^o^ |「なんと」
| ^o^ |「ずるいです あなただけ」
| ^o^ |「じんとくです さっそく カットを されにいきます」
川 ゚ -゚)「ささ、こちらへ…」
| ^o^ |「く くさい これでは せいめいが きっとカットされる」
| ^o^ |「ああ ブームくんが しんだ」
791 :
(*゚∀゚)行列のできるつーの美容室のようです:2009/03/30(月) 11:42:59.83 ID:lT1XeONcO
| ^o^ |「しぬかと おもった いきててよかった」
| ^o^ |「なんと しぶとい」
(*゚∀゚)「さあ、生まれ変わったような髪型にしてやるぜ!」
~
/^o^\
(*゚∀゚)「少し大きめな顔をボブヘアーで小顔に見えるようにしたぞ!」
/^o^\「わたしは だれ?」
| ^o^ |「ああ ブームくんが しんだ」
/^o^\「まるで エベレスト」
| ^o^ |「いいえ フジヤマです」
川 ゚ -゚)「日本一の男になったな」
/^o^\「いちふじ」
| ^o^ |「にたか」
(*゚∀゚)「三茄子」
川 ゚ -゚)「四扇五煙草六座頭。これは縁起がいい、ちかいうち儲かると見た」
794 :
(*゚∀゚)行列のできるつーの美容室のようです:2009/03/30(月) 11:46:47.96 ID:lT1XeONcO
(*゚∀゚)「今日は店長がいないな…出掛けたのか?」
元々静かなお店が拍車をかけて黙り込む。
彼女はこの店自体が時が止まったように感じた。
(*゚∀゚)「まあ、取り残されていることには変わらんよな…」
急に涙が目に溜まってきた。何故、人が来ないのだろう、と。
人に喜んでもらうのが好きでこの仕事を始めたのに、
誰もが怒るかガッカリして店を後にして出て行った。
(*゚∀゚)「やっぱオレは才能ないんかな」
カラカラン、と辺りの時が動き出した。
(*゚∀゚)「…いらっしゃい」
川 ゚ -゚)「どうした、辛気くさい顔して」
(*゚∀゚)「店長、どこに行ってたんだい、お帰り…」
川 ゚ -゚)「いや、今日は私は客だ。カットしてくれ」
(*゚∀゚)「へ?」
797 :
(*゚∀゚)行列のできるつーの美容室のようです:2009/03/30(月) 12:05:46.01 ID:lT1XeONcO
(*゚∀゚)「店長なんで…」
川 ゚ -゚)「髪が伸びたんだ。切るしかないだろう。自慢の美容師に、な」
(*゚∀゚)「アヒャ、そうだな。切るしかないな!」
自分は何をオセンチになっていたのだろう、と思い彼女は気付かれないようにそっと涙をふいた。
喜ばれないからって落ち込んでちゃ何も変わらない。
喜ばれるように努力をしなければ前へは進まないのだ。
(*゚∀゚)「じゃあまずはシャンプーだぜ! 店長!」
川 ゚ -゚)「くさっ、くさい! 何て臭いだ! 今まで気付きもしなかった!」
(*゚∀゚)「痒いところはねーか?」
川 ゚ -゚)「臭いで毛穴と言う毛穴が痒い」
799 :
(*゚∀゚)行列のできるつーの美容室のようです:2009/03/30(月) 12:10:43.22 ID:lT1XeONcO
今までで一番愛と感謝を込めて切った髪だった。ハサミもいつも以上に楽しく踊る。
(*゚∀゚)「出来たぜ」
川 ゚ -゚)
(*゚∀゚)「どうだ? 毛先が痛んでたから、すいたりしたんだが」
川 ゚ -゚)「…よくやった、素晴らしい。最高の出来だ」
(*゚∀゚)「店長…オレ…オレッ」
川 ゚ー゚)「うんうん、泣くな、よくやったよありがとう」
相手のことをたくさん大切に考えて、来てくれてありがとうって気持ちで切る。
こんな簡単なことだったんだ。喜んでもらえる秘訣は。
(*゚∀゚)「アヒャヒャもっといっぱいの人を笑わせるぜえ!」
川 ゚ -゚)「ああ、もっともっと頑張らなくちゃな」
知る人ぞ知る美容室toocoo。決してお客は多くないけれど、笑顔が詰まったお店がそこにある。
( ^ω^)「臭いお! このタオルにおうお!」
川 ゚ -゚)「おかしい、あんなに洗ったのに何故匂うんだ」
(*゚∀゚)「タオル捨てろよ」
-おわり-
800 :
(*゚∀゚)行列のできるつーの美容室のようです:2009/03/30(月) 12:11:57.38 ID:lT1XeONcO
まとめ
>>781>>783>>784>>785>>788>>789>>790>>791>>794>>797>>799
お題
・love&joy
・川 ゚ -゚)「ペロ………これは………印象批評………!!!!」
・戸籍改編
支援ありがとうございました。途中猿すみません。
髪の毛ネタはよくありそうなのでネタが被っていたらすみません。
パセリを見ていたらうっかり考え付きました。
よければ批評お願いします。
>>792
SUN祭りには参加したことはないけど毎年凄い行列ですよね。
どちらかというとタケノコ煎餅の方が好き